気候ネットワークから

「市民のチカラで、気候変動を止める。」
           気候ネットワークより月2回
       地球温暖化問題を巡る最新情報をお届けします。

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■ 政府・国会・NGOの動向
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●防衛相、20年度から電力調達を自衛隊全施設で見直しへ
 河野防衛大臣は12月23日、閣議後の記者会見で、来年度からの電力調達の方
法を試行的に見直すとし「可能な限り再生可能エネルギーの比率の高い電力
を調達することを、全ての施設においてできるように事務方に指示をした」と
発言した。また、記者から「100%再エネを目指すのか」との質問に対しては、
具体的な数値目標は明示せず、今回は試行的に全ての施設でまずやってみる
と答えた。また、「気候変動に起因する災害が、今後とも続いていくであろう
ということを考えれば、当然に自衛隊としてもこの気候変動に関して様々対応
していく必要がある」とも加えている。
<https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2019/1223a.html>

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■ 国際動向
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●108か国が2020年までに気候目標・温暖化対策を更新して国連に再提出へ
 14日、パリ協定に基づいて各国が自国の温室効果ガス排出削減目標や温暖
対策を盛り込んだ国別約束(NDC)を2020年のうちに更新・強化して国連に再
提出する意向をもつ国が108にのぼることがわかった。同日、COP25議長国のチ
リが発表した。
 世界各国のすべての排出削減目標が達成されたとしても気温上昇は約3℃に
なると推計されており、グテーレス国連事務総長や、グレタ・トゥーンベリさ
んをはじめとする世界中の若者や市民が、目標の引き上げを求めていた。日本
政府は、現在「2013年比で2030年までに26%削減」という目標を国連に提出済
みだが、パリ協定の1.5~2℃未満には整合しない不十分なものと科学者に指摘
されている。にもかかわらず、目標を見直す意思を示していない。
<https://www.climatewatchdata.org/2020-ndc-tracker>

●オランダ気候変動訴訟 原告の勝訴が確定
 12月20日、オランダの最高裁判所は、政府に対し2020年末までに温室効果
スの排出量を1990年比で少なくとも25%削減するように命じる判決を下した。
同国の環境NGOアージェンダ財団の訴えを認め一、二審の判決を支持したもの。
 この裁判は、アージェンダ財団が国民866人とともに、オランダ政府が定め
ていた2020年の温室効果ガス排出削減目標が気候変動対策として不十分である
として、90年比25~40%削減に引き上げるよう求めたもの。2015年、ハーグ地裁
(第一審裁判所)では原告の勝利となり、世界の気候変動訴訟に影響を与えた。
一方、オランダ政府は控訴したが、2018年、第二審判決でも原告側を支持。
さらに政府は上告し、最高裁判所で審理が続いていた。
<https://www.urgenda.nl/en/home-en/>

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■ 科学動向
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グリーンランド 氷床融解が7倍の速度で進行
 科学者たちのグループが12月10日、科学誌「ネイチャー」で、グリーンラン
ドで1992年以降に失った氷の量は4兆2000億トン以上に達したことが明らかに
なったと発表した。この量の氷が溶けたことにより、この25年間で世界の海水
面は0.4インチ(約1センチ)上昇している。現在のペースでグリーンランド
氷床が溶け続けると、2100年までには、従来のIPCC予測(60cm上昇)に加えて、
さらに2.75インチ(約7センチ)海面が上昇するとしている。また、グリー
ンランドの氷床の融解が1992年と比較して7倍の速度で進行しているとされる。
これにより、新たに4000万人が浸水のリスクにさらされる。
 また、2019年の夏には、ヨーロッパを襲った激しい熱波の余波がグリーンラ
ンドに達し、2019年の7月最終週に氷が溶けたペースは、科学者チームがIPCC
と共同で予測した、2070年の値に相当する、最も悲観的なシナリオにおける数
字だったという。
<https://www.businessinsider.sg/greenland-ice-loss-rate-7-times-higher-2019-12/>

地球温暖化によって台風の移動速度が遅くなる
 気象庁気象研究所などの研究グループは、多数の数値シミュレーションの結
果を用いて、地球温暖化に伴う、台風(熱帯低気圧の移動速度の将来変化を
評価した。その結果、現時点を超える政策的な緩和策を講じない場合、今世紀
末には、日本の位置する中緯度を通過する台風(熱帯低気圧の移動速度が約
10%遅くなるとしている。これは、地球温暖化が進むと、台風が日本付近に接
近した際に、その影響を受ける時間が長くなることを意味してしていると解説
されている。
<https://www.mri-jma.go.jp/Topics/R01/020108/press_020108.html>

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■ 地域動向
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堺市議会、「気候非常事態宣言」を全会一致で可決
 12月20日堺市議会にて「気候非常事態宣言」が可決。宣言項目は5つ、2050
年の温室効果ガス実質ゼロに向けて取り組むことや各自治体に対し連携及び
取り組みを強く求めるという内容が盛り込まれた。堺市は「SDGs未来都市」に
選定されており、気候非常事態を宣言し、先導的な自治体として宣言項目に取
り組むと明記した。
<https://www.city.sakai.lg.jp/shigikai/kaigi/kaketsu.files/1-6giinteisyutugian33.pdf>

鳥取県北栄町、「気候非常事態宣言」を表明
 12月20日北栄町は、気候非常事態を宣言し、豊かな自然環境を次世代に引
き継いでいくため、2050年までに北栄町におけるゼロカーボン(人為起源のCO2
の実質排出ゼロ)を目指して取り組むとした。
<http://www.e-hokuei.net/secure/10262/hokueisengen.pdf>

●東京都「ゼロエミッション東京戦略」を策定
 12月27日、東京都は新たに「ゼロエミッション東京戦略」と「気候危機行動
宣言」を策定した。「ゼロエミッション東京戦略」には、5月に打ち出したCO2
実質排出ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京の実現」の具体的な内容やロ
ードマップを盛り込んだ。また、この戦略をもって、気候危機行動宣言とし、
「今、直面している気候危機を強く認識し、具体的な戦略をもって、実効性あ
る対策を講じるとともに、全ての都民に共感と協働を呼びかけ、共に、気候危
機に立ち向かう行動を進めていくことを宣言」した。
<http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/12/27/08.html>

おおい町水力発電事業の市民ファンド募集スタート
 福井県おおい町にて、地域主体の小水力発電事業を準備中。南川砂防ダム
活用した「サイフォン式小水力発電所」で、地域で作った合同会社が主体とな
り、収益の一部を地域活性化事業に使っていく地域循環型事業として進める。
ファンドは「おひさま自然エネルギー(株)」が担当する。
<http://aichi-ohisamanet.co.jp/ooimati-fund>
<http://ecoplanf.com/goudou/>

●おてらのでんき~TERA Energyが関西での電力供給をスタート
 地域への貢献を目的に僧侶が作った電力会社であり、脱炭素・再エネ100%を
目指すTERA Energy株式会社は、中国電力管内に加えて、1月から関西電力管内
での電力供給・販売を開始した。TERA Energyは、お寺や一般家庭への供給を
中心に行っており、再エネ電力比率(FIT電気)が70%以上と高いことや、電
気料金に応じた寄付(2.5%)をお寺やNPOに行うことができるのが特徴。気候
ネットワークも発足からサポートを行っており、寄付先の一つにもなっている。
<https://tera-energy.com/>

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          ◆◇◆気候ネットワーク活動報告◆◇◆(2019.12.17~2020.1.14)
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 気候ネットワークの活動を報告します。
・【声明】ベトナム石炭火力事業で三菱商事が孤立 大手海外銀行や共同事業
者らの相次ぐ撤退で 日本の官民も脱石炭への舵切りを!(2019年12月20日
・【ペーパー】COP25マドリード会議の結果と評価 日本は気候危機にどう立
ち向かうのか(2019年12月27日)
・ニュースレター「気候ネットワーク通信」最新号(2020年1月1日)

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[気候ネットワーク・ブログ更新情報](2019.12.17~2020.1.14)
<http://www.kikonet.org/kiko-blog/>

「Don’t Go Back To The 石炭!」サイト更新情報](2019.12.17~2020.1.14

 <http://sekitan.jp/>
・【更新】『石炭火力発電所ウォッチ』更新情報(2019年12月20日
・釧路石炭火力発電所と地元炭鉱の現状(2020年1月9日)

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                          ■イベント案内■
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<気候ネットワーク開催>
【京都】
■環境 × 福祉セミナーin京都
日時:2020年1月25日(土)10:00~11:45(開場 9:30)
会場:京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第5会議室(京都市中京区
竹屋町通烏丸東入る清水町375番地)
内容:1998年から地球温暖化問題に取り組んでいる気候ネットワークは、福祉
関係者と連携し、気候変動が 福祉に大きく関係していることを社会に伝える
ために、環境福祉セミナーを開催します。
参加費:無料
主催:気候ネットワーク
詳細:<https://www.kikonet.org/event/2020-01-25>

【神奈川】
■三浦セミナー 映画上映会「チェイシング・コーラル-消えゆくサンゴ礁
日時:2020年2月1日(土) 14:00~17:00 (開場13:30)
会場:マホロバ・マインズ三浦 本館
内容:東京湾の入り口の横須賀市久里浜では、温暖化の最大の要因となる石炭
火力発電所の建設が今なお着々と進められています。気候変動やそれがもたら
す異常気象は、人の営みの結果なのです。この映画をきっかけに、私達が今で
きることを考えていきたいと思います。
参加費:無料
主催:石炭火力を考える東京湾の会、横須賀火力発電所建設を考える会、気候
ネットワーク
詳細:<https://www.kikonet.org/event/2020-02-01>

<他団体主催>
【京都】
■COP25マドリード会議報告会【京都】
日時:2020年1月26日(日)14:00~16:30(開場13:30)
会場:メルパルク京都 5F 会議室A(京都市下京区 東洞院通七条下ル東塩小路
町676番13)
内容:今回の報告会では、COP25に参加するNGOの専門家メンバーが、マドリー
ド会議の重要なポイントに加え、参加者にしかわからない現場の空気、交渉の
ダイナミズム、ビジネスへの影響についてたっぷりとお伝えします。奮ってご
参加ください。
参加費:無料
主催:Climate Action Network Japan (CAN-Japan)
詳細:<https://www.kikonet.org/event/2020-01-26>

【東京】
■シンポジウム「司法は気候変動の被害を救えるか~科学からの警告と司法の
責任~」
日時:2020年2月14日(金)17:30~20:00(開場17:15)
会場:弁護士会館17階 1701会議室(千代田区霞ヶ関1-1-3)
内容:本シンポジウム は、司法の分野における被害の拡大防止や被害者の救
済のために法が充分に機能していない原因を明らかにするとともに、海外の訴
訟等も参考にしつつ、これを乗り越え、法や訴訟を気候変動による被害救済に
活用する可能性について検討します。
参加費:無料・事前申込不要(定員:130名)
主催:日本弁護士連合会
詳細:<https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2020/200214_2.html>

【北海道】
■シンポジウム「炭鉱の町・釧路から地球温暖化を考える」
日時:2020年3月28日(土) 13:30~16:30
会場:釧路市生涯学習センター・まなぼっと幣舞 705/706(90名)(〒085-08
36 北海道釧路市幣舞町4-28)
内容:釧路は、自然豊かに恵まれた環境であり、一方で石炭採掘でも一大産業
を築いてきた都市です。石炭がもたらす気候変動問題や大気汚染問題は世界的
にも大きな課題です。本シンポジウムでは、石炭がもたらす様々な影響を考え
るとともに、世界で今何が起きているのかを知り、今後私たちがどのような社
会を描いていく必要があるのかを考えていきたいと思います。
参加費:無料
主催:釧路火力発電所考える会
協力:気候ネットワーク、北海道グリーンファンド
後援:環境省北海道環境パートナーシップオフィス、公益財団法人北海道環境
財団、NPO法人北海道市民環境ネットワーク「きたネット」
詳細:<https://www.kikonet.org/event/2020-03-28>

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◆気候ネットワークは、地球温暖化問題に取り組む環境NGOです。
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 <私たちはめざします>
○人類の生存を脅かす気候変動を防ぎ、持続可能な地球社会を実現すること
・世界の温室効果ガスを実質ゼロにする国際的なしくみをつくる
・日本での持続可能な脱炭素社会・経済に向けたしくみをつくる
化石燃料原子力に依存しないエネルギーシステムに変える
・市民のネットワークと協働による脱炭素地域づくりを進める
・情報公開と市民参加による気候政策決定プロセスをつくる