枝廣淳子さんのメールから
******************************
Enviro-News from Junko Edahiro
No. 2634 (2018.06.18)
******************************
イーズのウェブサイトに、「アセスメント・見える化業務支援」
ナーが立ち上がりました。
https://www.es-inc.jp/
「見える化」は、ここ数年力を入れてきて、
お手伝いの柱の1つです。どのようなことなのか、
どのようなお手伝いをしているのか、
なものなのかを、お伝えします。
~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~
「アセスメント・見える化業務支援」
https://www.es-inc.jp/
○なぜ、「測り、見える化すること」が重要なのか
環境負荷削減でも、社会価値の創造でも、地域経済の活性化でも、
幸福度の向上でも、
1つは「現時点の状況」、つまり「スタートライン」を知ること。
の状態」を測らずにダイエットや運動を始めても、
うかのフィードバックが効きませんから、
いでしょう。同様に、どのような取り組みでも「現時点の状況」
えることは必須です。
もう1つの大事なことは、「
り組みを計画したあとは、実施→効果測定→次の取り組みの計画→
定......と続けていく、つまり、PDCA(計画→実行→
を回していくことで、
「測定して見える化する」ことの重要性を認識した上で、
お伝えしたいと思います。
1つめは、「目的によって何を測るかが決まる」ということです。
運動の例にしても、体重を落としたいのなら体重をはかりますし、
いなら体脂肪率をはかるでしょう。同じダイエットや運動でも、
かるものが異なるはずです。「何を変えたいのか?」が測るもの(
ます。
もう1つの大事なポイントは、「私たちは、
ことです。体重や体脂肪率は測りやすいですが、
と幸せになりたい、自己肯定感を向上したい、と思っていた場合、
肯定感はより主観的なものですし、測定方法も決まっていません。
往々にして、本当に大事なものは簡単には測れないのです。
ワード・デミングは、「測らなければ管理することはできない」
「経営で大事なことのうち、実際に測れるのは3%しかない」
「測る必要があるが、測りにくい・測り方がわからない」場合、
を測って代理指標にしようとすることがよくあります。
度を測るべきですが、それが難しいため、GDP(国内総生産)
の指標としているのも、その一例かもしれません。「
だが、それでよいのか?」と自問すること、測り方をくふうして、
当に測りたいものを測れるようにしていくことを忘れてはなりませ
○持続可能性の3本柱に関わる指標について
持続可能性の3本柱は、「トリプル・ボトムライン」と言われる「
「経済」です。それぞれの「測定・見える化」
●「環境」の分野
環境問題が大きくなってきたこの数十年間に大きく進展しました。
「CO2排出量」「水の消費量」「森林資源の消費量」「
測定し、CSRレポートなどに掲載して、
うになっています。
●「社会」の分野
今まさに発展中です。企業がSDGs(
環として、何かのプロジェクトを行った場合、その「
う測るのか? 働き方改革を行うことで、社員の幸福度がどのくらい向上したか
をどう測るのか? 環境分野の測定のように、定まった測定方法があるものは少
なく、現在、さまざまな測り方が提案され、試され、
●「経済」の分野
企業でいえば、これまで使われてきた売上や利益、ROI(
えて、「
高まっています。
また、自治体や地域では、「
門は何でどのくらいか?」を測り、見える化することで、「現在、
てしまっているお金を地域の中で循環することで、
も、豊かな地域経済が回り続けるようにしたい」
このような「地元経済への貢献度」や「地元経済の現状」
動きも、始まっています。
※最新刊である『地元経済を創りなおす――分析・診断・対策』(
この動きと手法・事例を伝えるためのものです。
http://amzn.to/2FCzZzV
○イーズの専門家チーム「アセスメント・見える化ユニット」
イーズではその必要性と重要性を認識し、「大事なもの・
し、見える化する「アセスメント・見える化ユニット」
の本ユニット担当スタッフの専門知識とスキルを活用して、
ルインパクト、幸福度、地域経済の現状などを測定・計算し、
化」するお手伝いをしています。
●小野雄也:LCAの専門家
LCAの専門家。東京都市大学 伊坪徳宏LCA研究室にて、博士後期課程を修了〔博
士(環境情報学)〕。博士論文は「
トプリント評価基盤の開発と活用」。日本学術振興会 特別研究員として、シド
ニー大学に留学後、東京大学 生産技術研究所 沖大幹研究室の特任研究員として
研究に従事。
総合研究所の環境負荷データベースIDEAにも採用されるほか、
減に役立っています。
設計・実施しています。
●新津尚子:社会調査の専門家
社会調査の専門家。
〔博士(社会学)〕。
分析、集計を担当。調査の目的や組織・地域の実情に合わせて、
計し、ニーズに合わせた分析を行います。
●枝廣淳子:環境CSRコミュニケーションの専門家
心理学等に基づく実効性のあるコミュニケーションの立案・
○イーズ「アセスメント・見える化ユニット」
介します。
・環境負荷の見える化
・幸福度の見える化
・地域経済の見える化
・ソーシャル・インパクトの見える化
●環境負荷の見える化
ある製品・サービスを提供するために必要な生産~使用~
る環境への影響を評価する手法である「ライフサイクル・
を用い、企業の製品やサービスに伴うカーボン・
フットプリントなどの環境負荷を算定し、見える化します。
環境負荷を算定することで、
算定することができます。
見える化プロジェクト全体の企画から、データ収集及び調査、
のレビューも行います。
また、算定結果をもとに、
環境負荷やその削減効果をわかりやすく伝えるお手伝いを通して、
価値の向上や、
サポートします。
<事例1>
日本海ガス株式会社
算定内容 : CO2や水消費を含めた79項目
都市ガスおよびガス器具の販売を手がける日本海ガス(本社・
り、ガスファンヒーターを販売するのではなく、
す。顧客からは、「収納場所がいらなくて助かる」「
る」「配達・取り付け・
「万一故障しても、機器を無償代替してもらえる」「
ンスで常に安心して使用できる」など、好評を博し、
に増えています。
このレンタルサービスは、顧客の利便性を高めるだけでなく、
ナンスすることにより、
身者などが機器の寿命前に廃棄することも避けることができるなど
削減にもつながっています。
イーズ「アセスメント・見える化ユニット」では、
ンヒーターレンタルサービス(Product as a Service)を対象に、LCAの手法で
環境負荷の算定を行い、その環境効果を明らかにするとともに、
改善提案につなげました。同社はLCAの算定結果を環境・
ションにつなげています。
【掲載されました】
ガスファンヒーターレンタルサービスのLCA調査結果 <日本海ガスさま社内報>
https://www.es-inc.jp/news/
<事例2>
食品製造業、アパレル業、印刷業、化粧品業、化学製造業
算定内容 : CO2や水消費、土地利用
大手企業の環境部門で、
果を数値化するとともに、
すことができました。社内で共有して改善につなげるとともに、
して、
を支援しています。
<事例3>
自治体、農業、漁業、食品製造業、アパレル業、印刷業、
飲食業、コンサルティングサービス業、小売業、研究機関、大学
算定内容 : 水消費
ウォーターフットプリントに着目し、製品やサービス、
い評価支援を実施。ライフサイクルでの結果を把握することで、
性及び改善点を見いだすことができました。
もに、水消費をリスクとして捉え、
また、企業だけでなく、
●幸福度の見える化
「GNP(国民総生産)よりも、GNH(国民総幸福)
り組みが1つの刺激となって、究極の目的であるはずの「幸福度」
を測ろうとする動きが世界中に広がっています。でも、
算定できるし、発表されているけれど、
うか? 主観的な幸福度を測定することができるのでしょうか?
近年、幸福研究と統計学の進展があいまって、「幸福度の測定」
歩してきました。枝廣は、
専門家委員会の一員でもあり、
場にあります。イーズ「アセスメント・見える化ユニット」では、
ニーズにあわせて、「本当に大事なものを測る」
<事例1> 島根県隠岐郡海士町(幸福度調査)
地方創生の先進地域の1つである、島根県隠岐郡海士町では、「
度を測りたい」という要望にあわせて、「
作業から開始しました。
の声の聞き書きなどの膨大な資料から、「海士らしい幸せ」「
言及をピックアップし、地域の方々との議論を通して、「
調査」を設計しました。
町役場から配布してもらった調査票が回収されたあと、
に、同じ項目での全国調査も行い、全国と比べての「海士らしさ」
らせました。結果は、
をはかったほか、
広報を通して町民にもフィードバックするとともに、
されています。
http://www.town.ama.shimane.
この幸福度調査で「海士らしさ」の1つとして測定した「
う価値観については、今回の結果をもとに、論文を執筆し、
際学会で発表するサポートもおこない、
<事例2> 株式会社ミナモト建築工房(社員満足度調査)
家づくりを通じて、
密着型の工務店ミナモト建築工房のサポートを行う一環で、
活かすための社員満足度調査を設計・実施しました。
も活かされ、
http://minamoto-k.com/
●地域経済の見える化
市町村は地域経済の活性化のために、「お金を引っ張ってくる」
います。国の補助金をどうとってくるか、企業をどう誘致するか、
込んでどうお金を落としてもらうか......。
たん地域に入ったお金がすぐに地域から流出せずに、
ようにすることも、同じように、もしかしたら、
域にお金を注ぎ込んでもすぐに出ていってしまっている現状は「
例えられます。
自分の地域の経済はどのくらいの大きさのバケツなのか? 何によってどのくら
い外からお金を稼いで(お金を引っ張ってきて)いるのか? 何でどのくらい外に
お金が漏れ出てしまっているのか?がわかれば、つまり、
それをふさぐための具体的な手立てを考え、
だけではありません。地域の中にある事業者が、
いるのかも大事な視点です。
イーズ「アセスメント・見える化ユニット」では、
える化するための地域産業連関表を作成することを通して、
経済を支援しています。この数値は、
また、事業者の地元経済への貢献度を数値化することで、
者となっていくお手伝いもしています。
日本で地域産業連関表を作成している数少ない自治体である北海道
域経済の漏れをふさぐ具体的なプロジェクトの企画や実行の支援を
か、熊本県南小国町で、
ています。
また、ある事業者がどこからどのくらい調達しているか、
らどのくらい調達しているか、
るかを遡って算定することで、
(Local Multiplier 3)という手法があります。この手法を用いて、ある事業者の
地域経済への貢献度を見える化する作業を行っています。
さらに、地域経済への波及効果を念頭に、一般の家庭を対象に、
のくらい買っているのかを調べる「家計調査」も行っています。
加住民と話し合うワークショップも開催し、
なげています。
●ソーシャル・インパクトの見える化
たとえば、
り出す価値をどのように測定することができるでしょうか? このような社会へ
の働きかけを行うプロジェクトが投資に見合う効果を生み出してい
ように知ることができるのでしょうか?
社会に創り出した価値(ソーシャルインパクト)
トへの支援を集めたり、支援への説明責任を果たそう、
に改善していこう、という動きが、英国を中心に広がっています。
単なる財務指標や、
算定の難易度の高い領域ですが、イーズのアセスメント・
SRIO(social return on investment)測定の草分けである英国のNEF
consultingとパートナーシップを組んで、
していきます。
~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~
新しいチャレンジ分野も含め、「本当に大事なものを測ること・
とで進めていく」お手伝いを進めていきます。「これはどうかな?
ことで困っているのだけど」等、
ら、ぜひお声がけください!
ところで現在、以下の国際会議に参加するため香港出張中です。
16TH ANNUAL MEETING INTERNATIONAL SOCIETY FOR QUALITY-OF-LIFE STUDIES
PROMOTION OF QUALITY OF LIFE IN THE CHANGING WORLD
http://www.isqols2018.hk/
会議初日に、上記「幸福度の見える化」
県・海士町の方々と一緒に、海士町の「ないものはない」
持続可能で幸せな社会づくりに役に立つ!
「ないものはない」:海士町が世界に送る「知足」の考え
“Naimono Wa Nai”: Ama Town’s concept of sufficiency and message to the world
発表の内容についてはまたお伝えしたいと思いますが、
加者が来てくれて、コメントや感想、
な反応をいただくことができました。
「見える化」は手段です。
いろな形でのお手伝いができればと思っています。
******************************
「幸せ経済社会研究所」~幸せと経済と社会との関係を見つめ直す
http://www.ishes.org/