気候ネットワークから

 気候ネットワーク メ-ルマガジン
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■ ■ ■ ■ ■ ■■■  第243号(2019年12月17日発行)
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         「市民のチカラで、気候変動を止める。」
           気候ネットワークより月2回
       地球温暖化問題を巡る最新情報をお届けします。


        /// 次号は2020年1月15日頃発行予定です ///


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■ 政府・国会・NGOの動向
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●RE100が年次報告書を公表、会員数対前年比33%増など成果をアピール
 12月2日、国際NGO THE CLIMATE GROUPが率いるイニシアティブ、RE100の年
次報告書を公表した。同報告では、会員企業数の増加に加え、会員企業がRE100
を達成する平均目標は2028年であり、3社に1社がすでに75%再生可能エネル
ギーとなっており、また30社は既に再エネ100%目標達成していること等を主
な成果として挙げている。
<http://media.virbcdn.com/files/5c/aa8193f038934840-Dec2019RE100ProgressandInsightsAnnualReport.pdf>

ベンチマーク制度の見直しと定期報告書WEBシステムの導入
 12月4日、省エネルギー小委員会 工場等判断基準WG(第2回)が開催された。
前回WGでの方針に則り、業種ごとのエネルギー消費効率(ベンチマーク)の
目標設定や評価方法を含む、産業部門のベンチマーク制度の見直しが進められ
ており、当日は、指標の見直しが「必要あり」とする高炉鉄鋼業とセメント製
造業の進捗状況が報告された。また、目標達成に向けて努力した事業者の評価
補助金等の支援策の運用に活用することや、評価ツールとなる中長期報告書
と定期報告書の見直し案について審議された。
 定期報告については電子申請率が17%にとどまっていることから、紙媒体の
データ化に係るコストが大きいため、環境省の温対法の報告と絡めて「定期報
告書WEB入力・申請システム」を導入して「作成支援、電子申請、DB化」を一
体化することで、事業者と国の双方の作業コストを大幅に削減する方針が示さ
れた。
<https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/kojo_handan/2019_002.html>

●電力各社が再エネ出力制御の低減に向け、運用の見直しへ
 12月5日、電力・ガス基本政策小委員会系統WG(第24回)が開催され、再エ
ネの出力制御を実施している各地域の電力会社(北海道、東北、北陸、中国、
四国、九州、沖縄)が、今後の再エネ出力制御の見通しを報告した。見通しの
算定に当たり、安定供給に必要なものを除く火力等の抑制、停止に加え、揚水
発電と地域間連系線の最大限活用が前提とされた。
 また九州電力からは、同社が実施した再エネ出力制御の運用見直しの結果、
1割程度の出力制御の低減効果があったことが報告された。具体的には、実需
給の2時間前に制御の要否を判断し、それをオンライン制御に反映することで
制御量が顕著に低減した。今後は、オフライン制御の太陽光発電所についても、
制御当日の日射量が前日の予測量より下振れした場合は出力制御を回避でき
る運用とすることで、制御量をさらに低減させる方針。
<https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/024.html>

太陽光発電事業に対する環境アセス省令案、電力安全小委員会で承認
 12月5日に開催された第21回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分
科会 電力安全小委員会において、アセス対象とすることとなった太陽光発電
事業に関する関係省令(電事方施行規則、発電所アセス省令)の案が議論され
た。設備の存在及び供用に関する環境影響評価項目として、パワーコンディシ
ョナーからの騒音や、斜面崩壊等土地の安定性への影響、太陽光パネルからの
反射光による影響などが挙げられ、委員からは特に異論なく、今後パブリック
コメントを実施し、来年4月1日の施行を目指すこととなった。
<https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/021.html>

●高度化法に基づく非化石電源比率の中間目標の設定へ
 12月6日、電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会(第36回)が開催
され、「高度化法」に基づく非化石電源比率の中間目標値(2030年目標は44%)
、小売電気事業者間の競争環境の在り方などについて審議された。
 高度化法の達成計画の提出義務がある、年間電気供給量が5億kWh以上の事業
者の2018年の非化石電源比率は平均で22.8%であり、非化石電源の新規調達が
困難な事業者は目標達成のために非化石価値証書を購入することが想定されて
いる。証書の流通が増大した場合、証書価格の電力料金への適切な転嫁、旧一
般電気事業者の発電部門から小売部門への不当な内部補助の抑制、証書の適切
な最低価格の設定が目標達成の成否を左右するとの指摘が目立ち、これらにつ
いては監視等委員会での議論も踏まえつつ対応する方針が示された
 また、容量市場における発電側基本料金を150円/kWh・月とする案が示され、
特段の異論は出なかったのでそのまま監視等委員会の制度設計専門会合に報
告される予定。
<https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/036.html> 

●気候ネットワーク、フロン回収よりも脱フロン化の対策強化を
 12月6日、気候ネットワークはポジションペーパー回収ではなく脱フロン
化がフロン対策の要~日本における”フロン回収に限界”の実態~」を公表し
た。本ペーパーは日本のフロン対策の現状と課題を考察し、その評価と今後の
対策のあり方についての議論を深めるためにまとめられたものである。本レポ
ートでは、日本においてフロン回収を20年近く法律付けながら、回収率は向上
できず、効果は上がっていないことを指摘、現状の対応では今後も回収率が向
上することは期待できないと分析している。日本がフロン対策でまずやるべき
ことは、HFC(代替フロン)への転換を推進する政策を止め、脱フロンへの早
期転換を促すが必要だとしている。
<https://www.kikonet.org/info/press-release/2019-12-05/F-gas-phase-out>

●新・国際資源戦略の検討で「高効率火力発電」の国際展開を明示
 12月11日、総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会(第28回)が開催さ
れ、資源外交のあり方や新興国の取り込みの方策、石油備蓄を核とした緊急時
の供給体制等にかかる新・国際資源戦略の検討状況が報告され、同戦略の策定
に向けた提言案について議論された。
 提言案においては気候変動問題への対応加速化も言及されている。しかし、
その方向性としては、CO2の有効活用のためのCCUSを含むカーボンリサイクル
等の国際ルール策定への参加や高効率火力発電の国際展開などが打ち出されて
おり、そのためにJOGMECの持つ人材や技術等を活用の上で、その機能のさらな
る強化が必要などとしている。新規石炭火力の新設は高効率であっても1.5℃
目標には整合せず、日本の新規石炭火力建設への批判に対応していない。
<https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/028.html>

●再エネ主力電源化制度改革に係る中間とりまとめ案が提示
 12月12日、総合資源エネルギー調査会 再エネ主力電源化制度改革小委員会
(第5回)が開催され、それまでの計4回の小委での議論を踏まえた中間とりま
とめ(案)が提示された。
 同案では、今後整備される再エネ電源を競争電源と地域活用電源とに大別し
た上で、各電源が中長期的に定着・自立するための支援制度(競争電源向けの
FIP、地域活用電源向けのFIT)の在り方や、再エネ電源が地域からの信頼を確
保するための方策(公表情報の拡大、廃棄費用の確保など)がまとめられてい
る。
 さらに、再エネ拡大を支える次世代電力ネットワークを系統運用者が主体的
かつ計画的に形成するための系統費用の分担の在り方や、災害時に復旧しやす
くかつ独立運用できる分散型グリッドを推進するための方策についてもまとめ
られている。同案は最終調整の上、今後パブコメにかけられる予定。
<https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/saiene_shuryoku/005/>

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■ 国際動向
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●ドイツ環境NGO、日本が最も気候変動被害を受けた国、と発表
 12月4日、ドイツ環境NGOのGerman watchはスペインのマドリードで開かれて
いたCOP25で「Global Climate Risk Index 2020(グロバール気候リスク指数)」
を発表した。リポートでは、世界の国に異常気象でどういう影響(死者数
や経済的な損失など)があるかを分析し、去年最悪の被害を受けたのは日本だ
ったと発表した。その理由として、2018年に日本で異常気象がいくつかあった
ことを挙げている。まず7月に西日本を中心とした豪雨、さらに7月中頃から8
月末までのひどい猛暑、埼玉県熊谷市で41.1度で観測史上に最も高い気温が記
録されている。そして、9月に25年ぶりの最強台風21号に見舞われたことなど、
立て続けに気候災害に見舞われていることが背景にある。
 このリポートでは、過去20年に世界全体で12,000以上の異常気象によりほぼ
50万人が亡くなり、約3540億ドールの経済的な損失があったとしている。気候
変動に脆弱な国をサポートするため、気候関連資金援助の拡大が不可決で、温
暖化対策全体の強化が必要だとしている。
<https://germanwatch.org/en/17307>

●日本の金融機関・投資家が石炭投融資リストのトップを独占
 12月6日、COP25にて石炭産業に投融資する世界の金融期間に関する最新調査
報告書がドイツの環境NGOウルゲワルド(Urgewald)およびオランダのバンク
トラック(Banktrack)により発表された。報告書によると、日本の民間銀行
の、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)、三菱UFJフィナンシャルグル
ープ(MUFG)、そして三井住友フィナンシャルグループSMBCグループ)が石
発電所開発企業への融資者として融資額ランクの世界第1位から3位までを占
めていることが明らかになった。これら日本の三大メガバンクは気候変動関連
財務開示タスクフォース(TCFD)の気候リスク報告に関する提言に賛同してい
るにも関わらず、国内外で新規石炭火力発電事業への融資を続けており、国際
的なブランドに対する大きな評判リスクになりかねない、としている。
<https://www.kikonet.org/info/press-release/2019-12-06/urgewald_cop25>

●気候変動政策指数、日本は51位に下落
 ドイツ環境NGOのGerman Watchは12月10日、気候変動の「気候変動パフォーマ
ンス指数(The Climate Change Performance Index)2020」(以下CCPI)を発
表。2005年から開始し毎年発表されるCCPIでは、EUと57ヵ国による気候対策の
動向をモニタリングし、国際的な気候に関する政策への透明性を目的とする。
気候変動パフォーマンスのランキングにおいて日本は去年から2順位も下がっ
た51位に転落し、気候変動対策への乏しさが目立つ。一人あたりの温室効果
スの排出量は削減しているものの、国としての政策が甘く、削減は長くは続か
ないだろうと試算している。また、2050年までの80%削減目標設定は低すぎる
とし、2030年の2℃の気温上昇に抑制する目標達成は難しいと発表。G20議長国
としてリーダー性に欠けており、海外への石炭融資がこの順位に下がった理由
として挙げられる。
<https://www.germanwatch.org/en/17281>

●IRENA、パリ協定に整合するには「再エネ倍増」が必要と報告。
 12月11日、国際再生可能エネルギー機関 (IRENA)はスペインのCOP25で「N
DCs in 2020: Advancing Renewables in the Power Sector and Beyond」とい
う報告書を発表した。それによると、パリ協定の目標を達成するためには、現
在の3.2テラワット(TW)を占めている再エネルギーに関する各国が決めた貢
献(NDC)を2030年までに7.7TW、つまり2倍以上にする必要があるとしている。I
RENAのフランチェスコ・ラ・カメラ代表は「脱炭素の経済は技術的に可能で、
社会的にも経済的にもメリットがある」と述べ、再生可能エネルギーの増強は、
経済発展や職業開発や福祉などに有益で、エネルギーへのアクセス向上や貧
困削減にもつながるとしている。
<https://www.irena.org/newsroom/pressreleases/2019/Dec/COP-25-RE-Ambition-in-NDCs-Must-Double-by-2030>

●国際環境NGO・CAT、日本の政策は「かなり不十分」
  国際環境NGO「クライメート・アクション・トラッカー(CAT)」は11日、各
国の気候変動に対する取り組みや目標の調査・分析を行った評価レポートを更
新し、WEBサイトで公表した。レポートでは、現在行なわれている各国の取り
組みではパリ協定の目標を達成することは難しく、今世紀末には2.8~3度気温
が上昇する可能性があるとしている。
 また、各国政府がそれぞれのNDC(削減目標)を達成するために十分な政策を
実行しているかを評価するリストでは、日本は最下位から11番目で「かなり不
十分」と評価された。この背景には、石炭火力に投資を行ない、新しい石炭火
発電所の建設計画を行なっているなど、再生可能エネルギーへの転換が遅れ
、石炭火力をやめない姿勢がある。また、日本は2020年にNDCを更新するつも
りが無いと公表しており、更新をしなければパリ協定を初めとする日本が従前
において結んできた協定に違反する可能性があるとしている。日本が「パリ協
定に適合」する国として評価されるには今後更なる努力が必要だと評価されて
いる。
<https://climateactiontracker.org/press/global-update-governments-showing-little-sign-of-acting-on-climate-crisis/>

●COP25閉幕 市場メカなどの合意を持ち越し
 12月15日(マドリード時間)、スペイン・マドリードで開催されていた国連
気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)は、パリ協定の実施指針の積み
残し課題を中心に交渉が行われたが、2日延長して続けられた交渉の末、市場
カニズムについては各国の立場の溝を埋めることができず、COP26グラスゴ
ー会議に持ち越す形で閉幕した。

▼プレスリリース:COP25、市場メカなどの合意を持ち越して閉幕 日本は自
らの削減目標の引き上げと脱石炭の宿題へとりかかるべき(12月15日)
<https://www.kikonet.org/info/press-release/2019-12-15/cop25-statement>

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■ 地域動向
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岩手県北部9市町村がが2050年の温室効果ガス排出量ゼロを共同で宣言
 12月2日、岩手県に続き、同県北部の9市町村(久慈市二戸市洋野町、一
戸町、軽米町、葛巻町九戸村、野田村、普代村も合同記者会見にて、再エ
ネを軸とする横浜市との広域連携等の取組により、2050年までにCO2排出量を
実質ゼロにすると宣言した。
 環境省によると、12月6日時点で27の自治体(9都府県、11市、4町、3村)が
2050年CO2排出実質ゼロを表明しており、それら自治体を合計すると人口は
約4,300万人(日本総人口の約34%)、GDPは約225兆円となる。
<https://www.city.ninohe.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=12147>
<http://www.env.go.jp/policy/zerocarbon.html>

●長野県北安曇郡白馬村、気候非常事態宣言
 12月4日、長野県北安曇郡白馬村において長野県内初となる「気候非常事態
宣言」を表明した。同日開会の村議会12月定例会の冒頭あいさつで、下川正
剛村長が宣言文を読み上げた。住民とともに気候変動の危機に向き合い、温室
効果ガスの抑制、再生可能エネルギーへの転換、白馬の四季と良質な雪を守る
ことなど5項目を掲げる。地元の白馬高校2年生3人が主体となり、9月にJR
白馬駅前で行ったデモ行進で宣言を要望。3日も下川村長に宣言を求める住
民ら153人分の署名を手渡していた。
<https://www.vill.hakuba.lg.jp/material/files/group/2/hakuba_climate_emergency_declaration.pdf>

●長野県、都道府県で初の「気候非常事態宣言」
 12月6日、令和元年11月県議会定例会における「気候非常事態に関する決議」
を受けて、阿部知事が「気候非常事態」を宣言し、この中で「2050年二酸化
炭素排出量実質ゼロ」とすることを表明した。
<https://www.pref.nagano.lg.jp/ontai/documents/kikohijyojitaisengen.pdf>

兵庫県明石市 来年3月議会で「気候非常事態宣言」を表明へ
 12月11日、市議会生活文化常任委員会で市が、気候非常事態宣言をする方針を明
らかにした。同宣言に関する決議を求める請願も市民から提出され、採択され
た。明石市は、宣言案を作成後、内容について市民意見を公募する方針。関西
で、気候非常事態宣言をする方針を明らかにした初めての自治体となった。
<http://www2.city.akashi.lg.jp/gikai/c-2/tuukoku_01_12.pdf>

●福岡県大木町が「気候非常事態宣言」を表明
 12月12日、大木町は議会の同意を得て、気候非常事態宣言を表明しました。
 「世界中の地域や自治体と連携し、子ども達の未来のために、町民の皆さん
と連携して取組を進めていく」と町長はコメントした。
<https://www.town.ooki.lg.jp/material/files/group/1/kikouhijyoujitaisenngen.pdf>

●東京都、「みんなでいっしょに自然の電気」キャンペーン開始
 東京都は、このほど、国内初の再生可能エネルギーグループ購入促進モデル
事業参加登録「『みんなでいっしょに自然の電気』キャンペーン」を開始した。
このモデル事業では「みんなでいっしょに自然の電気」という多くの消費者
が集まることで、電気代を節約するキャンペーンで一般家庭の標準的な価格以
下になることを想定している。太陽光や風力などの自然からの電気(再生可能
エネルギーの割合が30%以上の電気)の購入を首都圏在住の一般家庭や個人事
業者を対象として募っている(登録期間は2020年1月21日(火)まで)。多くの
人が参加することでエネルギーを安価にし、クリーンな環境を維持することに
繋がるとしている。
■ 参加登録開始プレス
<http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/11/22/08.html>
■「みんなでいっしょに自然の電気」キャンペーン特設ホームページ
<https://group-buy.jp/energy/tokyo/ho

枝廣淳子さんから

 Enviro-News from Junko Edahiro


                      No. 2727 (2019.12.15)

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エルネオスというビジネス雑誌で『枝廣淳子の賢者に備えあり』というコラムを書かせていただいています。
https://www.es-inc.jp/library/writing/sonae.html

12月9日号では、「首相所信演説で気候変動に触れない日本」と題したコラムを書きました。許可を得て、ご紹介します。


~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~


エルネオス『枝廣淳子の賢者に備えあり』

「首相所信演説で気候変動に触れない日本」

前回、世界の多くの自治体が気候非常事態宣言を出しているのに、日本ではゼロ。「温暖化の現状と見通しにしっかり向き合い、住民の命と暮らしを守り、将来世代への責任を果たそうと、日本で最初に宣言を出すのはどの自治体でしょうか?」と結びました。

その後、9月25日に長崎県壱岐市が日本初の非常事態宣言を出し、10月4日には神奈川県鎌倉市議会も非常事態宣言を可決!

ほかにも、いくつかの学会などで気候非常事態宣言を出しています。より多くの自治体や団体が危機意識を共有し、取り組みを全力で進めてくれることを期待しています。

先日の台風19号は多くの被害をもたらしました。いまだに復旧できていない地域もあります。温暖化の進行に伴って、海水温が上昇することで、蒸発する水蒸気が増え、大気中で水蒸気が凝結する時の熱放出量が大きくなります。これが台風のエネルギーになりますので、温暖化の進行に伴って、台風が強烈になっていきます。

また、気温が1℃上昇するたびに、大気中の水蒸気量は7%増加します。温かい空気は多くの水蒸気を保つようになり、限界を超えた時に降る雨の量が大きくなります。これが豪雨の増えている理由にもなっています。

日本でも世界でも、記録的な高温や台風等の強大化、豪雨、大洪水などが毎年起きています。頻発する大規模な山火事や深刻化する干ばつなどに苦しんでいる国もあります。

世界的に、気候変動の影響が顕在化し、被害者や死者数も増大している現実を前に「気候変動」「温暖化」と言っている場合ではない、これは「気候危機」だ、という認識が広がっています。

国連のグテーレス事務総長も少し前から「気候危機」という言葉を使っており、欧米のメディアでも「気候危機」「気候非常事態」という用語が使われるようになりました。日本でも今年八月に日経新聞に「気候危機」という見出しが登場し、気候変動やSDGs持続可能な開発目標)関連の場面などで使われるようになっています。

この「気候危機」に対処すべく、若者たちを中心とした気候ストライキ、気候マーチ(デモ行進)なども世界中で行われています。9月に行われた世界一斉の気候マーチには全世界で400万人が参加、日本でも5000人が街に繰り出し、緊急対策を訴えました。また、東京都に気候非常事態宣言を出してもらおう!という署名活動も展開されています。

このように気候変動の影響が顕在化し、人々が懸念を深め、若者たちが行動を起こし始めている時に、国のトップである安倍晋三首相はどのように考えているのでしょう

10月4日の第200回国会での安倍内閣総理大臣の所信表明演説で、「温暖化」や「気候変動」にまったく言及がなかったことに強い違和感を覚えました。「これからも、安倍内閣は経済最優先です」とだけ強調し、経済活動から排出されるCO2など温室効果ガスがもたらす温暖化をどうしていくつもりか、考えていないかのようでした。

今年4月に提言書を首相に渡した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会」(私も委員でした)の初回、安倍首相は冒頭の挨拶で、「もはや温暖化対策は、企業にとってコストではありません。競争力の源泉であります」と力を込めて発言していたのに……。

今回の所信表明演説で、環境問題に触れたのは、ただ1カ所、海洋プラスチックごみについてでした。もちろん海洋プラスチック汚染も大きな問題です。でも、いまや、英国、カナダ、フランスなど、自治体ばかりでなく、国家も気候非常事態宣言を出しているほどに気候変動への危機感は高まっています。

最近、気候変動は未来世代の健康に深刻な悪影響を与えるという研究結果も出ました。日本にとっても、首相が自ら発言し、取り組むべき大きな問題ではないでしょうか?


~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~


先日、エコプロ展で、SPEED研究会による特別セミナー「ゼロエミッション都市と気候非常事態宣言~日本で最初のCEDに関するシンポジウム」が開催され、私もパネルディスカッションのコーディネータとして参加しました
https://www.catcorp.jp/speed/event.php

日本で最初の気候非常事態宣言を出された壱岐市の白川市長も登壇され、会場には「自分たちも検討している」という自治体の方々もおられました。

このシンポジウムの前々日に長野県白馬村が気候非常事態宣言を出し、当日には長野県も宣言を出しました!

白馬村には今年5月に気候変動と地域経済のテーマでのシンポジウムに参加させていただき、基調講演で「気候非常事態宣言をぜひ!」とお伝えしたことがひとつのきっかけになり、高校生たちが気候マーチをするなど、村にアピールしたことがつながったとうかがって、とてもうれしく心強く思いました。

「気候非常事態を宣言した日本の自治体」マップから、それぞれの宣言文をお読みいただけます。
https://www.es-inc.jp/ced/


2019年9月25日 長崎県壱岐市
https://www.city.iki.nagasaki.jp/soshiki/sdgs/6196.html

10月4日 神奈川県鎌倉市
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gikai/documents/gikaigian0905.pdf

12月4日 長野県北安曇郡白馬村
https://www.vill.hakuba.lg.jp/material/files/group/2/hakuba_climate_emergency_declaration.pdf

12月6日 長野県
https://www.pref.nagano.lg.jp/ontai/documents/kikohijyojitaisengen.pdf


そして、まだマップにはアップされていませんが、12月12日に福岡県の大木町も気候非常事態宣言を出しました!
https://www.town.ooki.lg.jp/material/files/group/1/kikouhijyoujitaisenngen.pdf


もちろん、宣言だけでは何も変わりません。先日のシンポジウムでも「どう実現していくか」も大きな論点となりました。でも、宣言することは、問題をしっかりと認識し、これから進めていくという、決意表明です。市民・町民・村民の意識を高めていくうえでも、議会や事業者、NGOなどと連携をしながら進めていくうえでも、「大事な一歩」だと思うのです。

スペイン・マドリードでの国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の会場で、ドイツのシンクタンクジャーマンウオッチが、「2018年、気象災害の被害が最もひどかった国は日本だった」という報告書を発表しました。たしかに、昨年の日本は西日本豪雨や猛暑などの気候災害に見舞われました。今年の日本も台風19号を筆頭に甚大な被害が出ています。そして、残念なことに、「これで終わり」ではないのです。

来年にはこのマップが宣言自治体で埋まりますように! 「宣言文のたたき台を見てください」というご要望があれば、いつでもどうぞ! できる限りお手伝いしたいと思います。

天然住宅から

こんにちは、スタッフの井上です。

 

先日、近所の原っぱでやっていた

プレーパーク(主催の運動会)に娘と一緒に参加しました。

 

集まった10数名の子どもたちと、それ以上の数の大人とで

数時間、楽しく体を動かしました。

 

はじめは、私のそばでモジモジしていた娘も

最後は「また来たいなぁ」とずいぶんと気に入った様子。

 

普段は放課後、学童に行っていますが

最近、外遊びが足りていないような気がしていて

週の何日かでも、プレーパークで遊んでほしいな、

なんてことを考えていたところでした。

 

娘の「また来たいなぁ」の熱が冷めないうちに

彼女の日常生活の中に、「プレーパークで遊ぶ日」を

組み込んでみたいと思っています。

 

今号もイベント情報など盛りだくさんでお届けします!

最後までぜひお付き合いください。

 

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《 完成見学会@横須賀 》

 

12月15日(日)、神奈川県横須賀市で完成見学会を開催します。建主さまは30代のご夫婦。最近ご出産され、新しい家族とともに暮らしはじめます。
 
玄関を入るとキャンプ道具や自転車などを収納できる大きな土間。室内は広々としたキッチンを中心に、リビング、各個室、水回り、庭がつながり、老後も不便なく暮らせることを想定したシンプルな間取りになっています。
 
当日は、静岡で無垢材家具を製作する「すまうと」の家具も展示します。無垢の家具にもぜひ触れてみてください。

 

見学会の詳細は こちら

《 完成見学会@中野 》

 

12月21日(土)に東京都中野区で開催する完成見学会。

親子三世代が暮らす賃貸付きのフルオーダー住宅です。

 

施主自ら伐採した大黒柱を中心に、2階リビング空間が広がります。畳スペースには回転障子を設け、開けたり閉じたりが可能な空間に。
洗面室・キッチン・リビングの動線を流動的にし、家事のしやすさを考慮。空を見るのが好きだというお母様のために、北側には天窓を設けました。1階の賃貸部分もいつもと同じこだわりの空間が広がります。

 

午後の部は田中優セミナーも。「すまうと」の家具もご体感いただけます。

年内最後の見学会。ぜひ足をお運びください!

 

見学会の詳細は こちら

《 防災にも役立つオフグリッドのはじめかた 》

 

10月に襲来した台風19号。オフグリッドハウス を建築し、5年目を迎えた横浜市在住の佐藤様邸でも、建築後初めての停電がありました。あたりが真っ暗な中、我が家だけに灯る明かり。その時「オフグリッドは防災になる」ということを改めて実感されたそうです。

 

それから数日後のお住まい見学会で、オフグリッドハウス についてのお話をたっぷりと聞かせていただきました。

 

当日の資料の一部をブログにて公開しています。

「オフグリッドに興味がある」「これから始めてみたいと考えている」という方のお役に立てれば幸いです。

 

ブログの閲覧は こちら

《 新人スタッフのご紹介 》

 

この夏、2年ぶりに人材募集を行った天然住宅。縁あって入ってくれた仲間をご紹介します!
 
営業の金田(かねだ)は、幼少期から自然の中で遊ぶのが好きで、オーガニック雑貨の会社で働いていた経験を持ちます。

 
金田には、入社する前に建主さまをお迎えした親睦会に参加してもらいました。大勢の建主さまを前に、物怖じすることなく挨拶をしている様子や、緊張しつつも積極的に楽しそうに歓談する様子が印象的で、これからどんな風にお客さまとコミュニケーションをとりながら家づくりの業務を担っていくのか、いちスタッフとして楽しみです。これからどうぞよろしくお願いします!

 

▼金田による自己紹介は  こちら

《 スタッフの○○○ 》

「気晴らしにオススメのyoutube」は?

 

・暮らしに役立つアイテムを紹介する「山崎実業」の動画は、スッキリ暮らせるのではないかと思わせてくれてついつい見入ってしまいます。(経理・下岡)

 

・子どもからの「パプリカの振り付け動画で踊ろうー踊ろうー」日課になり、気づけば自分の気分転換になっていますね!(営業・中村)

 

・「Peaceful Cuisine」というビーガン料理を紹介するチャンネルが好きです。中でもコーヒー豆を自家焙煎する動画は生豆のパチパチ音がたまらず何回も見ます!(営業・金田)

 

暮らしの中に根付いているyoutube皆さんにもお気に入りの番組はありますか? 

 

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森を守って 健康 長持ち  株式会社 天然住宅 

188-0001 東京都西東京市谷戸町3-26-6-5F 

TEL:042-439-6262  FAX:042-439-6232 

メール:contact@tennen.org 

ホームページ: http://www.tennen.org

 

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奈須りえさんから

奈須りえのメルマガ 目からうろこ 

第43号 区営住宅の入居要件拡大という、政治のまやかし

大田区議会議員 フェアな民主主義 
奈須りえです。


寺脇研さんから、前川喜平さんと
作った映画の試写会のご案内をい
ただき「子どもたちをよろしく」
を観てきました。

貧困、性的虐待、いじめ、親の離
婚、ギャンブル依存、スクリーン
を直視できない場面がいくつもあ
り、観ていて苦しくなりました。

寺脇さんと前川さんからこの現実を
どうするのか、と突き付けられたか
らです。

映画のタイトルは
「子どもたちをよろしく」。

私は議員ですから、予算と政策と
いう政治で、この、どうしようも
ない子どもの現実を良くしていき
ます。

みなさんなら、この映画を観て、
どう一歩を踏み出すでしょう。

2月29日からユーロスペース他で
公開です。
https://cinemarche.net/news/kodomotatiwoyorosiku-arasuji/

今日、18時半から区政報告会です。
(詳細は下に)
読んで心に留まることが一つでもあったら
ぜひ、一緒に、考えましょう。

:*:*:*:*:*:

第43号 区営住宅の入居要件拡大という、政治のまやかし

区政住宅に入所できる、子どもの
いる世帯の子どもの年齢が、未就
学児から18才以下に拡大されま
した。

一見良さそうに見える改正ですが、
以下の理由から、フェアな民主主義
奈須りえは、たった一人でしたが、
条例改正に反対しました。

【対象は広がっても増えない住宅数】

申し込める対象は、これまでより
広がるので、一見、良い改正に見
えますが、今も未就学児の世帯の
すべてが区営住宅に入れるわけで
はありません。

対象者を増やすにもかかわらず、
区営住宅の戸数を増やすわけでも
ありません。

【区営住宅の入居倍率がさらに上がる】

当たり前の話で、大田区にも確認し
ましたが、入居の倍率があがり、入
居しにくくなります。

未就学児の居る家庭の方がこども
を預けて働らかなければならない
など、困難ですから、単純に18
歳以下まで拡大すると、大田区
住宅施策は、向上するどころか、
相対的に低下することになります。

【サービスが不足で対象者を広げ、
広く薄くの社会保障に】

これは、実は、今回に限らない、
政治のまやかしの一つの手法です。
大田区の福祉・教育で、需要に対
し、サービス供給量が足りないに
も関わらず、予算や施設は同じで
対象要件だけを広げるということ
が起きています。

その結果、サービスを受けられる
回数や頻度が減ったり、競争が激
しくなったりしています。

広く薄くは、一人当たりの福祉・
教育の後退を意味します。
一見やっている風のパフォーマン
スが政治で行われているのです。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

☆集会・イベントなどのお知らせ

◆奈須りえ区政報告会
「これでいいの?大田区
12月11日(水)18時半~
場所:大田区消費者生活センター大集会室
資料代:¥500
気になる区政の動きについてご報告します

◆危険な増便・都心低空飛行撤回求める総決起集会

12月17日(火)19時~
アプリコ地下展示室蒲田駅近く
東京都大田区蒲田5-37-3
参加費500円

◆世界から見た日本のヒューマンライツ
 表現・報道の自由・ヘイト・ジェンダー

日本の中にいては、なかなか見えない
日本の問題、国際基準とのズレなど、
世界から見た日本の問題をBBCなどの
動画や画像を用いて、わかりやすく
お話します。

講師:藤田早苗さん
    エセックス大学フェロー
日時:12月12日(木)18時半~20時半
場所:大田区消費者生活センター第五集会室
参加費:¥1000

ティーパーティ
テーマを決めないおしゃべり会です。
12月4日(水)19時~21時
12月12日(木)10時~12時
場所:奈須りえ事務所
参加費:300円(お茶・お菓子付き)
●事務所:〒143-0024
  東京都大田区中央2-11-5(大田文化の森隣)         
●電話:03-6303-8671
●FAX :03-6303-8672

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

枝廣淳子さんから


                  Enviro-News from Junko Edahiro


                      No. 2726 (2019.12.02)

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久しぶりに、本日の盛り合わせをお届けします! いつものように、冒頭に自分・自社の関わるものをまとめてあります。そのあとは基本的に日付順です。

東京2020大会における市民によるCO2削減・吸収活動」のご案内もあります。ぜひ多くの自治体やNGOなどに参加いただけたらと思います。

また、今週5日(木)~7日(土)まで、エコプロ展が開催されます。今回は、私たちも「SDGs x 地方創生」コーナーに出展しますので、ぜひ立ち寄って声を掛けてください! 地域と私・イーズとの関わりや、いくつかの自治体・地域でお手伝いさせていただいている、共有ビジョン、地域経済の「漏れバケツ」の見える化(産業連関表、LM3、買い物調査、人口分析等)についてご紹介します。ブースは「SR-02」です。

今回の盛り合わせの後半は、イーズの主宰する未来共創フォーラムのパートナー企業・団体・地域のエコプロ展出展のご案内です。各社・地域の取り組みをぜひご覧ください。


~~~~~~~~~~~~~ここからご案内~~~~~~~~~~~~~~~

【イーズ】
〇「エシカルコンシェルジュ講座」にエダヒロが登壇します。
日時:12月14日(土) 14:30~16:30
会場:聖心女子大学4号館/聖心グローバルプラザ(東京都渋谷区)
※オンライン講座のみ参加受付中です
※詳しくはこちらからご覧ください。
 https://www.es-inc.jp/news/2019/nws_id010119.html

〇エダヒロが直接指導します!  冬の翻訳道場
日時:2020年1月11日(土)9:30~17:15(9:20受付開始)
会場:アクセア神保町貸会議室
※詳しくはこちらからご覧ください。
https://www.es-inc.jp/seminar/2019/smn_id010145.html

〇社会変革セミナー「変化の理論(TOC)~なぜ、どのように変化が起こるのか」
日時:2020年1月22-23日(水木) 9:30-17:30
場所:田町グランパークカンファレンス(JR田町駅より徒歩5分)
※詳しくはこちらからご覧ください。
 https://www.es-inc.jp/seminar/2019/smn_id010037.html

【幸せ経済社会研究所】
〇エコプロ2019出展
地域経済循環フォーラム 実践編
日時:12月6日(金)9:00~11:30(開場8:45) 
会場 :東京ビックサイト 会議棟6階 607+608会議室
※詳しくはこちらからご覧ください。
 https://www.ishes.org/news/2019/inws_id002706.html

〇「幸せと経済と社会について考える読書会」開催のご案内
『人口減少社会のデザイン』を読む
日時:12月12日(木)18:30~21:00(開場18:15)
会場:アクセア貸会議室 神保町 第一会議室(4階)
課題書:『人口減少社会のデザイン』(著:広井良典
※詳しくはこちらからご覧ください。
 https://www.ishes.org/news/2019/inws_id002721.html

気候ネットワークから

■イベント案内■
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<気候ネットワーク開催>
【東京】
■腐敗にまみれたインドネシア石炭火力~ 私たちの預金も流れている?! ~
日時:12月5日(木)19:00~21:00(開場18:30)
会場:連合会館 4F 402会議室
(最寄り:東京メトロ新御茶ノ水駅都営地下鉄新宿線小川町駅
JR御茶ノ水駅駅)
内容:インドネシアチレボン石炭火力発電所の計画に対して反対の声をあげ
る住民を支援してきたNGO・弁護士をインドネシアから招き、収賄事件の詳
細と地元で住民が抱える問題、また住民訴訟の経緯・現状について報告しても
らいます。同時に、日本のNGOが新しく発表する調査報告書で明らかとなった
同案件における3メガ銀行の国際規範の違反状況を紹介します。
参加費:無料
主催:A SEED Japan、国際環境NGO FoE Japan、「環境・持続社会」研究セン
ター(JACSES)、 気候ネットワーク、Fair Finance Guide Japan
詳細:<https://www.kikonet.org/event/2019-12-05>

【京都】
■環境×福祉セミナーin京都
日時:1月25日(土)10:00~11:45(9:30開場)
会場:京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第5会議室
内容:福祉関係者と連携し、気候変動が福祉に大きく関係していることを社会
に伝えるために、環境福祉セミナーを開催します。
参加費:無料(定員50名)
主催:気候ネットワーク
詳細:<https://www.kikonet.org/event/2020-01-25>

<他団体主催>
【兵庫】
■神戸石炭訴訟提訴1周年記念シンポジウム
どうする?気候危機への対応-変わる世界、日本と神戸の課題-
日時:12月8日(日)13:20
会場:兵庫県私学会館
内容:神戸石炭火力訴訟の提訴1周年を記念し、日本各地における、脱石炭火
力を求める裁判の現状について共有するとともに、気候危機が迫る中で、今後、
日本においてどのように脱石炭・脱炭素を進めてゆくかについて考えます。
参加費:無料
主催:神戸の石炭火力発電を考える会
詳細:<https://kobeclimatecase.jp/blog/2019/11/13/info-event-2019-12-08/>

【東京】
■横須賀石炭火力発電所行政訴訟 第2回期日・勉強会
日時:12月23日(月)14:00
   13:10頃 東京地方裁判所前 傍聴券抽選のための整理券配布
   14:00  行政訴訟 第2回期日
   15:00頃 第2回期日 報告会・勉強会
会場:裁判:東京地方裁判所 103号法廷(予定)
         勉強会:日比谷図書文化館
参加費:無料
詳細:<https://www.kikonet.org/event/2019-12-23>

【東京】
■COP25マドリード会議報告会
日時:2020年1月17日(金)14:00~16:30(開場13:30)
会場:ビジョンセンター永田町 6Fビジョンホール
内容:今回の報告会では、COP25に参加するNGOの専門家メンバーが、マドリー
ド会議の重要なポイントに加え、参加者にしかわからない現場の空気、交渉の
ダイナミズム、ビジネスへの影響についてたっぷりとお伝えします。奮ってご
参加ください。
参加費:参加費1000円(CAN-Japanメンバー団体の会員500円)*要事前申込み
(先着順)
主催:CAN-Japan
詳細:<https://www.kikonet.org/event/2020-01-17>

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◆気候ネットワークは、地球温暖化問題に取り組む環境NGOです。
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 <私たちはめざします>
○人類の生存を脅かす気候変動を防ぎ、持続可能な地球社会を実現すること
・世界の温室効果ガスを実質ゼロにする国際的なしくみをつくる
・日本での持続可能な脱炭素社会・経済に向けたしくみをつくる
化石燃料原子力に依存しないエネルギーシステムに変える
・市民のネットワークと協働による脱炭素地域づくりを進める
・情報公開と市民参加による気候政策決定プロセスをつくる

活動は皆様のご支援に支えられています。ご入会・ご寄付等のご支援をどうぞ
よろしくお願いいたします。

ご入会手続きは、ホームページからもできます。
【年会費(一口) 正会員・賛助会員:5,000円、学生会員:2,000円】
<https://www.kikonet.org/support/individual/member-form>

ご寄付についてはこちらから。
<https://www.kikonet.org/support/individual/donation>

枝廣淳子さんから

 Enviro-News from Junko Edahiro


                      No. 2725 (2019.12.01)

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今年は台風の被害が各地で出てしまいました。しかし、台風による停電の真っ暗闇の中でも、明るいニュースもありました。

千葉県の睦沢町では、広域に停電をもたらした台風15号が来る1週間まえに、新電力会社、株式会社CHIBAむつざわエナジーが電力供給を開始していました。この会社は千葉県睦沢町と民間企業の協同出資で立ち上げた自治PPSです。

2019年9月13日に出された同社のプレスリリースをご紹介します。
https://mutsuzawa.de-power.co.jp/wordpress/871


~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~


9/12 台風15号の影響で町内全域が停電する中、防災拠点であるむつざわスマートウェルネスタウンへ電力と温水を供給しました

2019 年 9 月 1 日のむつざわスマートウェルネスタウンのソフトオープンから間もない 2019 年 9 月 9 日 午前 3 時頃、台風 15 号による強風で東京電力の送配電線が損傷し、睦沢町を含む千葉県広域で大規模な 停電が発生しました。

むつざわスマートウェルネスタウンも一時的に停電したものの、自営線(電線)の地中化を行っていたためほとんど被害がないことを確認し、9 月 9 日午前 9 時頃にガスエンジン発電機を立ち上げ、住宅および道の駅の重要設備への送電を開始しました。

翌 9 月 10 日午前 10 時よりガスエンジン発電機の排熱等により水道水を加温して周辺住民の方々への温水シャワーの無料提供を可能にしました

 道の駅むつざわつどいの郷は、国の重点道の駅に選定されており、災害時において防災拠点としての機能を担うことになっています。今回はオープンまもなく準備不足の部分もありましたが、その役割の一部を果たすことが出来ました。

株式会社 CHIBA むつざわエナジーは今後ともエネルギーの地産地消および地域への貢献に努めて参ります。


~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~


「地域の、地域による、地域のためのエネルギー会社」は、地元の再エネ資源(太陽光、風力、小水力、バイオマスなど)を活用することで、域外へのエネルギー代金の流出を止めるほか、CO2削減にも大きな貢献をします。加えて、むつざわエナジーがお手本を見せてくれたように、被災時のエネルギー途絶を最小限に押さえるによって、地域のレジリエンス(外部からの強い力にも折れずに、しなやかに立ち直る力)の中核を担うことができます。


委員を務めた「エネルギー情勢懇談会」でも「パリ協定長期成長戦略懇談会」でも、分散型エネルギーへのシフトは私の大きな主張点の1つでした。地方創生の観点からも極めて重要なカギを握っているためです。

最近の報道によると、「経産省は企業が特定の地域で工場や家庭までの電力供給に参入できる新たな仕組みをつくる方針」とのこと。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの事業者を念頭に配電の免許制度を設け、地域で生み出す電力を工場や家庭に直接届けることができるようにし、電力大手が独占してきた配電に、他業種からの参入を呼び込み。再生エネの普及を促すとともに、災害時の停電リスクを分散する考えとのこと。

「数百世帯程度の町ごとに民間企業が電力を供給する姿を想定し、2020年代前半の実現を目指す」とのこと。いよいよ、大口の産業用はともかく、家庭用や民生の事業者用には、「うちの町のエネルギー」が普通だよ、という時代がやってきそうです!

時代の到来を待たずに、それぞれ地域資源で地域のエネルギーを生産・供給しようという試みがあちこちで行われています。

その1つ、気仙沼での事業を取材させてもらって英語記事にし、世界に発信しました。
https://www.ishes.org/cgi-bin/acmailer3/backnumber.cgi?id=20190925

その日本語版をお届けします。


~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~


再生可能エネルギーで地域のエネルギー循環を
――気仙沼からの挑戦

気仙沼市は、宮城県の北東端に位置する人口6万人強の市です。北上山系の支脈に囲まれ、東は太平洋に面しています。沿岸域は、半島や複雑な入り江など、変化に富んだリアス式海岸を形成し、その海岸美により国立公園や国定公園の指定を受けています。

2011年3月の東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼市は、復興計画の中で環境エネルギーを柱の1つに据え、地域の環境に適した再生可能エネルギーを積極的に取り入れていく考えを示しています。気仙沼市における再生可能エネルギーの取り組みで中心的な役割を果たしている、気仙沼地域エネルギー開発株式会社代表取締役の高橋正樹さんにお話を伺いました。

――――――――――――――

○取り組みを始めたきっかけ
気仙沼市では、気仙沼復興会議という組織をつくって、2011年6月から震災復興計画の策定作業を始めました。そこにアイデア出しをするための実働部隊である市民委員会を作りたい、その座長になってほしい、という話を市長から受けたのですが、メンバーを見ると、東京で活躍している気仙沼市出身の人も何人か入っています。「いま自分の周りのことだけでも大変な状況なので、座長は被災していない人にしてほしい」と言ったのですが、「被災していないと言いづらいことも多いし、あなたが被災していることはみんなが知っているから」と言われ、引き受けることにしたのです。

委員会で話し合った復興計画の柱は様々でしたが、その1つであったエネルギーについては、震災直後に電気も油も絶たれた経験から、地産地消再生可能エネルギーをどんどん入れたほうが良いということになりました。しかし、具体的に何をやるかは決まっていませんでした。復興計画の策定後、市内民間事業者によって太陽光や風力による発電事業が具体化され始めましたが、もっと気仙沼に合ったものがあるのでは? といって出てきたのが木質バイオマスです。山が海に迫っている地形なので、そこに生えている木を使わない手はないだろうと考えた市職員が居たのです。最初は森林組合に相談に行ったようでしたが、取り上げてもらえなかったようで、様々な事情から私の所へ来て懇願するバイオマス発電の発案者の熱い思いに、「じゃあ、調査事業だけでも一緒にやろうか」と言ったのが、取り組みのきっかけです。

日本の林業は、昭和40年代以降、コンクリートの台頭により、衰退の一途をたどっています。気仙沼もその例に漏れず、材価が下がったことにより手入れが行き届かず、豊かとは言えない山が多い状態でした。バイオマス発電ができるようになれば、町の人は地産のエネルギーを使えるので嬉しい。バイオマス発電の燃料として間伐材を使うようになれば、森の整備が進みますから、森林所有者も嬉しい。手入れのされている森林からは豊富な養分が海に流れ込みますから、漁業者も嬉しい。ただ、石油業者だけは、燃料としての需要が減るから寂しい思いをすることになります。

私の生業である気仙沼商会は石油を売る会社です。ですから、社内には「何でそんな敵になるような事業をやるんだ」という声もありました。それでも、「石油を売るのも、木材チップを売るのも、燃料を売るのは一緒じゃないか。商品のひとつだ」、と話をしながら進めていったのです。

○事業としての立ち上げ
全国のバイオマス発電の状況を見ると、大体が発電して終わりです。エネルギー効率でいうと木材から電気に出来るのは3割ぐらいが限度で、残りの7割は熱エネルギーとなって捨てている計算になります。僕たちは、その分も復興する町のエネルギーとして使おう、ということで熱を供給しようということになりました。

最初は市役所でバイオマスの熱を使おうと検討したのですが、役所だと夕方5時ぐらいまでしか熱を使いません。24時間熱を使うのはどこだろうと考えると、ホテルか病院ですよね。当時一番大きな市立病院は移転することが決まっていたので、まずホテルに行って話をしたら、石油より安く熱を使えるのであればという事で、またうまく稼動すれば、何年も使ってもらえるとも約束してくれたので、事業化に踏み切ることにしました。

発電プラントは、ドイツのメーカーに発注して、出力規模400キロワット、ガス化システムのものを2基導入しました。合計800キロワット、一般家庭でいうと約1,600世帯分に相当する発電規模になります。

ガス化システムは、木質バイオマスをチップ化、またはペレット化した燃料を使用し、熱分解・還元反応 によりガス化し、そのガスを燃料としてエンジンで発電を行う仕組みです。発電出力の2倍強の熱を回収することができるため、発電効率は3割程度でも、エネルギー効率としては8割近くになります。熱は、80~90℃の温水として供給されます。

最初に相談に行って事業者には成れないと言われた森林組合の人たちも、事業化を応援してくれると言ってくれました。最初から相談していたから、応援してもらえるようになった。これが大事なのだと思います。その後もずっと、最初に決めた値段で間伐材を安定的に提供し続けてくれています。

事業化には、資金調達というハードルもありました。当時は様々な補助金もありましたが、事業費のうちの11億円は借り入れで賄うしかない。事業として成り立ちそうだけどお金が無い、という話をしたら、信金や財団から「お金は出すから復興のシンボルとして是非やるべきだ」と話をされ、事業として始めることができたのです。

この事業の運営のために、気仙沼地域エネルギー開発株式会社という会社を立ち上げました。気仙沼商会からは出資せず、僕個人で45万円、提案者のうちの一人が45万円、信金が10万円、合わせて100万円の資本金でスタートしました。

○持続可能な木材供給
さきほども言いましたが、気仙沼の山は手入れが行き届いていない状態でした。森林所有者に聞いてみると、「山が荒れているのは嫌なので、誰か間伐してくれる人がいるなら間伐材は提供してもいい」という人もいれば、「木を切りたいけど、切り方がわからないから教えてほしい」という人もいました。

そこで先ずは林業研修から始めました。木の伐採方法、搬出方法、路網整備の方法の勉強会を開催。現在まで延べ700名を超える受講者がいます。そして次に、その木が切れるようになった受講者の一部をグループ化しました。他方、荒れている森林を整備してもらえるなら山を提供してもいい、と言っている人がいたので、そういう山にグループで入って木を切ってもらっています。今年はさらに、一歩進めて、「森ワーカー」という制度をつくりました。個人で参加してもよいという人たちを登録して、山の人材バンクのように山主さんとのマッチングを図っています。

間伐材の売上は切った人にあげるから、お金をかけずに山がきれいになればいい」という山主さんもいますし、「1人で施業するのは大変なので助っ人が欲しい」という山主さんもいます。助っ人を頼む場合は、切る人の習熟度に応じて決めた謝礼金を、支払ってもらうようにしています。

他には、市長に提案して地域おこし協力隊を募集してもらい、山の人材として2人に入ってもらいました。市が募集した地域おこし協力隊はいろいろなカテゴリーがありましたが、林業だけはすぐに集まりました。今年に入って更に2人募集したら、これもすぐに集まりました。グループを組んでいるのはリタイアした60代以上の人が多いのですが、地域おこし協力隊には若い人が来てくれています。

現在稼働中の800キロワットの熱電プラントを動かすのに、年間8000トンの木材を使っているのですが、気仙沼の森林面積を考えると、資源としてはまだまだ余裕があります。どの山にも人が入って間伐を進めれば、今の規模のプラントを7つに増やしても持続的に循環できるという計算結果が出ています。

地域通貨
燃料になる間伐材は、1トンあたり6000円で買い取っています。相場では3000円ぐらいなのですが、その価格だと引き合わないので、間伐されずに放置されている。そこで、倍の値段に設定しました。そして、相場に上乗せした3000円分は、地域通貨のReneria(リネリア)で支払います。

Reneriaという名称は、リアスの森、再生可能エネルギーなどの思いから名付けられました。現在、市内の150ほどのお店で使うことができます。交換手数料を取らないと話したら、皆さん好意的に加盟してくれました。「リネリア」が使われたら、加盟店の人はそれを別の加盟店に持っていって使うこともできますし、うちのガソリンスタンドでガソリンを買うこともできるし、換金することもできます。

現状、発電と熱の生産に使っている8000トンの木材のうち、2000トンを個人から買い入れ、6000トンを森林組合などの組織から買っています。「リネリア」で支払っているのは個人だけなので、年間600万円分の「リネリア」を出している計算です。これだけだと林業の人にしか渡らないのですが、一般の人にも渡るようにしたいと思い、有料の見学コースをつくりました。観光客は3000円のコースを利用することが多く、その場合は1000円分の「リネリア」を渡しています。

この地域通貨を通じて、地元の経済にお金が回るようになれば、と思っています。市にも協力してもらってもっと広げられればと思うのですが、これからの取り組みです。

○今後の展望
今後は、電力と熱をつくるコストを下げ、収支を改善させながら、地域に役立つエネルギーを供給していきたいと考えています。たとえば、農業用のハウスに熱を供給するなどのアイデアも出てきています。家で不要になった割り箸など燃料になるものを持ってきてもらって、「リネリア」で買い取るとか、もっともっと市民のみなさんにこの取り組みを知ってもらい、応援してもらえるようにしたいと思っています。

これまでに何回か、企業の社員研修や大学の授業に呼ばれたことがあります。我々の取り組みの紹介ビデオを見せながら地域の課題をディスカッションする、ということをやりました。企業に限らず、こどもたちも含めて、都会の人たちに研修としてこの事業を活用してもらえるような仕組みを、地域として作っていければとも考えています。

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今回お話を伺った高橋さんは、地域が元気になる、環境にも良い取り組みをいかに持続可能なものにしていくか、自分たちで山とつながって山から木材が出続けるようにするなど、さまざまな工夫を重ねておられます。より多くの市民がこの取り組みのことを知り、応援していくことで、事業が持続可能なものになり、地域でエネルギーが循環し、活性化していくことを期待します。