森下は、船瀬のなかに生きている

━■健康談話■━

森下敬一 『食べもの健康法』

●ねぎ

駅の構内にある立ち食いそば屋のおやじさんがいうには、
ねぎを入れる人と入れない人は半々ぐらいだそうだ。

食物の好き嫌いは微妙なもので、ねぎそのものは嫌いで
はないがそばに入れるのはいやという人もいるだろうし、
衛生を考えての辞退かもしれない。
だから、いちがいにねぎを食べない人が多いとは言えな
いけれど、現代日本人の体質改善に大いに役立つ食品だ
から、極力食べたいもの。

ねぎには特有の辛味とツンと鼻にくる匂いがある。
それは硫化アリルが含まれるためで、この硫化アリルは、
ビタミンB1効果を著しく高める作用を持っている。

まずB1と結合することによって、B1分解酵素である
アノイリナーゼの作用から、B1を守る。その上、B1
の吸収をよくし無駄なく利用されるようにする。

ビタミンB1不足になると、炭水化物の代謝が傷害され
て乳酸などの中間代謝産物をはじめとした老廃物が組織
に停滞してしまう。
その結果、疲れやすい、根気がない、イライラする、冷
え性、寒がりなどのいろいろの障害が起こりやすくなる。
ビタミンB1効果を高めるねぎを大いに活用すれば、そ
れらの障害を防止できるわけだ。

白米や白パンなどの精白食品や、食品添加物入り食品な
どを常食していると、間違いなくB1不足になる。
食品自体にB1が不足している上に腸内アノイリナーゼ
を大量発生させるからだ。
ねぎを積極的に摂取する必要があるゆえんである。

また、体を温める作用を持つのも、ねぎのすぐれた特性
の一つ。これは、ねぎの原産地がシベリアという極寒の
地であることとも関連がある。大きな耐寒能力を蔵して
いるわけだ。

この体を温める作用は、内臓の働きを盛んにし血液循環
をよくする効果となってあらわれるから基礎体力は増強
され、スタミナも強化される。

また発作・利尿が促され、タンの排出も促進される・・
という具合に、体内の余分な水分や蛋白性老廃物が速や
かに排除されるので、血液はきれいになり、新陳代謝
盛んになる。

このため、ねぎを常食していると胃腸病、冷え性、むく
みが治り、不感症や陰萎も解消し、結核や脱毛の防止に
役立つ。ねぎはなるべくナマか、ナマに近い状態で利用
したほうがよい。

なお、次のような手当て法を知っておくと便利。

カゼの引きはじめで頭痛や鼻づまりのあるときは、ねぎ
の白い部位を細かくきざみ、味噌、少量のおろし生姜を
加えて熱湯を注いでかき回し、熱いうちに中身ごと飲ん
で寝ると卓効がある。

シモヤケには、ねぎを煎じた汁に患部を浸すと有効。

また、ねぎの煎じ汁と塩を入れた薬湯は、リウマチの痛
みを解消させる効果がある。

■ねぎとコーフーのぬた

材料(6人分)
・長ねぎ・・・2本
・コーフー(小麦蛋白で麩の原料)???140g
・生わかめ・・・50g
・しょうが・・・1かけ
しょう油、だし汁・・・少々
・白みそ・・・80g
・米酢???大さじ1
・自然塩???少々

<作り方>
?長ねぎは5cmのぶつ切りにし、太いところは縦半分に切り、
 塩を少々入れた熱湯に通し、ざるに上げて水気を切ります。

?わかめも熱湯をかけて水に取り、水気を切って3cmぐらいに
 きります。

?コーフーは厚さ5mm、長さ2cmのたんざく切りにして、だし汁、
 しょう油を少々入れて、下煮しておきます。

?しょうがはごく細い千切りにします。

?白みそ、米酢、塩をよく溶き混ぜて、材料を和えます。

■ 焼きねぎの味噌汁

材料(4人分)
・長ねぎ・・・1本
・うずまき麩、粉さんしょう???少々
・だし汁・・・4カップ
・みそ・・・80g

<作り方>
?長ねぎを3cmにぶつ切りし、網でこげ目をつけて焼き、味噌汁
 に麩とともに浮かせます。

     (了)