ウクライナ ぐん に きふ
ウクライナぐん に きふ できる。
あんなに 死んでいる のにか❓
ウクライナで妄想し負けていく米欧2022年3月20日 田中 宇米共和党系の軍事専門家ダグラス・マクレガー(Douglas Macgregor)が、ウクライナでロシア軍が作戦をゆっくり展開しているのは、ウクライナの市民や都市を破壊しないようにしつつ、露軍を攻撃してくる敵方の極右民兵団(ウクライナ内務省傘下のアゾフ大隊など。ネオナチ)だけを潰せるようにしているからだ、と指摘している。それなのに欧米のマスコミ権威筋は、「露軍がウクライナで苦戦し負けている」と勝手に間違った妄想を展開・喧伝し続け、「ロシアが負けているのだから米欧NATOがウクライナの領空を露軍から奪還して飛行禁止区域を設定できるはずだ」と勘違いしている、とマクレガーは言う。 (American military expert explains ‘slow’ Russian advance in Ukraine) (Macgregor: Washington Wants War To Continue As Long As Possible In Hopes To Overthrow Putin) 私が見るところマクレガーは正しい。NATO内で、米政府やNATO事務局は、マスコミの方が妄想で実は露軍が勝っていることを知っているので、「ウクライナに飛行禁止区域を設定するのは不可能だ。核戦争の世界大戦になってしまう」と言っている。だが、間違った妄想の方を軽信してしまっているバルト三国やポーランドなど東欧の政府議会、それから米欧全体のマスコミとその軽信者たちは「早く飛行禁止区域を作れ」と叫び続けている。もし今後、東欧のどこかの国が自体を甘く見誤って戦闘機をウクライナに入れようとして露軍に撃墜され、NATOの5条が発動されて米国がロシアと戦争する義務を負った場合、米国はNATO5条を無視して動かず、米国がこの不履行をやった時点でNATOの信用が崩壊する。 (NATO Unity Faltering as Calls Grow for a No-Fly Zone Over Ukraine) マクレガーによると、プーチンは開戦時から露軍に対し、ウクライナで市民を殺したり市街を破壊することをできるだけ避けつつ任務を遂行せよと命じてきた。米欧のマスコミ側の人々は「マクレガーはロシアのウソのプロパガンダを軽信しているだけだ」と言っているが、実のところ、マスコミ側の人々の方が間違っている。ロシア人にとってウクライナ人は同じ民族に近い半同胞であり、ウクライナにはロシア系も多いので、ロシア軍ができるだけウクライナの市民や街区を破壊せずに任務を遂行したいの当然だ。 (Tell Me How Ukraine Ends) 2014年に米英が起こしたマイダン革命の政権転覆後、ウクライナは米諜報界が軍事訓練して育てたロシア敵視の極右民兵団に席巻され、彼らがウクライナのロシア系住民を殺して街区を破壊する内戦を開始し、ウクライナ系に対しても略奪などをやり続けてきた。極右はゼレンスキー側近などウクライナ政府の上層部にも入り込んできた。米諜報界は、育成した極右を通じてウクライナを事実上植民地支配してきた。ロシアは、ウクライナの極右を退治したかったが、米国はロシアよりはるかに強く、最近まで手出しできなかった。 (8-Year Secret CIA Training Program in Eastern Ukraine Helped Prepare for Russian Invasion) 最近、米国の覇権が急低下し、コモディティのインフレも激化して、米露が対決したらロシアが勝ちうる状況になったので、今回の戦争になった。米政府は露軍侵攻の前に米欧の大使館や諜報要員をすべてウクライナから撤退して支援を突然に打ち切り、ロシアに有利な状況を作ってやっていた(米国は隠れ多極主義的だ)。この流れから見えるものは、露軍のウクライナ侵攻の目的がロシア政府の公式発表の通り、ウクライナの非武装中立化(米英傀儡からの脱却)と非ナチ化(米英に操られた極右勢力の排除)であると考えるのが自然ということだ。ロシアやプーチンの主張は全部ウソだと言っているマスコミとその軽信者(今や日米欧の人々の大部分)の方が間違っている。私が見るところ、ウクライナは以前のような米英の傀儡国であり続けるより、今回の戦争でロシアの傀儡国に戻った方が安定して平和になる。 (Putin Addresses Huge Pro-War Rally At Moscow Soccer Stadium) (バイデンがプーチンをウクライナ侵攻に導いた) マクレガーによると、露軍はすでに、あちこちにいるウクライナ側の軍勢(正規軍と極右民兵団。主に極右)のすべてを包囲し、補給路を断っている。極右は露軍に包囲された状態で、住民を「人間の盾」にして立てこもっている。この状態で露軍が極右を攻撃すると市民が死ぬので、露軍は極右を包囲したまま、ウクライナ政府と交渉して人道回廊を作って市民を包囲網の外に避難させ、その上で極右を投降させるか、潰そうとしている。だから、露軍は極右を包囲したまましばらく動きを止めている。米欧諸国がウクライナに携帯用地対空ミサイルのスティンガーなどを送る話になっているが、ウクライナの軍勢は、露軍に包囲され補給路を断たれているため、それらの兵器を受け取れない。ウクライナ空軍はすでに設備のほとんどを露軍に破壊された。米欧は、ウクライナ側が潰されかかっている戦況を変えられない。 (Kremlin Responds To US Claim Putin "Frustrated" Over Ukraine Operation, Says Military Was Told 'Avoid Storming Major Cities') (ウクライナ難民危機の誇張) マリウポリの劇場を露軍が空爆したと米欧日のマスコミが喧伝しているが、これはたぶん意図的な誤報=プロパガンダだ。マリウポリの市役所はウクライナ側で、彼らが言ったウソをマスコミが意図的に鵜呑みにして大騒ぎしている。マリウポリの劇場は地下に防空壕がある。極右が劇場を占拠し、防空壕に避難した市民を人間の盾として使いつつ、極右は上階に兵器を置いて陣取り、露軍を攻撃していた。露軍はそれを知っていたのでマリウポリの劇場を攻撃していない。劇場を爆破したのは極右だ。その後、マリウポリの劇場から無傷の市民が多数救出されたが、その一方で死者の存在は報じられていない。負傷者1人だけ報道された。ウクライナ側と米欧マスコミはロシアを極悪に描くため、死者がいたらすぐ大々的に報じるはずだ。続報しだいだが、死者数が少ないか、誰も死んでいない可能性すらある。 (Ukraine backtracks on Mariupol theater claims) (Azov battalion militants blow up Mariupol theater building — Defense Ministry) 露軍機は、ウクライナ領空に入らず、ロシア領空内からウクライナを空爆している。ウクライナ極右のもとにスティンガーが届いたとしても、それで露軍機を撃墜できない。露軍機は日々の攻撃でウクライナの領空に入っていないので、ウクライナの領空が飛行禁止区域に指定されても、露軍はそれと関係なくウクライナを空爆し続けられる。飛行禁止区域の設定を守るため、東欧諸国などのNATO軍機がウクライナ上空に来て、それを露軍が攻撃するとNATOとロシアの戦争になる。しかしすでに述べたように、NATO加盟の東欧諸国がロシアと開戦しても、米国はNATOの義務を履行せず、参戦しない。NATOが崩壊して一番困るのは東欧諸国だ。だから東欧諸国もロシアと戦わない。もう誰もロシアと戦わないが、インチキな戦争報道だけはガンガン続く。コロナのときと同様、そのうちマスコミの巨大なウソに気づく人が増えていく。 (Graham introduces resolution urging Biden to help send jets to Ukraine) ("No Such Thing As No Fly Zone Lite": Pentagon Rejects Zelensky's 'Close The Sky' Request) ウクライナ戦争でロシアが負けているという、米欧日のマスコミ権威筋がばらまく大間違いの妄想は、米欧日にとって不利な状況を今後いろいろ引き起こす。近いうちにロシアが負けて米欧に降参し、プーチン政権が転覆されて米英傀儡政権に戻るので、ロシアからの石油ガスの輸出が再開されるだろう、とか。これもトンデモな妄想だ。ロシアは勝った状態のまま、米欧の妄想をあえてそれほど打ち消さず、この状態を長引かせることで、米欧を主に経済面で窮乏させ、米国覇権を自滅させていきたい。プーチンはこれを意図的にやっている。現状が長引くほど、米欧日は窮乏する。マスコミはプーチンのうっかり傀儡になっている。これも隠れ多極主義者の意図のうちだろう。 (優勢なロシア、行き詰まる米欧、多極化する世界) ウクライナ難民と称する人々がドイツやフランスにどんどん入ってきているが、仏マスコミによると、フランスに来ているウクライナ難民の3分の1はウクライナ人でなく、北アフリカや中東から来た難民のふりをしたアラブ人の出稼ぎ者たちだ。こうした偽装難民の多くは、何年も前からフランスなど西欧に住んでいるが自分の都合で来たので市民権を得られていないアラブ人で、どさくさ紛れに自分の地位を引き上げたい。さもありなんだ。さあ、みんなでウクライナ難民を助けるために献金しよう!!。カネを出さないやつはプーチンの傀儡とみなすぞ。マスクはもうしなくていいからね。 (30 Per Cent of ‘Ukrainian Refugees’ Are Actually From Other Countries) (White House Says It’s Running Out of Money for Covid After Congress Reroutes Cash to Ukraine) 今回の指摘を出したマクレガーはトランプの側近だった。トランプは彼を駐ドイツ大使にしようとしたが米議会に阻止されて失敗した。トランプは政権末期、マクレガーに国防総省の顧問をやらせていた。最近マクレガーは、共和党系のFOXテレビのタッカー・カールソンの番組によく出ている。民主党や軍産エスタブ系のマスコミがばらまいてきた新型コロナのインチキ報道のウソを暴いたカールソンは今、同じマスコミ勢力がばらまいているウクライナ戦争のインチキ報道のウソを暴いている。マクレガーは、それに貢献している。マクレガーは以前から、親露的だと非難されてマスコミや軍産民主党からボロクソに誹謗中傷されてきたが、誹謗中傷してきた側の方がウソつきだった感じだ。ロシアゲートのウソや、ハンター・バイデンの不正行為をめぐる話からもそれが感じられるが、それらはあらためて書く。 (Why a former Trump appointee’s pro-Russia rhetoric matters) (Greenwald: Russian Invasion Has Elevated "Treason"-Mania To Never-Before-Seen-Heights)
田中宇の国際ニュース解説・メインページへ
|
ウクライナは呑みこまれるのか❓
ロシアがウクライナ東部2州を併合しそう2022年2月14日 田中 宇
この記事は「ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも」の続きです。 ロシア軍がウクライナに侵攻しそうだという話で大騒ぎになっている。米政府は昨年末から繰り返し、露軍がもうすぐウクライナに侵攻しそうだと言い続けてきた。それらは、露軍がロシア国内で行った軍事演習を侵攻準備だと言い募ったり、ロシアとベラルーシの軍事交流を侵攻準備と喧伝したりする誇張策で、何日かたつと「はずれ」とわかるものだった。今回もその手のバイデン流ボケ話だと書いているメディアもある。だが、今回は様子が違う。 (Ukraine & NATO Agree Threat of Russian Invasion 'Low' - But US Continues "Apocalyptic" Rhetoric) (Looking for evidence? Trust us, Biden administration says) 異例さの一つは、米当局が「露軍のウクライナ侵攻は2月16日だ」と、日付まで指定して予測していることだ。2月11日に米安保担当大統領補佐官のサリバンが「北京五輪終了(2月20日)より前に露軍がウクライナ侵攻しそうだと述べた後、同日中にバイデン大統領がEUやNATO諸国の指導者とビデオ会議した時に、露軍が2月16日に侵攻すると述べた。米諜報界はあちこちで2月16日露軍侵攻説を言い回っている。開戦日が事前に指定されている戦争話は前代未聞だ。当初、米英だけがウクライナの首都キエフから外交官らを避難させていたが、その後は米国が喧伝する予測に押されるかたちでNATO諸国や日本の外交団などもキエフから避難し始めている。 (Putin could attack Ukraine on Feb. 16, Biden told allies) (Три дня до 16-го Фактчекинг войны, или следите за бензовозами) 戦争だ、戦争だとヒステリックに叫ぶ米政府と裏腹に、戦争当事者のウクライナのゼレンスキー大統領は1月末に「露軍が間もなく侵攻してくるという話は事実でなく、パニックを扇動するものでしかない」と米国側を非難した。ロシア政府も、露軍侵攻話は米国のでっち上げだと言っている。ウクライナとロシア側を和解させようとしている独仏など欧州諸国も、戦争パニックを扇動する米政府に迷惑しているようだ。この状況をどう分析したら良いのだろう。 (Ukraine’s Zelensky Slams West for Creating ‘Panic’ After Biden Call) (In Surreal Plot Twist, Ukraine's President Demands Proof From US Over Alarmist Russian Invasion Claims) 私が見るところ、米国が発する2月16日侵攻説は根拠がある。それは、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスクの2州が2014年のウクライナ内戦開始時からずっと宣言し、ロシアに承認を求めてきた「東部2州のウクライナからの分離独立とロシアへの併合」について、ロシア連邦議会下院(デューマ)が2月14日に審議し、プーチン大統領が東部2州のロシア併合を認めてくれるよう請願する決議を可決する可能性があることだ。ドネツクとルガンスクはロシア系住民が多く、ウクライナの政府と軍から敵視攻撃されてひどい目にあっている。1月の記事で書いたとおり、ロシアの世論は、2州のロシア併合を認めてやるべきだと強く思っている。ロシアのナショナリズムの流れに沿って、ロシア議会で1月中旬から2州のロシア併合を認めてやるべきだと話が出ている。 (At Russia’s Border with Ukraine, Pro-Kremlin Separatists Find Support) (ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも) 2月14日の審議は延期されそうだという話もある。だが半面、ロシアのプーチン大統領は、北京五輪に際して2月4日に訪中して習近平と会談した時に、中国側からウクライナ問題に関する明確な支持を得ている。中国がウクライナ問題でロシアを支持したのはこれが初めてだ(これまでの中共は米国に気兼ねして中立の立場だった)。ロシアが東部2州を併合したら、中国が支持してくれる状況になった。対照的に、ウクライナをテコ入れしてロシアを敵視してきた米国の覇権は低下する一方だ。ロシアがまだ弱かった2014年のウクライナ内戦開始時、プーチンは欧米からの猛烈な敵視・制裁を受けつつ、軍事的に重要なクリミアをロシアに併合するのがやっとで、東部2州も併合してロシア系住民を守ってやりたかったが、そこまでやれなかった。その後8年間、東部2州の住民はひどい目にあい続けている。早く併合して、楽にしてやらねばならない。 (Russian parliament may delay vote on recognizing eastern Ukraine) (Donetsk People's Republic - Wikipedia) ロシア議会が2州のロシア併合を要請し、プーチンがそれを受けて併合を正式に認めると、2州はロシアの法律上、国内の地域になる。2州の住民が外国から攻撃されて危険な目にあっていたら、ロシア軍が2州に行って住民を守り、外国勢力を追い払うことが「軍の任務」になる。2州はロシア国内になるのだから、ロシア軍が2州に行くことはロシアの法律上「外国への侵攻」でなく「国内移動」になる。ロシアが2州を併合しても、ウクライナはそれを認めない。たとえウクライナ政府軍が自重して2州から撤退しても、CIAなど米諜報界が軍事支援して傀儡化してきたウクライナ民兵団が2州のロシア系民兵団を攻撃して戦争を再燃させるので、ロシア軍の2州への国内移動(米欧ウクライナから見ると「侵攻」)は避けられない。2月14日にロシア議会が2州の併合をプーチンに要請し、2月15日にプーチンが2州の併合を決めて署名すると、2月16日にロシア軍が2州に入る(侵攻する)ことになる。これは確定でないが、妄想でもない。 (US warns war could be ‘imminent’ in Ukraine) (CIA intercepts Russian message to generals to invade Ukraine on Wednesday) ロシア軍が2州に入ると、露軍より劣勢なウクライナの政府軍と民兵団は戦闘に負けて新しい国境線の向こう側まで退却し、2州のロシアへの併合過程が完了する。この過程で、もし米軍がウクライナ政府の求めに応じて東部2州に入ってロシア軍と戦闘開始すると、第三次世界大戦になる。しかし、多分それはない。バイデン大統領は「露軍がウクライナに侵攻したら、ロシアに対し、これまで見たことのないようなすごい経済制裁をしてやる」と何度も言っているが、彼が強調するのはいつも経済制裁に偏重しており、ウクライナに米軍を入れる話は全くしていない。国連のP5どうしは戦争しない。 (What the Putin-Xi Olympic Meeting Means for America) (Ukraine says don’t believe ‘apocalyptic predictions’ over Russia) ウクライナがすでにNATOに入っているなら、2州をウクライナからもぎ取ろうとするロシアと戦争する法的義務が米国に生じるが、ウクライナはまだNATOに入っていない。ロシアが2州を併合する前にNATOがウクライナを加盟させると、ロシアは世界大戦を覚悟しない限り2州を併合できなくなる。だからプーチンは、昨年秋から「ウクライナをNATOに入れたら承知しないぞ」と米欧側を脅しつつ、先日の2年ぶりの中国訪問をこなして習近平をウクライナ問題で味方につけた上で、これからの2州併合へと向かおうとしている。 (China Will Play Major Role In Russia-Ukraine Conflict: Experts) (The US Response to Russia: Cuban Missile Crisis and Historical Parallels) 2州をロシアに取られたら、ウクライナはもうNATOに加盟できない。NATO側はロシアの2州併合を認めず、今後も「ロシアは2州をウクライナに返すべきだ」と言い続けるが、この状態でウクライナをNATOに入れると、その瞬間にNATOがロシアと戦争せねばならなくなる。NATOへの新規加盟は、既存のすべての加盟国の賛成が必要だ。米英ポーランド、バルト三国など「ヒステリ反露(MI6傀儡)諸国」以外の多くの加盟国が、ウクライナの加盟に反対するようになる。NATOやEUは、内部で、ヒステリ反露諸国と対露現実主義諸国(ドイツ筆頭)との対立がひどくなり、内部分裂して弱くなる。 (Croatian PM Apologises for President’s Outburst on Ukraine) (EU Delivers Collective Reply to Russian Security Proposals) 米欧など「国際社会(笑)」はロシアへの経済制裁を強める。ドルなどの銀行間国際決済のシステムであるSWIFTからロシア勢を除名し、ロシアがドルを使えないようにする制裁もたぶん行われる。だがロシアは、何年も前から中国やイランなど非米諸国と組み、ドルでなく相互の自国通貨で決済して国際取引を続ける新システムを導入し、拡大してきた。欧米のロシア制裁は以前なら、欧州に石油ガスを売れなくなってロシアが収入を失って困窮する流れだったが、近年はロシアの石油ガスの全量を中国が買ってくれる。そのためのパイプラインの送付先変更も準備ができている。ロシアは、米国から何年も敵視されている間に準備完了した。あとは、実際に欧米からの制裁が強化された後、これまで欧州に送っていた石油ガスを中国に送るよう、シベリアやウラルにあるいくつかのバルブを開閉するだけだ。困るのはロシアでなく欧州だ。 (US Expert Warns France And Germany Will "Throw The Americans Under The Bus") (No SWIFT, No Gas: Russia Responds To Western Threats As US Tries To Orchestrate Workaround) 昨夏に完成した、ロシアからドイツ(などEU全土)に天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム2」は、米国がロシア敵視の一環としてドイツに加圧して稼働を止めているので、使われていない。ロシアが2州を併合したら、その後もずっと使われないままになる。欧州が、ロシアから買えなくなった天然ガスを米国から買う構想があったが、最近、米民主党がインフレ対策の一環として米国内の天然ガスを外国に売ることを制限し始めているので売ってもらえなくなる傾向だ。米国は欧州に対し、どこまでも意地悪だ。なのに対米従属を続ける間抜けな欧州。凍死しても自業自得だ。 (Does Biden Think He's King of Europe? Watch His Nord Stream 2 'Botch From Hell') (Democrat Senators Are Trying To Limit US LNG Exports For All The Wrong Reasons) ウクライナが東部2州をロシアに取られたくなければ、ミンスク合意に沿って、東部2州に自治を再付与することを目標に、ウクライナ政府が東部2州の政府と交渉を開始すれば良い。ミンスク合意は、ウクライナ内戦の解決策として2014年からウクライナ政府と東部2州政府、ロシア、独仏などOSCEが集まって交渉してきた枠組みだ。合意が達成されれば、東部2州の人々は自治を再付与され、再び安心して暮らせるようになる。ロシアは、東部2州のロシア系住民を併合によって守ってやれない代わりに、罪滅ぼし的にミンスク合意を推進してきた。しかしウクライナ政府はこの8年間、東部2州との交渉を拒否し続け、全く進めていない。ウクライナの世論は米英のプロパガンダ策によって極度のロシア敵視に陥ったままで、ミンスク合意は「ロシアの悪だくみ」として毛嫌いされ、ウクライナ政府が東部2州と話し合いをすることは不可能になっている。ウクライナ政府が東部2州と話し合いをするには、東部2州の内戦が停戦していることが必要だが、話し合いの雰囲気が醸成されるそうになると米諜報界の傀儡であるウクライナ民兵団が東部2州で戦闘を激化させて潰してきた。 (Armed Nationalists in Ukraine Pose a Threat Not Just to Russia) (Biden’s Insane ‘Russia False Flag’ Conspiracy Debunked) ミンスク合意は履行不能だ。ロシアと欧州の首脳や外交官たちは、こういう状況を知りつつ、ずっとミンスク合意に拘泥してきた。欧州は、対米従属が国是である以上、米国傀儡なウクライナに味方せざるを得ないが、ロシアとの決定的な敵対もエネルギーや安保上の理由から避けねばならない。そのため欧州は、時間稼ぎとしてミンスク合意への拘泥を続けてきた。ゼレンスキー政権などウクライナ政府は、この時間稼ぎの構図のもとで、欧米から経済軍事の支援を受けて延命してきた。国際的な力量が足りなくて2州を併合してやれなかったロシアは、この時間稼ぎの体制下で、国際的な力量を増加させようと努力してきた。その一方でロシアはこの間、2州の住民がロシア旅券をとれるようにしてやり(人口200万人の2州で60万冊の露旅券を発給)、2州の身分証明書や自動車のナンバープレートなどをロシアの公文書として認めてやり、ルーブルを2州の通貨にし、ロシアと隣接する2州の製品が自由にロシアで売れるようにして、経済的な2州の併合を「ミンスク合意が達成されるまでの暫定措置」の建前で進めてきた。 (Minsk Protocol seen by some as peaceful path to resolve Ukraine crisis, but as a Russian trap by others) (Normandy meeting in Berlin shows Kiev doesn’t recognize Minsk Agreements — politician) こうして、あとはいつロシア(プーチン)が、自国が国際的に十分な力量をつけたと判断して公式な2州の併合に踏み切るか、という段階になっていた。ここでプーチンは昨年末から、ウクライナのゼレンスキー大統領に、ミンスク合意を履行する最後のチャンスを与えることにした。ウクライナ政府が、これまでずっと拒否してきた東部2州との話し合いに入るなら、ロシアはその間、2州を併合しない、という話だ。そもそもウクライナ政界のロシア敵視・2州敵視の状況からして、ゼレンスキーが東部2州と話し合うのは無理だったが、ロシアは最後通牒としてこの話を出した。これはゼレンスキーにとって最後の時間稼ぎの好機だった。 (Russia, Ukraine Fail to Make Progress on Donbas Conflict in Latest Talks) (Russian Politician Says Peace With USA Isn’t Possible Unless ‘New World Order’ is Established And America Becomes ‘Weaker’) しかし、その時間稼ぎを破壊する感じで、バイデンの米国が昨年末から「もうすぐロシアがウクライナに侵攻する」と繰り返し騒ぎ出した。米国が騒ぐほど、ウクライナの民兵団など米傀儡勢力がロシア敵視を扇動され、好戦的に動いて東部2州の戦闘を激化し、ゼレンスキーは2州と交渉を開始するふりすらできなくなった。ゼレンスキーがバイデンに「(時間稼ぎができなくなるので)露軍の侵攻を煽るのはやめてくれ」と苦情を発したのはこの流れの中だった。 (Can the Minsk Accords be Implemented?) ("This Goes Way Beyond Wag-The-Dog 2.0" As Ukraine Pushes Back Against American Hawks) 欧州の首脳や外交官たちも、バイデンの露軍侵攻扇動に迷惑していた。欧州(OSCE)の外交官や安保要員たちは、ミンスク合意体制の一環として、ウクライナ東部の停戦を監督し、内戦を止める働きをしていた。米国が露軍侵攻を扇動し、東部の内戦が再燃すると、当初は米英の要員が退避しても、欧州の要員は停戦監視のためにウクライナに残ろうとしていたのが困難になり、2月11日に米政府の侵攻扇動が強まるとともに、欧州の要員も停戦監視をやめて退避せざるを得なくなった。停戦監視団がいなくなると、東部2州での内戦を止める勢力がいなくなり、内戦がさらに激化して和平不能になり、ロシアが2州併合に踏み切らざるを得なくなる。米諜報界の隠れ多極主義者たちが、バイデンを動かし、ロシアが2州を併合して中露と欧米の分裂を加速して多極化が早く進むように策謀している。 (Buchanan: Putin Wants His Own Monroe Doctrine) (Ukraine replies to Russian demands) ロシア議会で2州併合案が最初に出されたのは1月19日だった。プーチンの与党「統一ロシア」でなく、共産党と公正ロシアという2つの野党が併合案を提出した。プーチンは野党に併合案を出させ、ロシアナショナリズムの勃興に沿って併合策が遠くからしだいにやってくる感じを演出している。プーチンの電話一本で議会は動く。ウクライナ政府が2州と交渉開始するなら併合案を進めないけど、いつまでも時間稼ぎできるものではないよ、というウクライナ側への警告だ。 (Will Russia Recognize the Self-Declared Separatist Republics in Eastern Ukraine?) (Russian Duma To Consider Appeal from Luhansk & Donetsk Oblasts for Recognition as "Independent States") この話を書いている間に、ウクライナ政府がミンスク合意の枠組みで急いでロシア政府と話し合いたいと言い出したという報道が流れてきた。ドイツの首相も、ロシアとウクライナを歴訪するらしい(これは以前からの予定みたいだが)。新たな外交の盛り上がりによって、ロシアが2州併合を延期するのかどうか。これまでの時間稼ぎ型とは違う、進展する話し合いをやれるのか。この事態が続くほど世界のエネルギー価格が上がり、インフレが欧米経済を潰していく。どうなるのか。まだ分析したいことはあるが、いったんここで配信する。 (Escobar: Erdogan In Kiev, Putin In Beijing: Can Neo-Ottomanism Fit Into Greater Eurasia?) (Washington recognizes Japan's sovereignty over four islands in southern Kurils) (Russia Is Prepared To Declare Economic War On The West, Inflicting "Huge Economic Pain") (Tucker Carlson-fueled Republicans drop tough-on-Russia stance)
田中宇の国際ニュース解説・メインページへ
|
うたう おえかき クリエイター
<iframe height="182" width="100%" src="https://embed.nana-music.com/sounds/05cf096c/" frameborder="0"></iframe><a href="https://nana-music.com/sounds/05cf096c">nana-music.com</a>
これは、ほんとう なのか❓
コロナ愚策をやめた英国2022年1月20日 田中 宇英国のボリス・ジョンソン首相が1月19日、新型コロナに関する政策を大幅に見直した。イングランドは即日開始し、スコットランドなど自治を持つ諸地域はそれぞれに最終決定するが、これは全英的な措置になる。新措置の中心はコロナワクチン強制と接種旅券体制の廃止で、1月26日までの期限になっている今の接種旅券体制を更新せず終わらせる(医療者に対してだけはワクチン強制が続く)。屋内でのマスク義務も1月20日から解除する。企業などの従業員に対するリモート勤務の強制策も廃止し、コロナ愚策の柱だった都市閉鎖とワクチン強制が終わりになる。ワクチン非接種者に対する行動規制や自宅軟禁策は3月24日まで続く。だが接種旅券体制が終われば、非接種者に対する規制は実効性がなくなる。1月中に、接種せずマスクをしなくても取り締まられずに街や店内を闊歩できる。 (England Ends All COVID Passports, Mask Mandates, Work Restrictions) (Boris Johnson announcement: Covid vaccine passports axed as plan B restrictions set to be lifted) コロナ愚策にはもうひとつ、偽陽性など誤診断を多発させるPCR検査を絶対の判定とみなしてゼロコロナ策をやるという領域がある。この側面についてジョンソンは具体的なことを言っていない。だがジョンソンは、それよりも包括的で重要な宣言を発している。「(ほとんど重症化しない)オミクロン株の感染が山を越え、新型コロナは(パンデミック=危険な世界的感染症から)エンデミック(ヒトが共存できる大したことない風土病)に変わった(Covid becomes endemic)。そのため英政府はコロナ対策を、法的な強制から、人々が政府の忠告を受けつつ自分で慎重に判断するものへと変えることにした」という趣旨を、ジョンソンはさらりと宣言した。ジョンソンは、コロナが英国でエンデミックになったと明言している。これは重大だ。 (PM statement to the House of Commons on COVID-19) コロナに対する世界のすべての愚策は、コロナがパンデミックであるという認定に依拠している。一人でも感染してはならないとても危険な伝染病だから、もしかしたら感染しているかもしれない、といった程度のいい加減さのPCR陽性が一人でもいたらその街を2週間全部閉鎖するゼロコロナ策が採用された。ワクチンは効きそうもないと最初からわかっていても、一応コロナ用に作られたのだから全員が接種せねばならず、効かないなら繰り返し打つことも強制される。マスク義務も、繁華街や学校の閉鎖も、すべてコロナがパンデミックだからだ。コロナが危険さを低めてエンデミックに変身したのなら、あらゆるコロナ愚策が不必要になる。ジョンソンの新政策の要諦はそこにある。エンデミックなら感染発症しても健康な人ならまあ大丈夫だ。コロナは英国において、風邪やインフルと同じになった。 (The Last Days of the Covidian Cult) 世界はパンデミックの感染拡大防止策として、PCR検査を「コロナに感染したが重症化していない人」を探し出すために使ったが、PCRでウイルス付着量の少ない軽症以下の感染者を判定するのはもともと不可能だった。付着ウイルスが少なくても増幅すれば見えてくるはずだと思って増幅すると、無数の「ゴースト・枯れすすき」が出現し、お化けがいないのにお化けに見えてしまう偽陽性が頻発する。PCRは軽症以下の人でなく、かなり発症してウイルスが体内にたくさんいそうな人を検査して「やっぱりコロナのようだ」と医師が確信を強めるための道具だ。それがわかっていたのに、WHOなど世界の権威ある医者たちが、わざと使い方を間違えるインチキをやってきた。エンデミックになると、感染拡大を防止する必要が大幅に低下する。PCR検査は今後のインチキ終了後、インフルエンザの検査などと同様、発症者への治療法を確定するための医師の診断の目安の一つとして、低い増幅度で使われるようになっていくだろう。中程度以上に発症して体内のウイルス量が多ければ、低増幅PCRでも抗原検査でも陽性になる。健康な人はPCR検査すべきでない。誤診してくださいと申し込んでいることになるからだ。 (コロナ危機誇張の要諦はPCR検査) 英国ではコロナがエンデミックになった。だが世界的にコロナはまだまだパンデミックだ。WHOがそう言っている。英国だけコロナの脅威が大幅に低下しました、っておかしいでしょ。ジョンソン首相はこっそり開いた酒宴がばれたスキャンダルで低下した人気を復活させるために、ありもしない脅威低下をでっち上げてエンデミック宣言して、国民に不人気な接種旅券をやめることにしただけじゃないんですか??。コロナ愚策を恒久化したいマスコミとその軽信者たちは、そんな風に言っている。 (Pfizer CEO Predicts Life On Earth "Will Return To Normal" In The Spring) しかし私の前回の記事「コロナワクチンもうやめて」を読んだ人は、今回の英国の転換が、それよりはるかに重要な、効かないmRNAコロナワクチンが自然免疫低下の薬害を起こすことを避けるための接種停止の措置であることを知っている。前回記事で紹介したように、英政府のワクチン政策の権威クライブ・ディクスは10日ほど前に、今回のジョンソンの宣言とほぼ同じことを言っている。前回記事では、ロンドン大学の教授(David Heymann)が「英国は国民の90-95%がコロナの免疫を獲得し、北半球で最も免疫率が高く、すでに集団免疫に達したようなので、もうワクチンの強制は不要だ。英国人にとってすでにコロナは風邪だ」と言っているのも紹介した。ジョンソンの今回のエンデミック宣言は、これらの英国の権威筋の見立てに基づいている。 (コロナワクチンもうやめて) 英国が集団免疫に達したかどうかは確定できない。それより重要なのは、オミクロンになってコロナの重篤性が大幅に下がり、どうみてもエンデミックでしかない状況になっていることだ。そして、ワクチンの反復接種が自然免疫を破壊する可能性の増大。それなのにWHOは今後もずっとパンデミック宣言を解除せず、人類とくに先進諸国の人々に反復接種させようとしている。反復接種による免疫破壊は、とくに自然免疫が強い子供たちの人生を台無しにする。英国の上層部は、国民をそんな目に合わせることはできないので、これまでコロナ愚策で独裁体制の強化を享受してきたのをやめて、自国だけ集団免疫に達したことにしてコロナをエンデミックに格下げし、ワクチン接種を不要にした。 (コロナはすでに終わっている) 英政府が、いきなり反復接種の危険性を大っぴらに公言して接種を全停止すると、WHOやワクチン推進派との対立を激化させて円滑に転換できなくなるし、すでに反復接種している英国民から行政訴訟を起こされ、野党から猛批判される。WHOは中国に牛耳られており、中国は米英覇権を自滅させて自国を優勢にする多極化のために、米英やNATO諸国にワクチンを反復接種させて欧米人のとくに子供たちの免疫を破壊したい。これは隠然とした覇権の戦いでもある。だから英政府は、ワクチンの危険性を言わず、接種した方が良いという姿勢を維持しつつ、まず英国民への接種義務を解除し、エンデミックになったと宣言した。ワクチンが効かないのはすでにみんな知っているので、エンデミックなら接種は不要だ。 (生来の自然免疫を壊すコロナワクチン) 英国では最近、国立病院の医師がビデオ診療で、女性の患者に対し「コロナワクチンは間もなく(効かないことが公式化して)流通停止になる。もう接種しない方が良い。とくに子供への反復接種はやめなさい」という趣旨のことを述べている動画がネット上で拡散している。この動画を贋作だという人もいるが、ジョンソンら英国の権威筋の最近の動きから見て、この医師の発言は方向的に間違っていない。動画が偽物だという人の方が売国奴の疑いがある。 (Shock Video: Doctor Tells Patient Not To Take Vaccines Because They’ll Soon be Pulled) これまで反復接種を国民に強要してきたイスラエルでも最近、政府のワクチン政策の権威(Cyrille Cohen)が「オミクロンで、コロナは風邪みたいなエンデミックになる。接種旅券はもはや概念として正しくない。イスラエルも間もなく接種旅券をやめる。ワクチンが感染拡大を止めなかったのは驚きの失望だ。感染を容認して集団免疫に達するしかない。教育分野(子供たち)にコロナ対策を広げるべきでなかった。深く後悔している(反復接種で子供たちの免疫を破壊したから?)」という趣旨を述べている。前回記事で紹介したように、イスラエルでは最近、テルアビブ大学の教授(Ehud Qimron)も、コロナの愚策を全て批判する公開書簡を政府あてに出している。 (Israeli vaccine advisor: “We have made mistakes”) ("Doomed To Fail" - Top Immunologist Blasts Global COVID Response Driven By "False Propaganda") 他の欧米諸国でも今後、ワクチン強制などのコロナ愚策をやめようとする動きが広がるだろう。コロナ愚策に反対する人々の集会やデモも拡大している。少し前までインチキなコロナ危機が世界的にまだまだ続くような感じだったが、状況は急速に変化している。 (Thousands protest against tougher Covid rules in France)
田中宇の国際ニュース解説・メインページへ
|