コロナ👈グリーンピース

環境破壊が引き起こすパンデミック

昨年12月に中国で確認され、世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス(正式名称:SARS-CoV-2)。
コロナウイルスは動物から人、人から人に感染するウイルスの一種で、人に感染する7つの型のうち3種に(*1)、重篤な肺炎を発症する危険性があります。これらのウイルスは過去にもパンデミックを引き起こしており、最初が2003 年のSARS重症急性呼吸器症候群)、次が 2012 年のMERS(中東呼吸器症候群)です(*2)。

動物や人間の体内で暮らし、世代交代ののちに宿主の生命を危険に晒すほど凶暴になったウイルスが、人間の間で感染爆発を起こす要因のひとつが、環境破壊です。
近世にはいり、人間社会は膨大な量のエネルギーを消費しながら飛躍的な発展を遂げてきました。食糧の増産や医療の進歩、上下水道などインフラの整備に伴って、人口も爆発的に増えていきました。
そしてやってきた消費社会のための乱開発が、野生動物の生態系をも脅かすようになりました。大量消費を支える大規模な環境破壊が、現在のようなパンデミックのきっかけになっているのです。

“Greenpeace”

マレーシア・ボルネオ島の森のオランウータンの子ども。

たとえば、1970年代から何度も繰り返されているエボラ出血熱の流行は、地下資源が豊富な中央アフリカや西アフリカで開発を目的に広大な森林が伐採されたことが原因とも指摘されています。マレーシアでは食肉需要の増大のため森林地帯にまで畜産農場を建設したことで、森に棲むコウモリから豚に感染したニパウイルスが人にうつり脳炎を発症、この20年余りの間にインドからアジア一帯で十数回も大流行が起きています(*3)。
誰もが手にするスマートフォンや、気軽に口にする加工食品の原料の生産のために破壊された森から、パンデミックは始まっているかもしれないのです。

 

気候変動によって拡大するウイルス

コロナウイルス以前に、マラリアデング熱など、蚊やダニといった血を吸う虫が、動物から人、人から人へ感染するウイルスを媒介することはよく知られています
気候変動を原因とする地球温暖化でこうした生物の移動範囲が拡大、アフリカからアメリカ大陸に急速に広がったジカウイルス、ウガンダからカナダに達した西ナイルウイルス、アフリカや東南アジアから亜熱帯・西半球に広がったチクングニアウイルスなど、ウイルスが確認される範囲が広がっています(*4)。

環境破壊を伴う大量消費社会。
人間がこのライフスタイルを変えない限り、次の世代は産業革命以前の温度よりも4℃高い環境で暮らすことになります。
その環境下では、気候変動による食糧不足、海面上昇による居住範囲の縮小、安全な水の不足、大気汚染や異常気象の危険性ばかりでなく、未知のウイルスにさらされるリスクまでも高まります(*5)。

多くの市民の外出や経済活動が制限されているいま、それでも、立ち止まっているわけにはいかないのです。
こんなときだからこそ、できることを続ける必要があります。

 

“Greenpeace”

2019年12月、古い服を草木染めでリメイクしたグリーンピースのイベント。

私たちはすでに、節電や省エネルギー、マイボトルやマイ箸、エコバッグやリサイクルなど、少しでもよい環境を次の世代に引き継ぐためのとりくみを始めています。100%自然エネルギーを宣言する企業も、持続可能な原料調達方針を掲げる企業も現れ始めています。
こうしてできることを誰も決してやめないこと、そして政府が率先してそのリーダーシップをとることが、次の世代が暮らす地球をまもる唯一の方法です。

これからの10年間に何ができるかが、人類の未来を大きく左右します。
使い捨てと大量消費の時代を終わらせ、化石燃料の使用量を減らし、二酸化炭素の排出量を減らすことで地球の温度上昇を1.5℃以内に抑え、異常気象や感染症の拡大の原因となる環境破壊をくいとめるために、いまこそ、世界中が手をとりあって行動するときです。
グリーンピースといっしょに、行動を続けてください。

グリーンピースでは、職員はすべて自宅勤務を指示され、安全に通常業務に就いています。
内藤さんや、周りの方々はいかがでしょうか。
いつまでこの状態が続くのか、苦しく感じることもあるのではないでしょうか。
笑顔でまたお会いできる日のために、どうかご自身を労ってください。
お気をつけて、お元気で。

 

“Greenpeace”

グリーンピース・ジャパン サポーター窓口
金海 初芽

PS:
グリーンピースでは、新型コロナウイルス感染拡大防止のために先週、政府に提言書を提出しました。
ウェブサイトでは感染防止マニュアルも公開中です。

 

 

注:
1:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
2:https://kadobun.jp/feature/interview/9yhcdzonav40.html
3:https://www.nippon.com/ja/in-depth/a06602/
4〜5:https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2020/03/31/12788/