エネルギー懇談と原発 枝廣淳子さん
Enviro-News from Junko Edahiro
No. 2628 (2018.05.03)
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前号では、エネルギー情勢懇談会の最終提言について、
3つのポイントをお伝えしました。
https://www.es-inc.jp/library/
提言には、「可能な限り原発依存度を低減する」
すが、最終回まで、
今回は最終回である第9回に、原発の位置づけについて、
がどのような発言をしたのか、
その部分だけを抜粋してお伝えします。
実際の発言やその他の発言については、この下の方にある「動画」
覧ください。
http://www.enecho.meti.go.jp/
~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~
エネルギー情勢懇談会(第9回)
平成30年4月10日
「各エネルギーの選択肢が直面する課題、対応の重点」
<事務局説明>
・原子力については、やはり福島第一原発事故の経験を教訓に、
安全を最優先し、
中で、
・脱炭素化の選択肢である原子力に関しては、世界的に見て、
きがある一方で、安全性、経済性、
ている。
・我が国においては、
物処理などバックエンド問題の対処といった取り組みにより、
の回復が不可欠である。
・このための人材、技術、産業基盤の強化に直ちに着手し、
動性にすぐれた炉の追求、
ればならない。
こそ重要である。
・この原子力の部分については、枝廣委員、船橋委員、中西委員、
根委員からそれぞれご意見をいただいた。
○船橋委員
・大きな方向性は2つあると思う。
子力も一つのオプションとして残すこと。もう一つは、
う技術革新によって、消費者が電力を自分でやりくりする、
イノベーションを進めていくということ。国民一丸となって、
という大きな面で脱炭素社会に向けていこうということが大きなメ
り、これを内外に明確に示し、
してのこれからの非常に大きな仕事になる。
・再生エネルギーを主力電源とするという明確な方針を出したが、
再生エネルギーを「正義」にしないということ。そうすると、
都合の悪いものが出きても隠そうとするかもしれないから注意すべ
・原子力は脱炭素の一つのカードだが、
観点で残しておくべきオプションだろうと思う。もちろん、
規制のリスクとガバナンス、
つが前提で、ありこれをしっかりやらなければ原子力は使えない。
○坂根委員
・今回のこの提案は、
わしいと思う。
・2009年から2013年、
2014年からは総合資源エネルギー調査会の会長としてエネルギ
をやってきている経験から、この問題の本質は「
て、最後はとにかく化石燃料はなくなるのだから、
るか。一方で、そこまで地球温暖化はもつのか」だと考えている。
・「化石燃料がなくなった後のエネルギー確保は何でやるのか」
問題。
年で少なくとも先進国はCO2を80%
と地球温暖化問題というのは全く不可分の関係。
・現行の2015年につくった2030年の基本計画では、
をゼロエミエネルギーでやって、CO2は26%の削減だ。
うやったら実現できるのか私には想像ができない。
・提言案の19ページに今回も「原子力は限りなく削減」
が書かれているが、「地球温暖化問題の80%減」
全く合理的な根拠はないと思う。 脱炭素=「水力を含む再エネ」ではない。プ
ラス原子力だ。
・同じ島国の英国は原発を諦めていない。
隣国と自由に電力を輸出入している国なので、
が、彼らも脱原発と言ったものの、もう壁にぶつかっている。
原子力比率を下げていって、
イツはギブアップだ。
・だから、
いうのが私の主張だ。したがって、
・パリ協定の80%削減について、「
てくれ。80%削減はとてもこの国はできない」というなら、
だと思うが、今の段階で80%
としたら、中西委員も前回言われたが、「
現に私は反対だ。
・2030年に向けてのエネルギー基本計画づくりでは、
原子力比率を下げているが、
にCO28割減を検討したときにそうなるのか、
○枝廣委員
・大きな方向性としては、「再エネを主力電源化する」
電の依存度を可能な限り下げていく」
そして、私は今回の一番大きなポイントは「分散型」
きちんと位置づけられていて、全体的には良いと思う。
・原子力の位置づけについては、19ページにある(
おいては、更なる安全性向上による事故リスクの抑制、
バックエンド問題への対処といった取組により、
である。このため、人材・技術・産業基盤の強化に直ちに着手し、
性・機動性に優れた炉の追求、
なければならない。
や取組こそ重要であり、
なる」)
・しかし、技術開発だけでは社会的な信頼は回復できない。
核廃棄物にしっかり取り組んでいかないと、
もできない。
・坂根委員と同じく、政府は逃げてはいけない。
がいいと思っているが、
イレのないマンションだ」というだけではなく、では、「
くるか」をしっかりやっていかないといけない。
○飯島委員
・全てのオプションを保持するという総力戦の対応に、
いるという意味では、
・しかし、電源についてのメリハリが利き過ぎている。
は各電源、例えば原子力、
きに、提言で「原発はどんどん低減していく」となっているとき、
陽産業に人材は本当に行くのか。
・今度どうやって原発人材を養成していくのか、
のように進めていくのか、政策対応が重要になってくる思う。
・原子力の取り扱いについては、
後大事なのは、脱炭素の重要な有力な選択肢だと考えたときに、「
原発と再生可能エネルギーは表裏一体だということ。
・現在のエネルギー基本計画で、「
原発は20~22%、再エネは22~24%
この比率はフレキシブルに移動させるぐらい、
術革新をしながらやっていかないといけない。「減らしていく、
る」ということだと、優秀な人材は集まらない。下手をすると、
外国人材に頼らざるを得ない形になる。
○日下部資源エネルギー庁長官
・皆さんの議論を聞いていて、「2050年のマイナス80%」
と思っている。さらにその先に、坂根委員の言うように、
をしたときにどのエネルギー源で食べていくのか。
ルギー、あるいは原子力という選択肢に焦点が集まってくる。
理の基盤を残しておかないといけない」
回の提言全体では、「全ての選択肢の可能性を追求する」
なっている。
・その上で、全ての選択肢が完璧かと言えば、
いても、たくさん課題がある。その認識は各委員共通だと思う。
・どの課題の解決が容易なのかも、
からないので、今の段階では見きわめがたいという、
・したがって、提言に書かれているのは「脱炭素化に向けて、
肢は捨てない」。捨てないということは、
という方針を打ち出すということ抽象的に言っていてもだめなので
レビューメカニズム」という議論をしている。
するのではなく、全ての情報をきちんと集めて、
的にもコンセンサスを得て、手を打っていく。
・もう一点、福島第一原発の事故の経験は、非常に重いものだと、
じてやはり感じている。
・福島第一原発の事故を経験していない、
のありようについて、
全く要らないと思うが、
3.11の事故を踏まえた上でのスタンスが大事ということで、
ている。
・坂根委員や飯島委員から、全方位をやると言っておきながら、
ついて、
一方で、この提言では原子力について、単に「依存度低減」
はなく、「社会的な要請に向けて、さらに進化をしていく、
ということも書いている。
・最後に残るのは、どうしてもこの「原発依存度を低減する」
が、事務局の整理としては、
で全ての可能性を追求する」。
○小澤資源エネルギー政策統括調整官
・長官のコメントに少し補足すると、
生可能エネルギー、原子力については、それぞれ人材、技術、
直ちに着手して、
だきたい。
○白石委員
・先ほどの飯島委員の「
うところに人材は行くのか」というのは非常に重要な問題。
決方針のところでは、
投入するくらいのことは入っておいてもよいと思う。
・原子力発電の依存度をどうするかは、
政府が決める問題。政治家が逃げているから、
おりてきていると常々思っているが、
の水準は維持すべき」ぐらいのことは入っておいてよいと思う。
○坂根委員
・パリ協定の80%を原子力ゼロで実現するというのは、
クスなのかという試算を粗くてもよいのでやってほしい。
・「技術自給率」については、
島さんからしたら、
もするわけがない。
では、ビジネスとして「やってみよう」
投資は行われないに決まっている。
・私は今、福島の廃炉の委員をやっているが、
に心配に思う。今大学卒業した人が定年までの期間、
ものがありながらの話。
・この国の将来考えたときに、
いといけない。それを、国民にわかりやすくどう言うかが、
はないか。空論ばかり言っていても、
成り立たない。
・私はそのころには生きていないので、
当にひどい世の中になる。
○枝廣委員
・「原発の依存度を可能な限り低減する」をめぐっての議論だが、
が言うように、福島事故がなかった国とは違う選択、
いけない。福島はもちろん東電の責任でもあるが、
それぞれ固有の条件を鑑みながらエネルギー政策をつくらないとい
うならば、日本は福島事故が起こった国であるということは、
一つに入れざるを得ない。
・その責任感からの姿勢として「可能な限り低減する」
や資本・資源が集まるかに関しては、打ち出し方として「
ら安全性、経済性、機動性に優れた炉の追求等、
と書いてある。廃炉、それから核廃棄物については、
しっかりやっていくことは、日本の国としても必要なので、
ピールするように打ち出すのが良い。
・坂根委員は「原子力の依存度を低減すると、
たが、本当にそうなるのかを、きちんと検証する必要がある。
・いくつかの独立系の研究所などが、「2050年に向けて、
原子力ゼロを両立するシナリオは可能」と発表している。「
いう研究所もある。それらを持ち寄って、
こか違っていて違う結論になっているのか、
らいいのかを議論・検討していく場をつくってほしい。
○中西委員
・原子力産業は、始めたら100年やめられない。
のだという認識がなくては、この産業には入れない。
営者としては何とかやれるようにするという義務がある。
だ。
・3.11の直後には、株主総会でも「原発やめろ」
私は「とんでもない」と反論した。今はそういう声はなくて、
「あいつかやっている限りはやめないから大丈夫」
いが、これはやはりちゃんと真正面から議論して、
ていくかを考えるべき。
てやりたい。さもないと、本当に坂根さんの言われるように、
前に、とんでもないことになる。
○日下部資源エネルギー庁長官
・再生可能エネルギー系の技術でも、原子力系の技術でも、
るので、
・これを受けて、
方で、
2つがあって初めて、船橋委員の言う「能動的な対応」
ないか。
・今回は、数字を特定して何%と言っていないので、
ところもあるとは思うが、
ギー転換と脱炭素化という、この軸をぶらさずに、
技術について、
ているかをもう一回見させていただきたい。
・今回が最終回なので、エネルギー情勢懇談会の提言について、
上で、事務局で預からせていただければありがたい。
~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~
というやりとりがあって、事務局預かりとなり、最終的には、
「可能な限り原発依存度を低減する」という文言は残りました。
この提言は、
基本政策分科会の第26回会合(4月27日)に提出されました。
http://www.enecho.meti.go.jp/
この提言を反映する形で、
ます。現在、上記の資料を見ていただくとわかるように、
れています。
実際のエネルギー基本計画に、
たエネルギー情勢懇談会の提言がどのように結実するのか、
思います。
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「幸せ経済社会研究所」~幸せと経済と社会との関係を見つめ直す
http://www.ishes.org/