こども の コロナ たいさく


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┃ こみ☆まぐ ┃
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 子どもの = こ
 未来を =  み
         ☆
 守る =   ま
 グループ = ぐ
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わが国に暮らす子ども達への影響
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笠原麻里(駒木野病院)
八木淳子(岩手医科大学医学部神経精神科学講座/いわてこどもケアセンター)

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子どもの理解力に配慮した情報の伝え方が必要
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学校では、これまでもインフルエンザなどの感染対策を子どもたちに教えてきました。
子ともたちはよく指導をされており、手洗い・うがいは日常的に浸透してきている習慣の一つです。

今回、新型コロナウイルス感染予防対策として、手洗いに加え、熱があったら登校しない、外に出ない、
他の子と遊べないなどは、心理的に窮屈さを増すものです。特に、“緊急事態宣言”、“外出自粛”などと、
子どもにとってはなんだか怖そうな文字が並び、

「僕たち何もできなくなっちゃうの?」

と心配そうに聞いてきた小学生もいます。

まず、子どもの発達段階に応じて、その子がわかるように状況を伝え、いたずらに不安がらせない配慮が必要です。
大人にも先の見通しが立たない中、子どもにわかるように伝えるには工夫がいりますが、
その時点の正確な情報(厚生労働省などから発せられているもの)と、具体的対処行動(例:適切な距離を保つ、
部屋の換気が大切、あちこちむやみに触らないようにするなど)を伝える必要があります。
子どもたち自身にも「できること」「やるべきこと」があり、ひとり一人の行動が社会全体の役に立つことを
わかりやすく伝えることで、
子どもの無力感が増大することを防ぎ、社会の一員としての自己価値や自立心を高めることにつながるでしょう。

また、子ども間のスティグマとして「コロナ」とあだ名をつけるなどのいじめ、いじめられるかもしれないからと
熱があっても内緒にすることなどが起こりやすいことについても、「してはいけないこと」として教えておくこと
も大切です。

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在宅時間が増える影響
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狭い室内で、家族が密集して過ごすことになり、外に出ることもままならない子どもたちはストレスを抱え、

「することがない」「ひま」

を連呼し、外へ出かけたがる、喧嘩が増える、ゲームばかりしてだらだらしている、退行するなど様々な行動で表現をします。
このような言動は、子どもたちの「なんとかして」という叫びなのですが、表された状態には、大人もイライラしてしまいます。
親子の葛藤が高まると、子どもへの虐待、DVなどが生じやすくなります。また、子どもは、家庭の中で大人がイライラしていたり、
不安や抑うつ的になったりしていることにも敏感なため、自分はそこにいてはいけないのではないかなどと感じ、さらに落ち着か
なくなり乱暴になることもあります。

対処として、子どものフラストレーションを、「何とかする」知恵を持つことが必要です。何気ない日常的な明るい話題の会話、
昔ながらのボードゲームやカードゲームを家族で楽しむ、料理や家事の手伝いを大人や年長のきょうだいと一緒にするなど、
大人にも負担にならないかかわりをとりいれることが役立ちます。思春期の子どもは、部屋にこもるかもしれませんが、
これは葛藤回避の意味があることが多いものです。

それまで学校に通っていた子どもたちに「時間割」があったように、一日の生活の中にルーティーンを組み込み、
規則正しい生活をすることを親子で一緒に考えてみましょう。
実行可能なお手伝いや定期的な運動など、子どもが上手にエネルギーを発散でき、親と一緒に楽しめる活動を取り入れてみましょう。

子どもといる時間が増えることで、

「子どものことがよくわかるようになった」

と感じている親もいます。在宅勤務になった父親が子どもと接する時間をもつなど、子育ての担い手を増やし、
大人が少しでも余裕をもつことは、虐待のリスクを小さくします。

子どもたちの声に耳を傾け、不安な気持ちや不満などの話を聞いてあげる時間を、短くてもよいので持つように工夫しましょう。
気持ちを話して受け入れられ、共感してもらう経験の積み重ねは、子どもを安心させるだけでなく、親子の信頼感をぐっと
引き上げることになります。

また、友達となかなか会えないことは、子どもたちにとって大きなストレスになります。SNSで連絡をとることなど、
上手な付き合い方・距離の保ち方などについて、親子で一緒に考えるチャンスと捉え、子どもだけでネット漬け・
オンラインゲーム漬けなどに陥ることがないように導きましょう。