白鳥一彦さんのメールから

━━━━━━━━━━━━□ 8月 二考察 □━━━━━━━━━━━━

―― まもなく訪れる5Gの時代、その電波は本当に「人体に影響ない」のか?

    記述/スーザン・クロフォード

『The Uninhabitable Earth(居住できない地球)』という書籍の著者、デイヴィッド・ウォレスは、

「温暖化が激しく進行し、気候変動が農業に影響し、驚くべきペースで海面が上昇する。
 自然災害は信じられないほど恒常化し、息が詰まるような汚染が進行するのだ。」

と言う。
そして解決策として、

機械学習と未来の地球で人類が生き残るために、必要な能力とを組み合わせるだけでいい。」

要するに私たちは、宇宙船で暮らし、ラボに置かれた3Dプリンターで出力された肉を食べ、すべては、
イーロン・マスク ※a1 が解決してくれる、というわけである。

 ※a1 イーロン・マスク

  イーロン・マスクは、南アフリカ共和国アメリカの実業家、投資家、エンジニア。

  2017年に彼が創立したNeuralink(ニューラリンク)は、BCI(脳コントロールインターフェイス
  を開発した。
  BCI(脳コントロールインターフェイス)は、人間によるコンピュータのコントロールを改善し、
  AIがもたらす危険性を大きく減少させるのに役立つという。
  このテクノロジーが人類の存続を脅かす危機を避けることに関係するというのはこういうわけだ。
  マスク氏によれば、人類は今後も否応なくAIの発達にさらされ、次第にコンピュータの処理能力
  が人間を圧倒するようになる。
  高度なAIを搭載したロボットが、世界の支配者になるというドゥームズデー・シナリオ(最後の
  審判の日)を避けるためには、人間が脳を直接コンピュータに接続することでコントロール能力
  を格段に高めるようにする他ないというのがマスク氏の考えだ。

━━━━━━━━━━━
■光インフラなき5Gの課題
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これと同じ考え方が、別の大きな話題にも当てはまる。
第5世代移動通信(5G)が「既存の通信モデルを時代遅れにする」という主張に、誰もが熱狂的になっ
ていることだ。
5Gは、わたしたちが抱えるあらゆる問題を解決すると謳われている。
だが、過去にも指摘したことがあるのだが、これは極めて非現実的であるように思える。

というのも、すべての人に5Gを提供するには、へき地も含むあらゆる場所に光ファイバーケーブルの
敷設が必要になるからだ。
しかも、政府の適切な介入がないと、5Gのインフラを地域ごとに独占する企業が出現するリスクを抱
えることになる。
それにわたし自身も、5Gに対して以前とは異なる視点をもつようになった。
それは、5Gに対応した通信機器が極めて高周波数の強力な電波を発することから、人間の健康に悪影
響を及ぼすのではないか、ということだ。
なぜなら、5Gによる通信は、ありとあらゆる場所で行われることになる。
しかも電波が届きにくいこともあり、基地局は従来よりもわたしたちの身近な場所に設置されること
になるからだ。

━━━━━━━━━━━
■5Gの危険性を主張する科学者たちの存在
━━━━━━━━━━━
これまでずっと、ワイヤレス通信による健康への影響を訴える人たちには我慢ならなかった。
というのも、ついついティンホイル・ハット(アルミ箔を重ねてつくるヘッドギアの一種で、電磁波
から脳を保護できると考えて身に着ける人がいる)を思い浮かべてしまったからである。

ところが、あることを知った。
1部の科学者たちは5Gが広く普及する前に人体への影響をきちんと研究すべきだと主張しているのだ。
例えば気候変動なら、それを否定するレトリックの背後には、現状維持を図ろうとする企業の存在が
つきものである。
同じようにワイヤレス通信業界は、やたらと5Gの安全性を強調しようとするし未解決の課題には既存
の高周波の安全基準で対処しようといった主張を続けている。現実はその程度なのだ。
いまのところ欧州委員会(EC)は、市場のプレイヤーに高度なワイヤレス通信サービスを展開させる
ことに主眼を置き、5Gによる人体への影響を立ち止まって考える機会を拒んでいる。
そして、

「5Gネットワークは前世代のものより小型の基地局を使用し、電磁波にさらされる量は少ないと期待
 されている」

「3Gや4Gの導入では環境における暴露量は増加しなかった」

と、主張しているのだ。
連邦通信委員会FCC)の対応もほぼ同じである。

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■現行基準は適切なのか?
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だが、米連邦通信委員会FCCが人々の健康への影響を計測するために用いているのが、何十年も前
に設定された古い基準で、間違ったものを計測しているとしたらどうだろうか?
広く一般に受け入れられた科学に基づく、より優れた中立的な基準が必要だろう。

電磁放射線の人体への影響を測定する際に用いられるFCCの基準とは、短時間に平均的な暴露量で人体
の組織が加熱されるかどうかを測っている。
職業労働者は、6分間、一般の人の暴露については30分間だ。
この基準は1996年に採用されたが、ドイツに本部を置く国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が30年
前に採用した基準に部分的に基づいている。
しかし、この団体が、通信業界とエネルギー業界の双方に忠実であると指摘する者もいる

2012年、米国の会計検査院(GAO)は、FCCの基準が「高周波エネルギー暴露についての最新研究を反映
していなかった」ことを発見し、FCCに対して暴露量の限界値を再評価して変更を検討するように勧告
した。FCCはこの基準を再検討するプロセスを翌年に立ち上げたものの、その再調査が進んでいる様子は
見られない。

━━━━━━━━━━━
■分かれる科学的な見解
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同じころ、ワイヤレス通信による電磁波の影響を巡り、科学者の意見は分かれていた。
なかには、この基準を再検討する必要があると主張する科学者もいる。
一方で、人体の細胞は熱以外のメカニズムによって破壊される可能性がある、という科学団体もある。
また別の科学団体は、この基準が計測しているのは平均的な暴露であって、害を及ぼしかねないピーク
値ではないとの見解だ。
特に5Gのデータ伝送によって急速に広範囲に広がる暴露では、短時間に有害な激しい温度上昇が起こり、
皮膚や目に影響が出ることが懸念されている。さらに別の科学団体は、この基準がこうした問題にとり
わけ敏感な人たちの存在を考慮していないと主張した。

米国小児科学会(AAP)は、FCCのワイヤレス指針は妊婦や子どもを適切に保護していないと、13年にFCC
に伝えている。現代における機器の使われ方などを踏まえたうえで、消費者により情報開示した新たな
ルールを作成するよう、FCCに要請したのだ。

環境団体の天然資源保護協議会(NRDC)の環境法律家、シャロン・ブッチーノは次のように説明している。

FCCの基準は、電磁波による危害の一面(つまり、熱)しか取り上げていない。
 現在の基準は、ワイヤレス通信で増大する電磁放射線の暴露が、人の健康に危害を及ぼす別の方法につ
 いて考慮していないだけでなく、すべての生命が依存している自然環境についても考慮していない。

━━━━━━━━━━━
■価値ある研究と不足する資金
━━━━━━━━━━━
この問題は確かに解決にはほど遠いもので、依然として多くの議論を呼んでいる。
“部外者”の立場から感じるのは、これまでに提起された課題の研究資金は不足しているが、こうした
研究は継続していく価値があるということだ。

オレゴン州ポートランド市議会は、このほどFCCに規制をアップデートするよう要請することを投票
よって決めた。また連邦上院議員のリチャード・ブルーメンソール(民主党コネチカット州選出)が

米国における5Gと次世代テクノロジーイノヴェイションのレースで勝利を収める。」

と題した2019年2月の公聴会で、5Gの健康への影響について科学的証拠を求めた。
ブルーメンソールは次のように語っている。

「米国民には、健康への影響について知る権利があります。科学的研究の結果が示されたからといって、
早まった判断をしないためです。未解決の問題を研究するという確約も与えられるべきだと思います。」

また、5Gによる健康への影響について業界が出資した研究はないという話を聞かされたところ、こんな
ふうに返している。

「それでは、健康と安全については何の手がかりもない、当てずっぽうだということですね。」

健康に対して、当てずっぽうで進める「5G」。
わたしたちが賢い判断を下していれば、先に進む前に解決していたはずだろう。

 出典:米国プリントマガジン WIRED

★子どもの未来を守ろう!!
 5G 反対同盟 公式HP
 http://command-ex.com/L3629/g4531/73481

枝廣淳子さんのメールから


                  Enviro-News from Junko Edahiro


                      No. 2707 (2019.08.11)

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6月2日のメールニュース[enviro-news 2696]で、以下のようにお伝えしていました。

> 昨日オーストラリアにやってきました。水曜日に始まるアル・ゴア元米国副大統
> 領のチームが行う Climate Reality Projectの3日間のトレーニングセッション
> に参加するためです。この10月上旬には、日本にもゴアさんらがやってきてトレー
> ニングイベントを開催する予定です(そのお手伝いをしており、見学と打ち合わ
> せも兼ねて、今回の出張となりました)。イベントのようすなど、またお伝えで
> きたらと思います。

10月に東京で開催されるトレーニングの参加者募集が始まりました!

レーニングは、10月2~3日の2日間、東京お台場で開催されます。参加費は無料ですが、参加者は2日間の全日程に参加する必要があります(交通・宿泊費は自己負担です)。

プログラムの多くは日本語で行われますが、アル・ゴア氏をはじめとする海外からのスピーカー・パネリストなどの英語のスピーチは、同時通訳でお聞きいただけます。

2日間のプログラムでは、ゴアさんが自ら温暖化の危機と解決策に関する熱のこもったスピーチをされるほか、より短い時間で簡潔に伝えるバージョンを教えてもらったり、内外の第一人者のパネルディスカション、伝えるためのスキルのトレーニングなど、「気候変動の危機について理解し、伝え、行動を促す」人々を支援します。

今回のトレーニングは、実際に伝える活動をしている方々、これからしようと考えている方々向けです。単に「ゴアさんを観たいので」という方は対象になりませんので、ご注意下さい。トレーニング終了後は、全世界に約2万人いるこれまでの卒業生たちとともに、Climate Realityと共に活動するリーダーとして、伝える活動を行います。

これまで、地域や組織で温暖化について伝え、行動を促す活動をされてきた方々。昨今の異常気象に、「このままではいけない。でも、どうやって伝えたら良いのだろう?」と思っていらっしゃる方々。ぜひご参加下さい!

参加するには、以下のリンクから申込をいただき、選考後に送られる「参加承認メール」に「出席」のお返事をしていただくことになります。
https://www.climaterealityproject.org/apply/tokyo

(私はClimate Reality Projectチームのお手伝いをしていますが、選考にはノータッチで、選考基準も教えられていないので、お問い合わせいただいてもお答えできませんこと、ご了承下さい)


Climate Reality Projectチームからのご案内をお送りします。


~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~


よろしければこのメールをお友達やお知り合いにご紹介ください

2019年10月2~3日、クライメート・リアリティ・プロジェクトと元米国副大統領アル・ゴア氏が主催する「第43回クライメート・リアリティ・リーダーシップ・コミュニティ・トレーニング」が東京で開催されます。

お申し込みはお早めにどうぞ。現在、参加申込受付中です!<https://www.climaterealityproject.org/apply/tokyo>

気候の危機は、日本の人々の経済、健康、未来の幸福を脅かすものです。クライメート・リアリティ・リーダーシップ・コミュニティ・トレーニングは、このグローバルな問題に対する解決策の一翼を担い、日本がより一層持続可能な未来を実現する一助となる、またとない機会です。

クライメート・リアリティ・プロジェクトと元米国副大統領アル・ゴア氏は毎年、気候変動の科学について、また、気候の危機により経済・社会・環境にどのような難題が生じているか、一般の人々に何ができるかについて、世界中の市民を啓発する数日間のイベントを行っています。

今回のトレーニングは、クライメート・リアリティが日本で開催する初めてのイベントとなります。今年10月は、国連事務総長招請する気候行動サミットの直後であるとともに、G20および東京2020オリンピックの開催国である日本に世界的な注目が集まっているという、日本と日本国民にとってとても重要な時期にあたります。

「どうすれば、より説得力を増すことができるか」「どうすれば、あらゆる人々の後押しをして、変化をもたらすことができるか」――この2日間の東京トレーニングは、ゴア元副大統領から直接学ぶことができる、またとない機会です。ゴア元副大統領は「不都合な真実」と「不都合な真実2」という画期的な映画の制作を通じて、まさにそのことを実践したのです。本トレーニングでは、ゴア元副大統領のほかに、自らの経験や知識を共有したいという意欲にあふれたこの分野の第一線の専門家たちがトレーナーを務めます。

レーニングの参加者は一般から公募し、参加費は無料です。プログラムは主に日本語で実施し、日・英の同時通訳があります。

お申し込みはお早めにhttps://www.climaterealityproject.org/apply/tokyo
定員に達し次第、受付終了となります


<クライメート・リアリティ・プロジェクトについて>
クライメート・リアリティ・プロジェクトは、ノーベル平和賞を受賞した元米国副大統領アル・ゴア氏が立ち上げたものです。「地球規模の気候の危機の解決を促すためには、社会のあらゆるレベルで緊急対策をとる必要がある」として、活動を行っています。

500万人を超える人々が参加する力強いグローバルな活動と、レーニングを受けたクライメート・リアリティ・リーダーが活動する草の根ネットワークによって、気候の危機の真実を広め、クリーン・エネルギーによる解決策への市民のサポートを創り出しています。

詳細は、www.climaterealityproject.org<http://www.climaterealityproject.org/>をご覧いただくか、Twitterで@ClimateRealityをフォローしてください。


~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~


私も2日間、参加します! 日本でも頻発する異常気象や、1週間に60人近くの方が命を落とされているような高温に、「このままではいけない! 変えていかなくては!」と思っていらっしゃる方々のお役に立つことと思います。ぜひご参加ください。また、そのようなご関心をお持ちのお知り合いなどに転送してお知らせいただけたら幸いです。

米国で開催する時には、定員を2~3倍上回る応募があると聞いています。今回の日本開催の状況はわかりませんが、「参加したい!」という方は、早めに申込をされることをお勧めします。(〆切後に私にアプローチされても参加者リストに追加することはできませんので、よろしくお願いします!)

枝廣淳子さんのメールから

 Enviro-News from Junko Edahiro


                      No. 2705 (2019.08.03)

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岩波新書「地元経済を創りなおす――分析・診断・対策」が5刷となりました!
http://amzn.to/2FCzZzV

多くの方に「読みましたよ」「もっと詳しく話を聞きたい、多くの人に聞いてほしいので講演会を開きたい」とお声をかけていただいていて、とてもうれしく思っています。

足元の人口減少や、商店街の衰退にどう歯止めをかけたらよいのか、外部に頼りすぎない地元経済を創っていくにはどうしたらよいのか――問題意識を共有している方々や地域が本当に多いのだと思います。

イーズでは、「見える化ユニット」を組織して、「アセスメント・見える化業務」の支援をしています。
https://www.es-inc.jp/visualize/

見える化」の対象として、「環境負荷」「幸福度」「ソーシャルインパクト」とともに、「地域経済の見える化にも取り組んでいます。
https://www.es-inc.jp/visualize/visual_local_econ.html

今年度は、北海道・下川町、熊本県南小国町島根県海士町の「町の経済を見える化し、漏れ穴をふさぐための打ち手を考える」お手伝いをしています。

今年の3月16日には、この3町の方々においでいただき、「地域経済循環フォーラム」を開催しました。「人も経済も資源も循環する、持続可能で幸せな地域をつくる」をテーマに、200人もの方々が参加して下さいました。

「当日予定が合わなくていけなかったが内容を知りたい」という声を多くいただき、資料をお送りするとともに、動画で当日のようすを見ていただく「動画受講」(1,000円・税込)を準備しました。3町の取り組み、ぜひご覧下さい! 刺激や元気をいっぱいもらえると思います。
https://www.ishes.org/news/2019/inws_id002628.html

ここでも登壇してくれた海士町では、町の産業連関表を作成するプロジェクトを始めるにあたって、町民や町の事業者に協力をお願いするため、説明の動画をつくり、地元ケーブルテレビ局『あまコミュニティチャンネル』で放映しました。

私も登場して、産業連関表とは何か、それで何がわかるのか、を説明させていただきました。放映を見せてもらったら、町長と共に登場する役場職員と商工会事務局長の“名(迷?)演技”も楽しく、ぜひ島外の方にも見てもらえたらとお願いしたところ、YouTubeにアップして下さいました! 14分の動画です。よろしければぜひどうぞ~!

「ストップ!漏れバケツ ~島の経済を見える化しよう~」
https://youtu.be/Bp4LB9UHxnQ

さて、3町のなかでも最初に産業連関表を作成して、町の経済を見える化し、対策を進めて、実際に大きな成果(3億円以上、町外への流出をストップし、町内に環流)を挙げている下川町の取り組みを、幸せ経済社会研究所の英語ニュースレターとして世界にも発信しましたので、その日本語版をご紹介しましょう。


~~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~


地元経済を創りなおす~北海道・下川町の取り組み

○しっかりした地元経済の重要性
私はこの数年、中央政府のエネルギーや成長戦略、プラスチック問題などの委員会の委員を務める一方、北海道から九州、離島など、小さな町のまちづくりの支援に力を入れています。共有ビジョンの策定とともに、地元経済を見える化することで、外部に依存する割合を減らし、自分たちで回していける地元経済へのシフトのお手伝いに力を入れています。

地域のお手伝いに力を入れているのは、一つには「未来は地域にしかない」と信じているからです。政府は方向性や政策は打ち出せても、実際に人々の暮らしが営まれ、変化が生み出されるのは地域だからです。また、急速な人口減少・高齢化の進む日本にとって、地方の過疎化や疲弊は地方に住む人々だけの問題ではありません。

日本には現在、人口3万人未満の自治体が954あります。その人口を合計しても、日本の総人口の約8%にすぎませんが、それらの自治体の面積を合わせると、日本全体の約48%になります。つまり、わずか8%の人々が日本の国土の半分を支えてくれているのです。こういった地方で地域経済が回らなくなると、ますます人口減少に拍車が掛かり、無人地帯が広がっていき、日本の国土を保全することすらおぼつかなくなってしまうと心配しています。

今でも毎年10万人の若者が地方から東京に移住しています。「地元に帰りたい」という思いを持っている若者も少なくないのですが、「仕事がないから」東京に出てくるし、地元に戻れないと言います。

各地の地域がそれぞれ地元の経済をきちんと回して、お金や雇用を外部に依存する割合を減らしておくことは、次なる金融危機やエネルギー危機、顕在化する温暖化の影響などに対する「しなやかに立ち直る力」(レジリエンス)を高める上でも、大きな鍵を握っていると思うのです。

○地元経済は「漏れバケツ」?
それぞれの地域は、地域の経済のために、政府からの交付金補助金のほか、企業誘致、観光客の呼び込みなど、地域にお金を引っぱってこようと懸命に努力しています。しかし、これから、政府からの交付金補助金も減ってきます。これまでのように、「どうやって地域にお金を持ってくるか」を考えるばかりでなく、「どうしたら地域から出ていくお金を減らせるのか」に取り組むことが重要になってきます。つまり、「一度地域に入ったお金を、どれだけ地域内で循環して長くとどまるようにさせるか」が大切なのです。

その重要性を、わかりやすく直感的に伝えてくれるのが英国ロンドンに本部のあるNew Economics Foundation(NEF)の「漏れバケツ」モデルです。地元経済を「バケツ」と考えたとき、どこから水を持ってきてどれだけ投入するかだけでなく、そのバケツのどこに穴が開いていて、せっかく入った水が出て行ってしまっているかも重要です。その穴がわかれば、ふさぐ取り組みができます。

 「町から漏れ出ているお金を把握して、減らそう!」と実際に動いている北海道・下川町(人口約3300人)の取り組みを紹介しましょう。

○町の経済規模と域際収支がわかった!
町から漏れ出しているお金を減らすためには、まず「どこに、どのくらいの大きさの漏れ穴があるのか」を突き止める必要があります。全国・都道府県レベルなら産業連関表を見ればわかるのですが、市町村のレベルでは作成されていません。そこで、下川町では2012年に大学と協力して、町の産業連関表を作成しました。

作成にあたっては、住民基本台帳人口、北海道道民経済計算などの公的な統計データを活用するとともに、下川町内の主な事業所(約50事業所)に対して、各事業所の経済規模や調達についての聞き取り調査を行いました。域内の企業が「実際にどこからモノを買って、どこに売っているか」を聞き取り調査をすることで、実際の状況を反映した産業連関表が作成されます。

産業連関表を作成することで、「下川町の経済規模(域内生産額)は215億円」ということがはじめてわかりました。どれくらい町外からモノやサービスを買っているのか、どのくらい町外にモノやサービスを売っているのかを産業部門ごとに示す域際収支を見ると、地域の産業の強みと弱みも一目でわかります。

下川町の黒字部門は、製材・木製品(約23億円の黒字)と農業(約18億円の黒字)であることがわかりました。逆に、大きな赤字部門は、暖房用の灯油などの石油・石炭製品(約7.5億円)と電力(約5.2億円)でした。つまり、町の人々が使うエネルギーの購入費として、13億円近くが域外に漏れ出していたのです!

産業連関表を使えば、「漏れをふさいだ場合」の経済効果も計算できます。電力と暖房用燃料を下川町の木質バイオマスでまかなえれば、エネルギー購入費の合計13億円の赤字がなくなるだけでなく、波及効果も含めて、域内生産額が28億円増加し、100名の雇用を生み出すことがわかったのです。

○地元資源を活用して、エネルギー自給の町へ!
下川町では、この大きな可能性を現実のものにするために、森林資源によるエネルギー自給をめざす取り組みを始めました。まずは、暖房用の灯油などの石油・石炭製品を、地域の森林資源で置き換える取り組みです。町内の林業林作業で発生する林地残材や小径の間伐材、枝打ちした枝、加工プロセスから出る端材などを原料に、木材チップを製造します。そのチップを燃料に、町内のバイオマスボイラーで熱を生み出し、100%町産の熱を町内に供給します。

現在、13基のバイオマスボイラーが稼働しており、下川町全体の熱自給率は49%。すでに町内の熱需要の半分近くを自給しているのです。これによって、2億円以上のエネルギー代金の流出を止め、地域や森林に循環しています。また、この化石燃料からバイオマスへの切り替えによって、全町のCO2は18%削減。今後は、熱供給導管の埋設を進めて熱の100%自給をめざすとともに、電力の域内生産への取り組みも進める予定です。

○利害の対立する事業者の巻き込み方
暖房の燃料を灯油から地元の木材チップを切り替えていくとしたらこれまで灯油を売って生計をたてていた人々はどうなるでしょうか? 暖房用の灯油の売上は減っていき、熱の100%自給が実現すれば、商売は成り立たなくなってしまいます。灯油などの化石燃料を販売してきた事業者が森林バイオマスの取り組みに反対したとしても、無理のないことでしょう。

この「移行に伴う課題」に対して、下川町は共創型のアプローチで取り組んでいます。灯油を販売している4つの灯油組合に、バイオマスエネルギーを供給する協同組合を作ってもらい、バイオマス原料の製造と配達を担当してもらっているのです。

灯油の代わりにバイオマス原料を販売できれば、事業者も商売を続けられます。地元の化石エネルギー事業者が再エネ事業者に転換していくことを支援する取り組みは、共創型の移行のお手本ではないでしょうか。

○新しい産業と転入者の増加
下川町では近年、森林資源や熱エネルギーを活用したさまざまな新しい事業が興こっています。豊富な熱エネルギーを求めて企業が薬草の研究所を設置したほか、温室によるシイタケ栽培もすでに年商7000万円を超える規模となっています。木工作家が移住したり、薪屋・トドマツ精油などの新しいビジネスも始まっています。

そして、こうした新しい動きに惹かれて、下川町へのUターンやIターンも増えています。年間200人を超える人々が転入し、社会減による人口減少に歯止めがかかっているのです。

下川町では、「地域の経済は、産業経済と家計経済から成り立っているが、産業連関表では家計経済はわからない」と家計調査も始めました。また、最初の産業連関表作成から5年たち、変わってきた現状を正確に把握するために、産業連関表も新しく作成し直しました。

日本の自治体の中で、ここまでしっかりと地元経済を見える化し、具体的な取り組みを進めているところは、まだそれほどありません。しかし、中央政府に頼り続けることは難しいという認識が広がってきた今、地元経済の見える化や、その漏れをふさぐことに関心を寄せ、取り組みを始める自治体も出てきています。

私はこのような考え方やツール、事例を知ってもらいたいと、今年2月に『地元経済を創りなおす』という書籍を出版しました。すでに3版となり、関心の高さを感じます。また、下川町のお手伝いのほかにも、九州・熊本県南小国町や、島根県の離島・海士町などでも、産業連関表を作るなどの作業を進めているところです。

それぞれの地域が完全に「自給自足」になることをめざしているわけではありませんし、それは現実的でもありません。ただ、あまりに外部に依存しすぎているために脆弱になっている各地の経済が少しでもバランスを取り戻すお手伝いができればと願っています。


~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~


ほかにも参考になるかもしれない自分の資料をご紹介しておきます

地域産業連関表について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/shigoto.../h31-04-24-shiryou2-3.pdf

未来は地域にある! ~持続可能で幸せな 地元経済を創る~
http://asahigroup-foundation.com/academic/business/pdf/180904_2.pdf

また、イーズ「見える化ユニット」のメンバーのひとり、幸せ経済社会研究所の新津尚子研究員のコラムもどうぞ!

産業連関表―地域全体のお金の流れを把握する
https://www.amita-oshiete.jp/column/entry/015364.php


産業連関表をつくるだけでは物事は変わりません。その貴重なデータを読み解いて、実際の変化につなげていくこと。そして、産業連関表は地域経済の産業部門の動きを見るためのものですので、一般の消費者の家計部門(日々の買い物など)についても調べていくことが有効です。地元経済を創りなおすための買い物調査のプロジェクトも進めています。

このような取り組みからわかったことや実際の効果をみなさんにお伝えする機会をぜひつくりたいと思っています。どうぞお楽しみに!

枝廣淳子さんのメールから

幸せ経済社会研究所のニュースにアップした記事をお届けします。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~

地球の自然予算を使い果たす日:2019年は7月29日
https://www.ishes.org/happy_news/2019/hpy_id002678.html


(グローバル・フットプリント・ネットワークより)

2019年6月、グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)は、今年人類が地球の自然予算を使い果たす日(アース・オーバーシュート・デー)は、7月29日になると発表しました。

アース・オーバーシュート・デーとは、人類の自然に対する年間の需要が、その年に地球が再生できる量を上回る日のことです。7月29日は、これまでで最も早い日付で、この20年間で2カ月早まったことになります。

この日付が意味するのは、現在人類が地球の生態系が再生できる速さより1.75倍の速さで自然を使っているということ、つまり、1.75個分の地球を使っているということなのです。

エコロジカル・フットプリントの共同開発者で、GFNの創設者であるマティース・ワケナゲル氏は、「当然のことながら地球は1個しかありません。私たちは1.75個分の地球を使い続けることはできないのです」と述べ、最近の著書の中で、「人間は、いつかは地球の生態学的資源の範囲内で生活をすることになるでしょう。そのバランスは、災害によってもたらされるか、それとも計画的に実現するかのどちらかなのです」と記しています。

しかし、アース・オーバーシュート・デーを1年に5日ずつ遅らせれば、2050年までに人類は、地球1個分の暮らしをすることができます。アース・オーバーシュート・デーに達するタイミングを遅らせるための解決策は数多くあります。例えば、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出量を50%削減すると、93日遅らせることができます。GFNでは、そうした解決策を推進するさまざまなキャンペーンを打ち出しています。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~

実際のところ、私たちは、過去の遺産を食い潰し、未来から前借りをして、この「地球1個分を超えた暮らし」を続けてしまっています。返せるアテのない前借りをしながら……

地球は1個しかないのだから、地球1個分で暮らすしかないのです。
しかし、いまの経済や社会の仕組みが「もっと、もっと」となってしまっていて、だから、私たちは悪気がなくても、地球1個分をはるかに超えた暮らしや経済を営んでしまっています

でも、地球1個分を超えてしまっていることが、温暖化や海洋プラスチック汚染といった問題によって顕在化し、だれの目にも明らかになってきています。

さて、どうやって経済や社会の仕組みを「地球1個分」に戻していけばよいのか?

私たちの世代の直面している最大の課題の1つです。

白鳥一彦さんのメールから

―― 忍び寄る5Gの危機!

NTTドコモAGCが開発したガラスアンテナ

5Gの電波は直進性が強く、ビルなど遮るものがあると、その場所には電波が届きにくい特性がある。
そのため4Gの基地局よりはるかに多くの基地局が必要になる。
基地局を増やすためともいえる技術の一つがAGC旭硝子株式会社より社名変更)が開発したガラス
アンテナである。

AGC旭硝子株式会社より社名変更)が開発したガラスアンテナ
⇒ http://command-ex.com/L3629/g4531/33421

これは既存のLTEネットワークのための基地局で2019年より導入されていくようだ。
AGCのホームページによると「景観を損なわない」とあるが、これは目立たないためどこにアンテナ
があるか分からないことも意味する。
これがそこら中に貼られていくと、今以上に電波だらけになり、逃れることができなくなる。
電磁波過敏症の人、いやそうでない人にとっても大変憂慮すべき事態である。

■5G実用化を急ぐ理由はどこに?

近年、スマートフォンタブレットといった携帯端末の普及には目を見張るものがある。
サービス提供エリアの拡大だけでなく、通信速度も向上している。
現在普及している4G LTEにおいては、最大100Mbpsの通信速度で高品質の動画が楽しめる。
タブレットスマホの画面サイズを考えれば、十分過ぎるレベルである。

だが、通信トラフィックは過去5年間で10倍、2020年には現在の1,000倍になることが予想されている。
また、1964年の東京オリンピックの際にテレビが普及したように、今回は高画質の4K/8K映像による
配信が期待されている。そのためには大容量データの超高速伝送も求められる。
そんな背景もあり、国内大手通信事業者は10Gbpsレベルの通信速度を実現する、第5世代移動通信シス
テム「5G」のサービス提供を2020年に開始できるよう目指している。

さて5Gにおいては、通信速度を高速化させるために、これまでとは異なり、より高い周波数帯のマイ
クロ波が利用される。
だが、電波の直進性が高まることから、基地局の影では電波が届きにくくなり、多数の小型基地局
(マイクロセル)を数十メートル単位で設置する必要があるといわれている(支柱にアンテナと電源
装置を設置する)。
そのため、設置コストがかさみ、携帯端末の消費電力も増えると考えられている。

だが、冷静に考えれば、5G普及が急がれる理由は不明確である。
そもそも5Gはスマートフォンタブレットといった移動体通信ターゲットにしている。
小さな端末画面においては、4K映像ならではの高画質はほとんど見極められないといわれている。
50インチクラスのテレビで見ればその違いを認識できようが、日本では全国に光ファイバー網が普及
しつつある。
当面、大画面では光ファイバー、小さな端末画面では4G LTEでもよいのではなかろうか。

一番 懸念されるのは、やはり電磁波に関してである。
すでに5Gが導入されているところでは影響が出始めている。

■オランダで野鳥300羽が死亡

オランダ・ハーグでは5Gの実験中に鳥が突然死亡する“事件”があった。死んだ鳥の総数297羽のうち、
150羽以上が突然死をしたという。
それも木からバタバタと落ちて死んでしまったのだ。
この際使用されたのは、7.40GHzとうい周波数の電磁波で、鳥が死んだ場所から約400m離れたところに
アンテナが設置されていたことがわかった。
死んだ鳥の調査は進められているが、何らかの中毒になった可能性も否定できないが鳥たちは病気にも
見えないし、衰弱もしていなかったという。調査を進めたところ、内出血もないし、毒物の痕跡もない
とのことだ。

ハーグのHuijgensパークの大きな謎。先週そこでは150羽近いムクドリが発見されました。
(動画:1分43秒)
⇒ http://command-ex.com/L3629/g4531/43421

アメリカ・カリフォルニア州のサクラメント市民に衝撃走る

ここでは、消防署の外に5Gのアンテナが設置されると、消防士たちが頭痛や不眠だけでなく、記憶障害
意識障害を訴えるようになったという。
5月29日、アメリカの3大テレビネットワークのひとつCBSサクラメント局は、5Gサービスの提供が健康
リスクを生じさせる懸念があると報道した。
サクラメント市は、(早ければこの夏の終わり頃にも)5Gサービスを提供する最初の都市となるべく、
試験運用を行ってきたが、アンテナから発せられる非電離放射線が人体に悪影響をもたらす可能性がある
という。

FCC連邦通信委員会)は、携帯端末に信号を伝送するアンテナ設置に際して、暴露限度を設けているも
のの、これまで携帯電波の影響力に対する評価は一致していなかった。
アメリカ国立がん研究所(NCI)によると、少数の研究においては、携帯電話の使用と脳腫瘍リスクとの
間には統計的な関連性を示唆する証拠がいくつか示されているが、他の多くの研究においては関連性が
示されていないとしている。
そして今回、FCCが「安全」と定めた数値の根拠が疑われる事態が発生した。

サクラメントの消防士たちは、消防署の外に5Gアンテナ設備が建てられると、頭痛や不眠だけでなく、
記憶障害と意識障害を訴えるようになったのだ。
これが5G設備の影響であるとの確信に至ったのは、近くに5G設備のない別の署に勤務地が替わった際
だった。消防士たちの症状はすっかり治まったのである。

さらに注目すべきことは、問題の消防署において計測された非電離放射線レベルは、FCCが「安全」と
みなす上限のわずかに1000分の1から500分の1の値だったことである。
屈強な消防士がそのレベルで体調を崩すとすれば、FCCが安全と定めた数値の上限レベルにおいて、
人々は本当に安心した生活を送ることができるのだろうか。
カリフォルニアの法律では、消防署の近くにアンテナの設置を強制しているが、消防士らは自分たちの
職場(消防署)を例外とするよう申し立てている。

■事業者寄りの行政

すでに触れたように、5Gサービスの提供には、小型の基地局アンテナ設備)を数多く設置せねばならない。
もし5Gアンテナからヒトに有害なレベルの電磁波(非電離放射線)が発せられることがあれば、その影響は
多くの人々に及ぶ恐れがある。

だが、移動体通信や無線通信の国際的な業界団体であるCTIAのスポークスマンは次のように語っている。

「携帯電話利用者の安全はCTIAや無線産業にとって重要です。
 私たちは、アンテナと健康への影響に対しては、専門家によるガイダンスに従っています。
 過去数十年にわたって行われた科学的な研究に従って、FCCアメリカ食品医薬品局FDA)、世界保健機関
(WHO)、アメリカ国立がん研究所(NCI)や、他のたくさんの米国および国際的な機関や健康の専門家たちは、
 アンテナや携帯電話が発する無線エネルギーを原因としたヒトへの健康リスクで知られているものはないの
 が科学的事実だと語っています。
 その証拠には、1980年代半ばに携帯電話が導入されて以後、アメリカ国内の脳腫瘍発生率は減少していると
 いう連邦政府による公式の脳腫瘍統計の分析も含まれています。」

5Gサービスを提供する大手電気通信事業者ベライゾンと手を組んだサクラメント市もまったく気にしていな
いようで、次のような声明を発表した。

サクラメント市はリーダーそしてイノベーターであり続け、5Gを国内で最初に商業的に実施・活用すること
 になるでしょう。
 これは、これまではお金のかかる光ファイバーによってのみ可能であったギガビット速度を住民に体験でき
 るようにするイノベーションです。
 5Gのようなテクノロジーは人々の日々の生活に革命をもたらすことでしょう。
 市は、経済的な活力を駆り立て、情報格差を減らし、多様なコミュニティーに貢献し、市の使命を果たす
 技術を遂行するために重要な役割を担い、発展プロセスの合理化に積極的に取り組み、ベライゾンのよう
 なイノベーターたちに効果的・効率的に道を開きます。
 現在、市は6カ所の5Gサイトを稼働させています。市は無線機器を規制することはありません。」

■消費者負担さらに重く

ベライゾンに限らず、大手電話会社のAT&Tも5Gを導入する予定であり、その技術に満足していると語っている。
それもそのはず。事業者にとってはその先につなげることのほうが重要である。
カリフォルニア州で5G導入法案「SB 649」が可決されれば、通信事業者には相場以下で助成金が支給され、
利幅30~40%で5800億ドル以上を稼がせることになると見込まれている。

総合コンサルタント会社のアクセンチュアの試算では、5Gネットワークの構築に通信事業者は、最初の7年間で
2750億ドルの投資が必要だとしており、利用者の負担も過去最高となることが見込まれている。

つまり、事業者は簡単に資金を得られる一方、市は財政を圧迫させ、消費者も割高な出費を強いられる可能性が
ある。

アメリカでは、光ファイバーの普及が進む日本の状況とは異なり、インターネットの利用にケーブル回線
が利用される傾向にある。そのため、大容量データを超高速伝送可能な回線を整備する必要性は常に課題となっ
ていた。

広大な国土を有するアメリカにおいて、光ファイバー網の整備にも莫大な費用がかかる。
そんな事情に付け入って、近年、5Gネットワークの構築が急浮上してきたといえるのかもしれない

難しい選択を迫られるアメリカだが、カリフォルニア州内で、215の都市が法案SB 649に反対している。
サンタローザを含むいくつかの市では、健康への懸念が処理される間、5Gの導入計画を保留するとしている。
また、東部メリーランド州モンゴメリー郡でも多くの人々が議会で5Gの導入に反対を表明するに至っている。

このように、アメリカ、特にカリフォルニア州では5G導入をめぐって大きく揺れ動いており、遅ればせながら
光ファイバーの整備を望む声も高まっているのが現実である。

だが、いったい日本で5G導入を急ぐ人々は、そんな騒動を把握しているのだろうか。

ベライゾンサクラメント市においてミリメートル波を用いている
日本でも同様の周波数帯が利用される予定であるが、周波数はいくらか異なればヒトへの影響度も変化する
可能性がないわけではない。
周波数を慎重に選ぶことで懸念が払しょくされる可能性もあれば、わずかな周波数の違い程度ではまったく
改善されない可能性もあるだろう。
サクラメントの消防士の事例を生かし、その点は十分に検証・改善される必要がある。

また、カリフォルニア州同様に、日本でも5Gアンテナの設置に莫大な費用を要すると予想される。

 その費用はどの程度消費者の利用料に反映されるのか?
 そして、そもそもこの時期に投資する意義があるのか?

ニーズがあるのかどうか疑わしい日本においては、これらの点について明確に説明される必要があるだろう。

そして、筆者にはもうひとつ気掛かりなことがある。
それは、

日本の技術力が東京オリンピックに間に合わせて5G導入を実現させた。」

という成功ストーリーを事業者らがイメージしている可能性である
もしそんなことがあれば、問題は健康リスクに対する認識だけではなく、もっと根深いところにあるという
ことになるだろう。

 引用:biz-journal
 文=水守啓/サイエンスライター