枝廣淳子さんのメールから

                  Enviro-News from Junko Edahiro


                      No. 2703 (2019.07.27)

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昨日の日経新聞に、欧州の熱波の状況と、それへの各国の対応がいくつか紹介されていました。原発の原子炉の停止、外で作業する公務員の業務取りやめ、山火事を防ぐため、森林近くでの喫煙やたき火の禁止、線路が高温でゆがむ可能性があるため、運行会社が速度を落として列車を走らせるといった対応です。

そこに並んで紹介されていた、「フランス政府は気温が上昇する午後1~6時の動物の輸送を禁止」という一文に、私ははっとしました。

記事ではその直前に「暑さで死亡する家畜も増える可能性が高い」とありますので、多くの人は家畜の死亡による経済損失を避けるためだろう、と思ったことでしょう。

たしかにそういう側面も強いでしょう。でもそれだけではなくど、「高温の中、輸送される動物の苦痛を減らす」という、アニマルウェルフェアの側面もあるのだと思います。

昨年夏に出版した岩波ブックレットアニマルウェルフェアとは何か』の第4章には、「輸送におけるアニマルウェルフェア対応」についても紹介しています。執筆当時、日本には、家畜の輸送についての法的な規定やガイドラインが存在していませんでした(畜産技術協会が検討中とのことでしたので、どうなったか確認してみます)。

ブックレットから引用しましょう。

~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~

肉用の家畜は、輸送中にエサや水を与えないと肉質が固くなるといった生産者にとっての問題が生じるため、給餌や給水、運ばれ方への配慮があるが、採卵鶏は異なる扱いを受ける傾向がある。

アニマルライツセンターの岡川代表理事は、「採卵鶏は、その役割を終えて屠畜される際も、コンテナにぎゅうぎゅうに押し込められて、屠場に連れて行かれ、殺されるまでの間、水もエサも与えられないのが現状です」と述べている。

~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~

ブックレットにも書きましたが、私が東京都市大学にいたとき、ゼミで食肉や卵を扱う48社の日本企業を対象にアンケート調査を行いました。輸送における配慮についても尋ねましたが、配慮していたとしても経済的な理由が多く、アニマルウェルフェアの観点は強くはありませんでした。

世界ではどうなのでしょう? 

アニマルウェルフェア先進国である英国は、「65kmまで」「65km以上の距離で8時間未満」「8時間以上」と、輸送の距離と時間に応じて細かい決まりを設けています。

もっとも長い8時間以上の時間をかけて輸送する場合は、車とコンテナの証明書、家畜を載せた車の動きを追跡・記録できる手続き、緊急事態が発生した際の対処マニュアル、運転手と助手の能力についての証明書などを有している必要があります。そして、65km以上の輸送を行う運転手とアシスタントは、講習を受けた上で、資格を取ることが求められています。

EUのガイドブックでも、たとえば採卵鶏の箇所で、輸送時の温度ストレスにも言及されています。

日本と世界のアニマルウェルフェアの現状、ぜひブックレットをご覧いただき、知っていただけたらと思います。

『アニマルウェルフェアとは何か――倫理的消費と食の安全』(626円)(枝廣 淳子/岩波ブックレット)
https://amzn.to/2mWrWqg


日本もいよいよ各地で梅雨明けですね! 

今年も異常高温の夏がやって来る可能性があります。私たち人間も十分に気をつけて、熱中症などにならないようにしなくてはなりませんが、同時に、この炎天下で飼育・輸送されている家畜たちのことにも、ちょっとでも思いを馳せてもらえたらと思います。


枝廣淳子さんのメールから

さて、ときどきスイスから興味深いレポートを送ってくださる穂鷹知美さんが、興味深いレ
ポートを送って下さいました。ご快諾をいただき、共有します。

日本ネット輸出入協会からの転載(https://jneia.org/190708-2/
※写真等はウェブからご覧下さい。


~~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~


食事を持ち帰りにしてもゴミはゼロ 〜スイス全国で始まったテイクアウェイ容器の返却・再利用システム
https://jneia.org/190708-2/


2019年は変わり目の年?
歴史上、ある時をさかいに、それまで安定してゆるがないようにみえた政情が一転するということがたびたびありますが、2019年という年を、数十年先の未来人が振り返ると、もしかしたら、ある点において、そのような年だったと、とらえるのかもしれません(少なくともヨーロッパのドイツ語圏において)。

何においてかというと、環境危機への意識と行動においてです。もちろん、環境危機は悪化の一途をたどる一方、一定の意識やそれに基づく努力が社会で続けられてきたことも事実ですが、今年に入ってからの変化は、目をみはるものがあります。環境改善をもとめるラディカルな動きが、これまでにないほど社会で広範に、また活発になっているようにみえます。

ヨーロッパ中の科学者たちが各地で地球温暖化防止への積極的な政策を講じることを求める共同声明を出し(その数は、ドイツ、スイス、オーストリアだけでも2万6800人にのぼりました)、高校生らの若者が毎週金曜に環境政策のラディカルな促進を訴えるデモ「フライデーズ・フォー・フューチャー」はドイツで半年以上続き、5月末の欧州議会議員選挙では緑の党が躍進しました。(ドイツの若者たちの最近の動きについては今月最後の記事で改めて触れる予定ですのでそちらをご参照ください)。

スイスでは7月はじめに、2030年までに連邦政府と連邦7省がカーボン・ニュートラル(大気中の炭素増加に加担せず気候変動に影響を与えない)にすることを目標として定めた環境法案がまとめられたり、長年経済重視で環境問題に消極的だった自由民主党(急進民主党が、「環境というテーマは現在人々の心を動かし、わたしにとっても(自由民主党党首 筆者註)心にかかる切実な問題となりました」とし、経済至上主義から環境政策重視へと大きく政策を転換したりしています(Gössi, 2019)。

もちろん社会が足並みをそろえて方向転換するといった簡単な話ではありませんが、社会全体に、なんとかしなくてはという意識が若者層を中心に高まっており、環境に配慮した行動をとる人が増え、政治だけでなく企業への圧力も高まっているのは確かのようです。

このような社会全体の意識を追い風にして、スイスのテイクアウェイ(持ち帰り、「テイクアウト」と同義)の多いファストフード業界でも大きな地殻変動が起こりつつあるようにみえます。それを象徴するのが、テイクアウェイ(持ち帰り)の飲食産業の企業が近年、次々と導入している、テイクアウェイの容器(食器)の再利用システムの導入です。

テイクアウェイ容器の再利用システムは、「リサークルreCIRCLE」(英語で直訳すると「再循環」)という会社が、2017年から連邦環境省の助成を受けて、12個所のテイクアウェイ事業者とともに試験的におこなったことがきっかけではじまりました。それから、二年もたたない現在までに、全国的に普及するまで広がり、参加企業は800社を超えるまでになりました。

今回はこの最新のスイスのテイクアウェイ容器の再利用システムについて、レポートします。

○テイクアウェイという食事形態の人気
現在ドイツ語圏では、テイクアウェイ(持ち帰りにする食事)の人気が急上昇中です(「ドイツの外食産業に吹く新しい風 〜理想の食生活をもとめて」)。
https://jneia.org/180125-2/

最近のドイツのデータをみると、全国33000ヶ所あるスーパー、工具店、洋服や家具、本屋などのすぐに食べられる飲食物を販売する小売業者の総売り上げは全部で52億ユーロでしたが、そのうちの50億ユーロが店内の簡易飲食スペース(パン屋やコンビニストアで購買したものをただちに飲食できる店頭スペース)での飲食や、店外へ持ち出しての飲食、つまり一般的にテイクアウェイと言われる食事形態のものでした。

レストランなどでじっくり座して食する伝統的な外食に比べ、費用も時間もかからず気楽に食事を楽しめ、また天気のいい日なら屋外ですごすことがリフレッシュにもなるテイクアウェイという食事形態の需要は、オフィスの会社員だけでなく、学生の間でも増えているようです。二年前のスイスの学校で行われた昼ごはんについてのアンケートでは、一週間で一回も学食を利用しないというのが9割にのぼり、代わりに圧倒的に多かったのがテイクアウェイの食事でした。

そのようなテイクアウェイの人気に乗じて、近年、街中で売られるテイクアウェイ用の食事の種類もバラエティに富むようになりました。そのことがテイクアウェイの人気を一層高めてもいるようです。

○テイクアウェイの容器問題
このようにテイクアウェイという食事形態が、ポピュラーになればなるほど、増えるのが、食後に捨てられる容器です。公園のゴミ箱の付近には、入りきらずに溢れる容器が増え、それをねらってか、10年ほど前までほとんど都市に生息していなかったからすの数も増加しています。

テイクアウェイのゴミ問題を回避するのに現れたのが、使ったあとに洗わずにそのまま返却できる、デポジット制の容器の再利用システムです。「リサークル」という会社が自ら開発したリサイクル容器を用いることではじまったこのシステムは、現在スイスで、800社以上が利用しており、「世界的に最初の」(reCIRCLEの説明)全国的な大規模食器の再利用システムとなっています。

今年7月に、全国に182のレストランをもつ大手テイクアウェイ業者でまだシステムを導入していなかった「コープ」も、容器の再利用システムに参加することを表明したことで、今後、加速的に普及することが、期待されています。

ところで、現在、正確に言うと、スイスには食器再利用システムが二つあり、並行して存在しています。どちらもリサークル社が開発した容器で進められていますが、容器の色や形状、また参加事業者が異なっています。

○ミグロの再利用システム
一つは、スイス小売業者として最大規模の「ミグロ」のレストランのテイクアウェイ部門が単独で行なっているものです(スイスの二大小売業者である「ミグロ」と「コープ」は、いずれも生協です。これらのスイスの生協については以下の記事でも扱っています「スイスとグローバリゼーション 〜生協週刊誌という生活密着型メディアの役割」、「バナナでつながっている世界 〜フェアートレードとバナナ危機」)。
https://jneia.org/160229-2/

ミグロでは、2017年はじめから容器再利用システムを導入しており、現在もスイス全国175箇所で、リサークルの食器がつかわれています。

毎週ミグロレストランを利用する人は約120万おり、そのうちの3分の1がテイクアウェイにしていますが、その人たちを対象に、5スイスフランデポジット容器を借りる際に払う「預かり金(保証金)」)で、再利用できる容器を提供しています。

これにより、現在までですでに、ミグロ側の説明では、使い捨て容器6万点分が再利用型容器に代替されたといいます。

○コープとほかの事業体がすすめる容器の共通再利用システム
もう一つは、「コープ」のレストラン部門が今月(7月)から参画を決めた容器再利用システムです。

二つのシステムの違いは、前者がミグロの単独のもので、ミグロで使っている容器はミグロでしか使っておらず、使用後の返却もミグロにしかできないのに対し、後者は、全国ほかの様々なテイクアウェイ部門をもつ業者が共通して使っているものなので、どこにでも利用、返却できることです(ちなみに、コーヒーカップの再利用のシステムとしては、すでに2016年にドイツで同様のしくみが採用されています。「テイクアウトでも使い捨てないカップ 〜ドイツにおける地域ぐるみの新しいごみ削減対策」)。
https://jneia.org/161201-2/

現在800以上のスイス全国の業者が共通して利用している再利用システム(以後、「共通容器システム」と表記します)の容器は、10スイスフランデポジット額がミグロの倍ですが、食器をもどした時点で返してもらえるので、実際に消費者にとって負担が大きくなるわけではありません。コープでは、10スイスフラン以上払うと(スイスの食事はたいていの場合10スイスフラン以上になります)、料金の10%が割引するサービスもはじめており、共通容器システムが今後いっきに急伸長する可能性もあります。

環境保護団体グリーンピースも、使用した容器の返却が俄然しやすい共通容器システムのほうが、消費者に普及しやすいとして、ミグロ単独のシステムよりも、推奨しています。

リサークルによると、一週間に1度、一人の人が、使い捨てのかわりに再利用できる食器を使うと、1年間で1.5キロのプラスチックのゴミを減らせ、学食がこれを導入するとゴミが3割減るといいます。

○容器のデザインにこめられているもの
リサークルが開発した容器には、リサークル社の独自の工夫や配慮がこめられているので、容器の特徴についても少しご紹介します(ここでは、共通容器システムの容器のみを紹介します。色や形については下記のリサークルのホームページからご覧ください)。

・茄子色
色は容器や食器としては珍しい茄子の紫色です。それにはこだわりがありました。光沢のある深い紫は、食べ物がおいしくみえ、かつカレーの主原料の一つであるウコンや赤カブ、人参などによる食器への色移りもしにくい色であり、女性にも男性にも抵抗なく使ってもらいやすい色であるとします。

しかしなにより重要なのは、茄子色が、容器として珍しい色であることです。珍しい色なので、一目でほかの容器と区別できます。街角で再利用できる容器が可視化されることで、日常の身近な分野での環境意識を高めさせたり、具体的に行動をうながし、そして利用することで貢献が実感できる。そのような効果を期待して、茄子色という色の容器になったといいます。

ヴィーガン対応
また、この食器の材料や製造においては、ヴィーガン食品だけでなく靴やバッグなどあらゆる生活で使用するものに、動物に由来するのを使わない生活を実践する人やその構想。詳しくは「肉なしソーセージ 〜ヴィーガン向け食品とヨーロッパの菜食ブーム」)の構想に反しないよう考慮してあり、ヴィーガンの人も問題なく使えるようにしています。
https://jneia.org/160315-2/

ちなみに容器には、有機素材(竹やじゃがいもの皮などの農業産物からつくられたもの)をあえて使っていません。プラスチック製の「リサイクル」よりも、それらに農薬など体に害を与えるものが入っている可能性が高いためだそうです。これに対し採用しているプラスチック製の容器は健康上問題ないだけでなく、約70回使え、洗浄には通常の食器と同様に食器洗い機を利用できます。


○パートナー企業の利点とお試し期間
すぐれたシステムや容器がいくらあっても、それを利用する企業が多くなければ、ゴミの削減の規模は大きくなりません。リサークル社は、企業向けに、再利用システムを利用する利点を以下のようにホームページでアピールしています。

・使い捨て食器を使わないことで、ごみを大幅に減らせるだけでなく、中期的、長期的にはむしろ経済的である(容器のコストがなくなり、スイスでは有料となっているごみの量が減るため)

・顧客に、良心のとがめをうけないため、よりおいしく食べてもらうことができる。

・このシステムを導入している企業については、インターネットで公示しており、これによって(ごみを減らしたいという意識が高くなってきた多くの)潜在的な顧客が、このシステムを使っている企業を優先して選んでくれる可能性が高くなる。

企業や自治体が気軽に容器の再利用システムを試せるように、お試し期間ももうけています。150スイスフラン払うと、企業は3ヶ月間、希望する食器を無料で20セット借りることができます。この際、食器再利用システムについて広告(ポスターやちらい、ラベルやカードなど)も無料で提供してもらえます。

3ヶ月経過し、参加しないことにした場合は、借りた食器を返却します。引き続き利用したい場合は、さらに必要な数の食器を追加注文していき、翌年以後は、毎年パートナーとしての年会費150スイスフランを支払います。

○おわりに
人の感覚というのは、思っているほど「普通」と思っていることが普通でも当たり前でもなく、数年で動き全く違うものが「普通」のこととして定着するというのは、非常によくあります。

将来、スイスの大多数のテイクアウェイ業者が、容器再利用システムを導入すると、どうなるでしょう。さらに、リサークルが期待するように行政や自治体もこの動きにリンクしてキャンペーンをすすめるとどうでしょう。システムへの認知や波及効果が一気に高まるかもしれません。

テイクアウェイの容器についても、多くの場所で「使い捨てる」ものでなく、「返却するもの」、あるいは「洗ってまた使うもの」という認識が生まれ、習慣化すれば、テイクアウェイの食品をいれる容器を、食べ終わったら捨てる、という今の「普通」の感覚は、あっというまに、すたれていくのかもしれません。

いずれにせよ、スイスでは、使い捨て容器を減らすための重要な一歩、本格的な一歩を確かに、踏み出したといえるでしょう。今後、スイスで実績をつくることができれば、スイスで当たり前のように定着するだけでなく、ほかの国でもそのようなシステムを導入することに背中をどんどん押すことにもなるかもしれません。スイスの健闘を祈りたいと思います。


参考文献
reCIRCLEのホームページ(茄子色のいくつかの種類の容器も提示されています)
///
Bolzli, Michael, Coop und Migros setzten vermehrt auf Mehrweggeschirr, nau.ch, 1.7.2019.

Der Bundesrat. Das Portal der Schweizer Regierung, Bundesrat beschliesst Paket zur Senkung des Treibhausgas-Ausstosses in der Bundesverwaltung, Bern, 3.7.2019.

Gössi, Petra, Klimapolitik der FDP, Urliberale Verantwortung. Gastkommentar In: NZZ, 5.7.2019, S.10.

Hämman, Christoph, Eine Box zieht Kreise. In: Berner Zeitung, 2017-05-18 11:19

Marocchini, Svenja, Kleine Box, grosse Wirkung.In: Coopzeitung, Nr.27, 2.7.2019, S.64-5.Neues Take-Away-Geschirr zum Zurückbringen, Medienmitteilungen Migros, 16.01.2017.

Rüttimann, Jürg, Die Migros will das dreckige Geschirr zurück. In: Tages-Anzeiger, 16.1.2017.


枝廣淳子さんのメールから

さて、ときどきスイスから興味深いレポートを送ってくださる穂鷹知美さんが、興味深いレ
ポートを送って下さいました。ご快諾をいただき、共有します。

日本ネット輸出入協会からの転載(https://jneia.org/190708-2/
※写真等はウェブからご覧下さい。


~~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~


食事を持ち帰りにしてもゴミはゼロ 〜スイス全国で始まったテイクアウェイ容器の返却・再利用システム
https://jneia.org/190708-2/


2019年は変わり目の年?
歴史上、ある時をさかいに、それまで安定してゆるがないようにみえた政情が一転するということがたびたびありますが、2019年という年を、数十年先の未来人が振り返ると、もしかしたら、ある点において、そのような年だったと、とらえるのかもしれません(少なくともヨーロッパのドイツ語圏において)。

何においてかというと、環境危機への意識と行動においてです。もちろん、環境危機は悪化の一途をたどる一方、一定の意識やそれに基づく努力が社会で続けられてきたことも事実ですが、今年に入ってからの変化は、目をみはるものがあります。環境改善をもとめるラディカルな動きが、これまでにないほど社会で広範に、また活発になっているようにみえます。

ヨーロッパ中の科学者たちが各地で地球温暖化防止への積極的な政策を講じることを求める共同声明を出し(その数は、ドイツ、スイス、オーストリアだけでも2万6800人にのぼりました)、高校生らの若者が毎週金曜に環境政策のラディカルな促進を訴えるデモ「フライデーズ・フォー・フューチャー」はドイツで半年以上続き、5月末の欧州議会議員選挙では緑の党が躍進しました。(ドイツの若者たちの最近の動きについては今月最後の記事で改めて触れる予定ですのでそちらをご参照ください)。

スイスでは7月はじめに、2030年までに連邦政府と連邦7省がカーボン・ニュートラル(大気中の炭素増加に加担せず気候変動に影響を与えない)にすることを目標として定めた環境法案がまとめられたり、長年経済重視で環境問題に消極的だった自由民主党(急進民主党が、「環境というテーマは現在人々の心を動かし、わたしにとっても(自由民主党党首 筆者註)心にかかる切実な問題となりました」とし、経済至上主義から環境政策重視へと大きく政策を転換したりしています(Gössi, 2019)。

もちろん社会が足並みをそろえて方向転換するといった簡単な話ではありませんが、社会全体に、なんとかしなくてはという意識が若者層を中心に高まっており、環境に配慮した行動をとる人が増え、政治だけでなく企業への圧力も高まっているのは確かのようです。

このような社会全体の意識を追い風にして、スイスのテイクアウェイ(持ち帰り、「テイクアウト」と同義)の多いファストフード業界でも大きな地殻変動が起こりつつあるようにみえます。それを象徴するのが、テイクアウェイ(持ち帰り)の飲食産業の企業が近年、次々と導入している、テイクアウェイの容器(食器)の再利用システムの導入です。

テイクアウェイ容器の再利用システムは、「リサークルreCIRCLE」(英語で直訳すると「再循環」)という会社が、2017年から連邦環境省の助成を受けて、12個所のテイクアウェイ事業者とともに試験的におこなったことがきっかけではじまりました。それから、二年もたたない現在までに、全国的に普及するまで広がり、参加企業は800社を超えるまでになりました。

今回はこの最新のスイスのテイクアウェイ容器の再利用システムについて、レポートします。

○テイクアウェイという食事形態の人気
現在ドイツ語圏では、テイクアウェイ(持ち帰りにする食事)の人気が急上昇中です(「ドイツの外食産業に吹く新しい風 〜理想の食生活をもとめて」)。
https://jneia.org/180125-2/

最近のドイツのデータをみると、全国33000ヶ所あるスーパー、工具店、洋服や家具、本屋などのすぐに食べられる飲食物を販売する小売業者の総売り上げは全部で52億ユーロでしたが、そのうちの50億ユーロが店内の簡易飲食スペース(パン屋やコンビニストアで購買したものをただちに飲食できる店頭スペース)での飲食や、店外へ持ち出しての飲食、つまり一般的にテイクアウェイと言われる食事形態のものでした。

レストランなどでじっくり座して食する伝統的な外食に比べ、費用も時間もかからず気楽に食事を楽しめ、また天気のいい日なら屋外ですごすことがリフレッシュにもなるテイクアウェイという食事形態の需要は、オフィスの会社員だけでなく、学生の間でも増えているようです。二年前のスイスの学校で行われた昼ごはんについてのアンケートでは、一週間で一回も学食を利用しないというのが9割にのぼり、代わりに圧倒的に多かったのがテイクアウェイの食事でした。

そのようなテイクアウェイの人気に乗じて、近年、街中で売られるテイクアウェイ用の食事の種類もバラエティに富むようになりました。そのことがテイクアウェイの人気を一層高めてもいるようです。

○テイクアウェイの容器問題
このようにテイクアウェイという食事形態が、ポピュラーになればなるほど、増えるのが、食後に捨てられる容器です。公園のゴミ箱の付近には、入りきらずに溢れる容器が増え、それをねらってか、10年ほど前までほとんど都市に生息していなかったからすの数も増加しています。

テイクアウェイのゴミ問題を回避するのに現れたのが、使ったあとに洗わずにそのまま返却できる、デポジット制の容器の再利用システムです。「リサークル」という会社が自ら開発したリサイクル容器を用いることではじまったこのシステムは、現在スイスで、800社以上が利用しており、「世界的に最初の」(reCIRCLEの説明)全国的な大規模食器の再利用システムとなっています。

今年7月に、全国に182のレストランをもつ大手テイクアウェイ業者でまだシステムを導入していなかった「コープ」も、容器の再利用システムに参加することを表明したことで、今後、加速的に普及することが、期待されています。

ところで、現在、正確に言うと、スイスには食器再利用システムが二つあり、並行して存在しています。どちらもリサークル社が開発した容器で進められていますが、容器の色や形状、また参加事業者が異なっています。

○ミグロの再利用システム
一つは、スイス小売業者として最大規模の「ミグロ」のレストランのテイクアウェイ部門が単独で行なっているものです(スイスの二大小売業者である「ミグロ」と「コープ」は、いずれも生協です。これらのスイスの生協については以下の記事でも扱っています「スイスとグローバリゼーション 〜生協週刊誌という生活密着型メディアの役割」、「バナナでつながっている世界 〜フェアートレードとバナナ危機」)。
https://jneia.org/160229-2/

ミグロでは、2017年はじめから容器再利用システムを導入しており、現在もスイス全国175箇所で、リサークルの食器がつかわれています。

毎週ミグロレストランを利用する人は約120万おり、そのうちの3分の1がテイクアウェイにしていますが、その人たちを対象に、5スイスフランデポジット容器を借りる際に払う「預かり金(保証金)」)で、再利用できる容器を提供しています。

これにより、現在までですでに、ミグロ側の説明では、使い捨て容器6万点分が再利用型容器に代替されたといいます。

○コープとほかの事業体がすすめる容器の共通再利用システム
もう一つは、「コープ」のレストラン部門が今月(7月)から参画を決めた容器再利用システムです。

二つのシステムの違いは、前者がミグロの単独のもので、ミグロで使っている容器はミグロでしか使っておらず、使用後の返却もミグロにしかできないのに対し、後者は、全国ほかの様々なテイクアウェイ部門をもつ業者が共通して使っているものなので、どこにでも利用、返却できることです(ちなみに、コーヒーカップの再利用のシステムとしては、すでに2016年にドイツで同様のしくみが採用されています。「テイクアウトでも使い捨てないカップ 〜ドイツにおける地域ぐるみの新しいごみ削減対策」)。
https://jneia.org/161201-2/

現在800以上のスイス全国の業者が共通して利用している再利用システム(以後、「共通容器システム」と表記します)の容器は、10スイスフランデポジット額がミグロの倍ですが、食器をもどした時点で返してもらえるので、実際に消費者にとって負担が大きくなるわけではありません。コープでは、10スイスフラン以上払うと(スイスの食事はたいていの場合10スイスフラン以上になります)、料金の10%が割引するサービスもはじめており、共通容器システムが今後いっきに急伸長する可能性もあります。

環境保護団体グリーンピースも、使用した容器の返却が俄然しやすい共通容器システムのほうが、消費者に普及しやすいとして、ミグロ単独のシステムよりも、推奨しています。

リサークルによると、一週間に1度、一人の人が、使い捨てのかわりに再利用できる食器を使うと、1年間で1.5キロのプラスチックのゴミを減らせ、学食がこれを導入するとゴミが3割減るといいます。

○容器のデザインにこめられているもの
リサークルが開発した容器には、リサークル社の独自の工夫や配慮がこめられているので、容器の特徴についても少しご紹介します(ここでは、共通容器システムの容器のみを紹介します。色や形については下記のリサークルのホームページからご覧ください)。

・茄子色
色は容器や食器としては珍しい茄子の紫色です。それにはこだわりがありました。光沢のある深い紫は、食べ物がおいしくみえ、かつカレーの主原料の一つであるウコンや赤カブ、人参などによる食器への色移りもしにくい色であり、女性にも男性にも抵抗なく使ってもらいやすい色であるとします。

しかしなにより重要なのは、茄子色が、容器として珍しい色であることです。珍しい色なので、一目でほかの容器と区別できます。街角で再利用できる容器が可視化されることで、日常の身近な分野での環境意識を高めさせたり、具体的に行動をうながし、そして利用することで貢献が実感できる。そのような効果を期待して、茄子色という色の容器になったといいます。

ヴィーガン対応
また、この食器の材料や製造においては、ヴィーガン食品だけでなく靴やバッグなどあらゆる生活で使用するものに、動物に由来するのを使わない生活を実践する人やその構想。詳しくは「肉なしソーセージ 〜ヴィーガン向け食品とヨーロッパの菜食ブーム」)の構想に反しないよう考慮してあり、ヴィーガンの人も問題なく使えるようにしています。
https://jneia.org/160315-2/

ちなみに容器には、有機素材(竹やじゃがいもの皮などの農業産物からつくられたもの)をあえて使っていません。プラスチック製の「リサイクル」よりも、それらに農薬など体に害を与えるものが入っている可能性が高いためだそうです。これに対し採用しているプラスチック製の容器は健康上問題ないだけでなく、約70回使え、洗浄には通常の食器と同様に食器洗い機を利用できます。


○パートナー企業の利点とお試し期間
すぐれたシステムや容器がいくらあっても、それを利用する企業が多くなければ、ゴミの削減の規模は大きくなりません。リサークル社は、企業向けに、再利用システムを利用する利点を以下のようにホームページでアピールしています。

・使い捨て食器を使わないことで、ごみを大幅に減らせるだけでなく、中期的、長期的にはむしろ経済的である(容器のコストがなくなり、スイスでは有料となっているごみの量が減るため)

・顧客に、良心のとがめをうけないため、よりおいしく食べてもらうことができる。

・このシステムを導入している企業については、インターネットで公示しており、これによって(ごみを減らしたいという意識が高くなってきた多くの)潜在的な顧客が、このシステムを使っている企業を優先して選んでくれる可能性が高くなる。

企業や自治体が気軽に容器の再利用システムを試せるように、お試し期間ももうけています。150スイスフラン払うと、企業は3ヶ月間、希望する食器を無料で20セット借りることができます。この際、食器再利用システムについて広告(ポスターやちらい、ラベルやカードなど)も無料で提供してもらえます。

3ヶ月経過し、参加しないことにした場合は、借りた食器を返却します。引き続き利用したい場合は、さらに必要な数の食器を追加注文していき、翌年以後は、毎年パートナーとしての年会費150スイスフランを支払います。

○おわりに
人の感覚というのは、思っているほど「普通」と思っていることが普通でも当たり前でもなく、数年で動き全く違うものが「普通」のこととして定着するというのは、非常によくあります。

将来、スイスの大多数のテイクアウェイ業者が、容器再利用システムを導入すると、どうなるでしょう。さらに、リサークルが期待するように行政や自治体もこの動きにリンクしてキャンペーンをすすめるとどうでしょう。システムへの認知や波及効果が一気に高まるかもしれません。

テイクアウェイの容器についても、多くの場所で「使い捨てる」ものでなく、「返却するもの」、あるいは「洗ってまた使うもの」という認識が生まれ、習慣化すれば、テイクアウェイの食品をいれる容器を、食べ終わったら捨てる、という今の「普通」の感覚は、あっというまに、すたれていくのかもしれません。

いずれにせよ、スイスでは、使い捨て容器を減らすための重要な一歩、本格的な一歩を確かに、踏み出したといえるでしょう。今後、スイスで実績をつくることができれば、スイスで当たり前のように定着するだけでなく、ほかの国でもそのようなシステムを導入することに背中をどんどん押すことにもなるかもしれません。スイスの健闘を祈りたいと思います。


参考文献
reCIRCLEのホームページ(茄子色のいくつかの種類の容器も提示されています)
///
Bolzli, Michael, Coop und Migros setzten vermehrt auf Mehrweggeschirr, nau.ch, 1.7.2019.

Der Bundesrat. Das Portal der Schweizer Regierung, Bundesrat beschliesst Paket zur Senkung des Treibhausgas-Ausstosses in der Bundesverwaltung, Bern, 3.7.2019.

Gössi, Petra, Klimapolitik der FDP, Urliberale Verantwortung. Gastkommentar In: NZZ, 5.7.2019, S.10.

Hämman, Christoph, Eine Box zieht Kreise. In: Berner Zeitung, 2017-05-18 11:19

Marocchini, Svenja, Kleine Box, grosse Wirkung.In: Coopzeitung, Nr.27, 2.7.2019, S.64-5.Neues Take-Away-Geschirr zum Zurückbringen, Medienmitteilungen Migros, 16.01.2017.

Rüttimann, Jürg, Die Migros will das dreckige Geschirr zurück. In: Tages-Anzeiger, 16.1.2017.



さて、ときどきスイスから興味深いレポートを送ってくださる穂鷹知美さんが、興味深いレ
ポートを送って下さいました。ご快諾をいただき、共有します。

日本ネット輸出入協会からの転載(https://jneia.org/190708-2/
※写真等はウェブからご覧下さい。


~~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~


食事を持ち帰りにしてもゴミはゼロ 〜スイス全国で始まったテイクアウェイ容器の返却・再利用システム
https://jneia.org/190708-2/


2019年は変わり目の年?
歴史上、ある時をさかいに、それまで安定してゆるがないようにみえた政情が一転するということがたびたびありますが、2019年という年を、数十年先の未来人が振り返ると、もしかしたら、ある点において、そのような年だったと、とらえるのかもしれません(少なくともヨーロッパのドイツ語圏において)。

何においてかというと、環境危機への意識と行動においてです。もちろん、環境危機は悪化の一途をたどる一方、一定の意識やそれに基づく努力が社会で続けられてきたことも事実ですが、今年に入ってからの変化は、目をみはるものがあります。環境改善をもとめるラディカルな動きが、これまでにないほど社会で広範に、また活発になっているようにみえます。

ヨーロッパ中の科学者たちが各地で地球温暖化防止への積極的な政策を講じることを求める共同声明を出し(その数は、ドイツ、スイス、オーストリアだけでも2万6800人にのぼりました)、高校生らの若者が毎週金曜に環境政策のラディカルな促進を訴えるデモ「フライデーズ・フォー・フューチャー」はドイツで半年以上続き、5月末の欧州議会議員選挙では緑の党が躍進しました。(ドイツの若者たちの最近の動きについては今月最後の記事で改めて触れる予定ですのでそちらをご参照ください)。

スイスでは7月はじめに、2030年までに連邦政府と連邦7省がカーボン・ニュートラル(大気中の炭素増加に加担せず気候変動に影響を与えない)にすることを目標として定めた環境法案がまとめられたり、長年経済重視で環境問題に消極的だった自由民主党(急進民主党が、「環境というテーマは現在人々の心を動かし、わたしにとっても(自由民主党党首 筆者註)心にかかる切実な問題となりました」とし、経済至上主義から環境政策重視へと大きく政策を転換したりしています(Gössi, 2019)。

もちろん社会が足並みをそろえて方向転換するといった簡単な話ではありませんが、社会全体に、なんとかしなくてはという意識が若者層を中心に高まっており、環境に配慮した行動をとる人が増え、政治だけでなく企業への圧力も高まっているのは確かのようです。

このような社会全体の意識を追い風にして、スイスのテイクアウェイ(持ち帰り、「テイクアウト」と同義)の多いファストフード業界でも大きな地殻変動が起こりつつあるようにみえます。それを象徴するのが、テイクアウェイ(持ち帰り)の飲食産業の企業が近年、次々と導入している、テイクアウェイの容器(食器)の再利用システムの導入です。

テイクアウェイ容器の再利用システムは、「リサークルreCIRCLE」(英語で直訳すると「再循環」)という会社が、2017年から連邦環境省の助成を受けて、12個所のテイクアウェイ事業者とともに試験的におこなったことがきっかけではじまりました。それから、二年もたたない現在までに、全国的に普及するまで広がり、参加企業は800社を超えるまでになりました。

今回はこの最新のスイスのテイクアウェイ容器の再利用システムについて、レポートします。

○テイクアウェイという食事形態の人気
現在ドイツ語圏では、テイクアウェイ(持ち帰りにする食事)の人気が急上昇中です(「ドイツの外食産業に吹く新しい風 〜理想の食生活をもとめて」)。
https://jneia.org/180125-2/

最近のドイツのデータをみると、全国33000ヶ所あるスーパー、工具店、洋服や家具、本屋などのすぐに食べられる飲食物を販売する小売業者の総売り上げは全部で52億ユーロでしたが、そのうちの50億ユーロが店内の簡易飲食スペース(パン屋やコンビニストアで購買したものをただちに飲食できる店頭スペース)での飲食や、店外へ持ち出しての飲食、つまり一般的にテイクアウェイと言われる食事形態のものでした。

レストランなどでじっくり座して食する伝統的な外食に比べ、費用も時間もかからず気楽に食事を楽しめ、また天気のいい日なら屋外ですごすことがリフレッシュにもなるテイクアウェイという食事形態の需要は、オフィスの会社員だけでなく、学生の間でも増えているようです。二年前のスイスの学校で行われた昼ごはんについてのアンケートでは、一週間で一回も学食を利用しないというのが9割にのぼり、代わりに圧倒的に多かったのがテイクアウェイの食事でした。

そのようなテイクアウェイの人気に乗じて、近年、街中で売られるテイクアウェイ用の食事の種類もバラエティに富むようになりました。そのことがテイクアウェイの人気を一層高めてもいるようです。

○テイクアウェイの容器問題
このようにテイクアウェイという食事形態が、ポピュラーになればなるほど、増えるのが、食後に捨てられる容器です。公園のゴミ箱の付近には、入りきらずに溢れる容器が増え、それをねらってか、10年ほど前までほとんど都市に生息していなかったからすの数も増加しています。

テイクアウェイのゴミ問題を回避するのに現れたのが、使ったあとに洗わずにそのまま返却できる、デポジット制の容器の再利用システムです。「リサークル」という会社が自ら開発したリサイクル容器を用いることではじまったこのシステムは、現在スイスで、800社以上が利用しており、「世界的に最初の」(reCIRCLEの説明)全国的な大規模食器の再利用システムとなっています。

今年7月に、全国に182のレストランをもつ大手テイクアウェイ業者でまだシステムを導入していなかった「コープ」も、容器の再利用システムに参加することを表明したことで、今後、加速的に普及することが、期待されています。

ところで、現在、正確に言うと、スイスには食器再利用システムが二つあり、並行して存在しています。どちらもリサークル社が開発した容器で進められていますが、容器の色や形状、また参加事業者が異なっています。

○ミグロの再利用システム
一つは、スイス小売業者として最大規模の「ミグロ」のレストランのテイクアウェイ部門が単独で行なっているものです(スイスの二大小売業者である「ミグロ」と「コープ」は、いずれも生協です。これらのスイスの生協については以下の記事でも扱っています「スイスとグローバリゼーション 〜生協週刊誌という生活密着型メディアの役割」、「バナナでつながっている世界 〜フェアートレードとバナナ危機」)。
https://jneia.org/160229-2/

ミグロでは、2017年はじめから容器再利用システムを導入しており、現在もスイス全国175箇所で、リサークルの食器がつかわれています。

毎週ミグロレストランを利用する人は約120万おり、そのうちの3分の1がテイクアウェイにしていますが、その人たちを対象に、5スイスフランデポジット容器を借りる際に払う「預かり金(保証金)」)で、再利用できる容器を提供しています。

これにより、現在までですでに、ミグロ側の説明では、使い捨て容器6万点分が再利用型容器に代替されたといいます。

○コープとほかの事業体がすすめる容器の共通再利用システム
もう一つは、「コープ」のレストラン部門が今月(7月)から参画を決めた容器再利用システムです。

二つのシステムの違いは、前者がミグロの単独のもので、ミグロで使っている容器はミグロでしか使っておらず、使用後の返却もミグロにしかできないのに対し、後者は、全国ほかの様々なテイクアウェイ部門をもつ業者が共通して使っているものなので、どこにでも利用、返却できることです(ちなみに、コーヒーカップの再利用のシステムとしては、すでに2016年にドイツで同様のしくみが採用されています。「テイクアウトでも使い捨てないカップ 〜ドイツにおける地域ぐるみの新しいごみ削減対策」)。
https://jneia.org/161201-2/

現在800以上のスイス全国の業者が共通して利用している再利用システム(以後、「共通容器システム」と表記します)の容器は、10スイスフランデポジット額がミグロの倍ですが、食器をもどした時点で返してもらえるので、実際に消費者にとって負担が大きくなるわけではありません。コープでは、10スイスフラン以上払うと(スイスの食事はたいていの場合10スイスフラン以上になります)、料金の10%が割引するサービスもはじめており、共通容器システムが今後いっきに急伸長する可能性もあります。

環境保護団体グリーンピースも、使用した容器の返却が俄然しやすい共通容器システムのほうが、消費者に普及しやすいとして、ミグロ単独のシステムよりも、推奨しています。

リサークルによると、一週間に1度、一人の人が、使い捨てのかわりに再利用できる食器を使うと、1年間で1.5キロのプラスチックのゴミを減らせ、学食がこれを導入するとゴミが3割減るといいます。

○容器のデザインにこめられているもの
リサークルが開発した容器には、リサークル社の独自の工夫や配慮がこめられているので、容器の特徴についても少しご紹介します(ここでは、共通容器システムの容器のみを紹介します。色や形については下記のリサークルのホームページからご覧ください)。

・茄子色
色は容器や食器としては珍しい茄子の紫色です。それにはこだわりがありました。光沢のある深い紫は、食べ物がおいしくみえ、かつカレーの主原料の一つであるウコンや赤カブ、人参などによる食器への色移りもしにくい色であり、女性にも男性にも抵抗なく使ってもらいやすい色であるとします。

しかしなにより重要なのは、茄子色が、容器として珍しい色であることです。珍しい色なので、一目でほかの容器と区別できます。街角で再利用できる容器が可視化されることで、日常の身近な分野での環境意識を高めさせたり、具体的に行動をうながし、そして利用することで貢献が実感できる。そのような効果を期待して、茄子色という色の容器になったといいます。

ヴィーガン対応
また、この食器の材料や製造においては、ヴィーガン食品だけでなく靴やバッグなどあらゆる生活で使用するものに、動物に由来するのを使わない生活を実践する人やその構想。詳しくは「肉なしソーセージ 〜ヴィーガン向け食品とヨーロッパの菜食ブーム」)の構想に反しないよう考慮してあり、ヴィーガンの人も問題なく使えるようにしています。
https://jneia.org/160315-2/

ちなみに容器には、有機素材(竹やじゃがいもの皮などの農業産物からつくられたもの)をあえて使っていません。プラスチック製の「リサイクル」よりも、それらに農薬など体に害を与えるものが入っている可能性が高いためだそうです。これに対し採用しているプラスチック製の容器は健康上問題ないだけでなく、約70回使え、洗浄には通常の食器と同様に食器洗い機を利用できます。


○パートナー企業の利点とお試し期間
すぐれたシステムや容器がいくらあっても、それを利用する企業が多くなければ、ゴミの削減の規模は大きくなりません。リサークル社は、企業向けに、再利用システムを利用する利点を以下のようにホームページでアピールしています。

・使い捨て食器を使わないことで、ごみを大幅に減らせるだけでなく、中期的、長期的にはむしろ経済的である(容器のコストがなくなり、スイスでは有料となっているごみの量が減るため)

・顧客に、良心のとがめをうけないため、よりおいしく食べてもらうことができる。

・このシステムを導入している企業については、インターネットで公示しており、これによって(ごみを減らしたいという意識が高くなってきた多くの)潜在的な顧客が、このシステムを使っている企業を優先して選んでくれる可能性が高くなる。

企業や自治体が気軽に容器の再利用システムを試せるように、お試し期間ももうけています。150スイスフラン払うと、企業は3ヶ月間、希望する食器を無料で20セット借りることができます。この際、食器再利用システムについて広告(ポスターやちらい、ラベルやカードなど)も無料で提供してもらえます。

3ヶ月経過し、参加しないことにした場合は、借りた食器を返却します。引き続き利用したい場合は、さらに必要な数の食器を追加注文していき、翌年以後は、毎年パートナーとしての年会費150スイスフランを支払います。

○おわりに
人の感覚というのは、思っているほど「普通」と思っていることが普通でも当たり前でもなく、数年で動き全く違うものが「普通」のこととして定着するというのは、非常によくあります。

将来、スイスの大多数のテイクアウェイ業者が、容器再利用システムを導入すると、どうなるでしょう。さらに、リサークルが期待するように行政や自治体もこの動きにリンクしてキャンペーンをすすめるとどうでしょう。システムへの認知や波及効果が一気に高まるかもしれません。

テイクアウェイの容器についても、多くの場所で「使い捨てる」ものでなく、「返却するもの」、あるいは「洗ってまた使うもの」という認識が生まれ、習慣化すれば、テイクアウェイの食品をいれる容器を、食べ終わったら捨てる、という今の「普通」の感覚は、あっというまに、すたれていくのかもしれません。

いずれにせよ、スイスでは、使い捨て容器を減らすための重要な一歩、本格的な一歩を確かに、踏み出したといえるでしょう。今後、スイスで実績をつくることができれば、スイスで当たり前のように定着するだけでなく、ほかの国でもそのようなシステムを導入することに背中をどんどん押すことにもなるかもしれません。スイスの健闘を祈りたいと思います。


参考文献
reCIRCLEのホームページ(茄子色のいくつかの種類の容器も提示されています)
///
Bolzli, Michael, Coop und Migros setzten vermehrt auf Mehrweggeschirr, nau.ch, 1.7.2019.

Der Bundesrat. Das Portal der Schweizer Regierung, Bundesrat beschliesst Paket zur Senkung des Treibhausgas-Ausstosses in der Bundesverwaltung, Bern, 3.7.2019.

Gössi, Petra, Klimapolitik der FDP, Urliberale Verantwortung. Gastkommentar In: NZZ, 5.7.2019, S.10.

Hämman, Christoph, Eine Box zieht Kreise. In: Berner Zeitung, 2017-05-18 11:19

Marocchini, Svenja, Kleine Box, grosse Wirkung.In: Coopzeitung, Nr.27, 2.7.2019, S.64-5.Neues Take-Away-Geschirr zum Zurückbringen, Medienmitteilungen Migros, 16.01.2017.

Rüttimann, Jürg, Die Migros will das dreckige Geschirr zurück. In: Tages-Anzeiger, 16.1.2017.





白鳥一彦さんのメールから


【末期ガン】生還した人が実践している9つのこと

治癒不能といわれたガンが自然治癒する現象が、実際の医療現場で話題になることはまずありません。
しかしケリー・ターナー博士が目を通した、1000本以上の医学論文において、ガンが自然に治癒した
事例を報告しています。
医師は、治すのが仕事なのでこうした事例を追跡研究することはなく、「たまたま」 治ったという
話は「偽りの希望」を与えるだけだとして積極的に口外することもないのです。
結果、自然治癒事例は事実上放置されてきました。

全く科学的にメスを入れられていないこのテーマを解明するために、「劇的な寛解」事例を報告した
医学論文をくまなく分析し、日本を含む世界10カ国で寛解者と治療者のインタビューを行った結果、
ガンの自然治癒を体験した人々には、「9つの共通する実践事項」があったのです。
それらは、ガンの治癒のみならず、予防としても役に立つでしょう。

発売と同時に、米アマゾン1位“ガン部門”にランクイン、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーと
なった話題の書『ガンが自然に治る生き方』から抜粋してお届けいたします。


■「治った」人の1000件以上の医学論文

寛解症例の研究に着手してまず驚いたのは、1000件超の医学論文において、2種類の人々がほぼ黙殺さ
れていたことでした。

一つは、劇的に寛解した患者本人の一群です。大多数の論文では、患者自身が劇的な寛解の原因をどう
考えているかについて一切言及していませんでした。
劇的な寛解を遂げた患者の身体の生化学的変化については、何本もの医学論文が詳細に記していました。
しかし、患者に「あなたは自分がなぜ治癒したと思うか」と聞き、その答えを記したものは皆無だった
のです。
患者たちは、意識的だったかどうかはともかく、ガンを治すため何かに取り組んでいたはずです。
医師はなぜそれに興味を持たなかったのでしょうか。

そこでわたしは劇的な寛解を遂げた20人にインタビューし「あなたはなぜ自分が治癒したと思うか」を
聞くことにしました。

医学論文で黙殺されていたもう一群は、代替療法の治療者たちです。
ガンからの劇的な寛解は、当然のことながらほとんどの場合、現代医療では打つ手がなくなった患者に
起きています。
それなのに、西洋医学外の治療者や代替療法の治療者たちがガン治療にどう取り組んできたのかを誰も
調べてきませんでした。この事実にわたしは驚きました。

わたしが会った劇的寛解の経験者は、世界の隅々まで、それこそ血眼になって治療者を探し出していま
した。そこでわたしも世界中を旅して回り、非西洋医学の治療者、代替療法の治療者50人にインタビュ
ーをしました。
10カ月かけて10カ国(アメリカ“ハワイ”、中国、日本、ニュージーランド、タイ、インド、英国、
ザンビアジンバブエ、ブラジル)を回りました。
ジャングルや山の中、そして都市を旅し、治療者と話をしました。
各地のすばらしい治療者がわたしに話してくれた経験を、読者のみなさんにご紹介します。


■ガン治癒を目指して実行していた9項目

劇的な寛解について記した医学論文は1000本以上分析しました。博士論文の研究を終えてからもさらに
インタビューを続け、その対象者は100人を超えました。

わたしは、質的分析の手法で、これらの症例を何度も詳細に分析しました。
その結果、劇的な寛解において重要な役割を果たしたと推測される要素(身体、感情、内面的な事柄)
が75項目、浮かび上がりました。

しかし、全項目を表にして出現頻度を調べると、75のうちの上位9項目は、ほぼすべてのインタビュー
に登場していることに気づきました。

たとえば登場回数が73番目に多かった「サメ軟骨のサプリを摂取する」。

これは調査対象中の、ごくわずかな人が話してくれただけでした。

かたや語られる頻度のもっとも高かった9つの要素については、ほぼ全員が、

「ガン治癒を目指して実行した」

と言及していたのです。

その9項目とは次のとおりです。

 ・抜本的に食事を変える
 ・治療法は自分で決める
 ・直感に従う
 ・ハーブとサプリメントの力を借りる
 ・抑圧された感情を解き放つ
 ・より前向きに生きる
 ・周囲の人の支えを受け入れる
 ・自分の魂と深くつながる
 ・「どうしても生きたい理由」を持つ

この9項目に順位はありません。
人によって重点の置き方が異なるものの、インタビューで言及される頻度は、どれも同じ程度でした。
わたしが話を聞いた劇的寛解の経験者はほぼ全員が、程度の差はあれ9項目ほぼすべてを実践していた
のです。

そこで本書は9章に章立てし、1章で1項目ずつ説明していきます。

各章では、まずその章のテーマについての解説と、それを裏付ける最新の研究報告を紹介します。
次に、劇的な寛解を遂げた人の実話を記します。
章末には「実践のステップ」と題して、その章のテーマを実践しやすいかたちにして、いくつかの
方法をご紹介します。


■偽りの希望と真の希望とは

9項目の詳細に入る前に、はっきりさせておきたいことがあります。

まず、わたしは手術、抗ガン剤、放射線の「三大療法」を否定する者ではないということです。

たとえ話をしましょう。
ふつう、フルマラソンを走るとき、人は靴を履いて走ります。けれどもごく稀に、自分なりのこだわり
があって裸足で走る人がいます。
なかには裸足のまま元気に完走してしまう人もいます。

同じように、ガンにかかった人は、普通は現代医療に頼るものです。
けれどもときおり、ほかの方法を試そうとする人が存在します。
わたしは後者に関心を持ちました。何を実践して、彼らは医師の予想を覆す偉業を達成したのか。
それを突き止めることがわたしの仕事です。

2つ目に、わたしは本書によって、患者の方々に偽りの希望を与えるつもりは一切ありません。

劇的な寛解をした患者のほとんどが、医師から「ほかの患者には黙っていてほしい」と言われたと告白
しています。
ひどい話ではありますが、その医師の立場になって考えれば、わからなくもありません。来る日も来る日も、生存の見込みの乏しい患者を診察するのは、想像するだにつらい仕事です。

けれども劇的に寛解する人が現にいるという事実を黙殺するのは、偽りの希望を患者に抱かせるよりも
ずっと罪深いことではないでしょうか。

カリフォルニア大学で、研究方法についての授業の初回に、教授はこう言いました。

仮説から逸脱した事例に遭遇したとき、研究者にはそれを吟味する科学的責務がある。
そしてその逸脱事例を吟味してから、研究者がとるべき道は2つ。

1つ目は、なぜ仮説に合わない事例が生じたのかを公に説明すること。
2つ目は、その事例を説明できる新しい仮説を考え出すこと。

要するに、仮説に合わない事例は無視してよい、という選択肢は存在しないのです。

ガンの克服は人類共通の目標です。現代医療なしで治癒した症例を黙殺することは、科学的に無責任な
態度なのです。

次に、「偽りの希望」について検討します。
「偽りの希望を人に与える」とは、事実かどうかわからないことや、明らかな虚偽を人に伝えて、希望
を抱かせるということです。
ガンからの劇的な寛解が起きる理由は、いまのところ説明不能ですが、それを体験した人が存在するの
は事実です。現代の医学では説明のつかない方法で、彼らは自分のガンを治したのです。


■9つの仮説から私たちは何を学べるか

この違いを理解したうえで、わたしたちは、「偽りの希望を抱くことになりそうで怖い」と考えるので
はなく、ガン治癒の鍵となるかもしれない症例を、科学的に検証していこうではありませんか。

9つの要素は、ガンからの劇的寛解が起きた理由についての仮説であり、まだ科学的に十分裏付けされた
理論ではありません。
この9項目によってガン患者の生存率が上がると断定するには、データの量的分析や無作為な臨床試験
必要で、残念ながらあと何十年もかかるでしょう。

それでもわたしはこの仮説は重要だと考えています。
これを読者と共有するのに、あと何十年も待とうとは思いません。
それよりも、質的分析を使ったわたしの研究結果を公表し、ガンからの劇的寛解を遂げた症例はなぜ黙殺
されてきたのか、わたしたちはこの症例から何を学べるのかという、より重要な議論へとつなげていきた
いのです。

もしもわたしが、「この9項目を実践したらあなたのガンは確実に治ります」と言ったなら、それは人に
偽りの希望を抱かせる行為です。
わたしはそうは言いません。わたしに言えるのは、「ガンの劇的寛解の起因になったと考えられる9つの
仮説を検出しました」ということだけです。

次に、わたしが本書の執筆によって何を期待しているかをお話しします。

まず研究者たちの手で、ガンからの劇的な寛解についてのわたしの仮説が、少しでも早く検証されること。
それからガン患者本人、そして大切な人がガンを患ってしまった人々が治癒を遂げた人々の真実の体験談
から勇気を得てほしいと思います。

わたし自身、初めてガンの劇的寛解の症例に出合った時、その事実の持つ力に大いに勇気づけられました。
医学的常識に反してガンを克服する人が、本当に存在するのですから。

ガンの予防や健康全般に関心のある人にも、本書は役立つはずです。
そして現在病院で治療中の方々、そして打つ手がなく別の方法を探している患者のみなさんにとって
本書が励みになることを願っています。
さらに本書がきっかけとなって劇的な寛解をめぐる議論がはじまり、人々が黙殺をやめてこれらの症例
から学ぼうとすることを心から願っています。

症例を見ていて不思議に思うことがあります。
なぜ、ある人に効く方法がほかの人には効かないことがあるのか。
いまのわたしたちには、その理由はわかりません。
けれども説明不能を理由に劇的寛解の現象から目を背けるのではなく、真摯に研究していけば、少なく
とも人間の自然治癒力について何らかの知見を得ることができるでしょう。
うまくいけば、ガン根治の治療法の発見につながるかもしれません。
いずれにせよ、黙殺からはどんな知見も得ることはできません。

もしアレクサンダー・レミングがカビの生えた培養皿を捨ててしまっていたら、社会はいま、どうなっ
ていたでしょう。彼の逸脱事例の研究が時間の無駄ではなかったことは、歴史が証明しています。
あまたの歴史的発見は、逸脱事例の研究からはじまりました。
逸脱した事例には、真の希望が宿っている可能性があるのです。


著者:Dr. Kelly A. Turner/ケリー・ターナー博士
―――――――――――
腫瘍内科学領域の研究者。
学士号を取得したハーバード大学時代に統合医療に関心を持ち、
カリフォルニア大学バークレー校にて博士号取得。
博士論文研究では、奇跡的な回復を遂げた、1000件以上の症例
報告論文を分析し、1年間かけて世界10カ国へ出かけ、奇跡的な
生還を遂げたガン患者と代替治療者を対象に、治癒に至る過程
についてのインタビューを行った。

本書はそこから得られた知見を患者や家族、そして健やかに生
きたいすべての人のためにわかりやすくまとめた著者初の書籍。

出典:PRESIDENT Online
http://reside-ex.com/Lbe1634/44171

(本を購入する)
ガンが自然に治る生き方 余命宣告から「劇的な寛解に至った人たちが実践している9つのこと
著者      ケリー・ターナー (著),長田 美穂 (訳)
http://reside-ex.com/Lbe1634/54171

マス対コアさんのツイッターから

『あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。』(ガンジー) 『最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である。』(キング牧師)

穀菜なばなさんのブログから

2019.07.12 島田雅彦さん演説@れいわ祭 

2019年07月13日 | ┗日記

島田雅彦です
友だち少ないんですが、山本太郎さんは非常に親しい友人なので、 
ここに来ました。

国民が生まれてから、死ぬまでに払う税金の総額っていうのはどれ 
くらいなのかという問題があって。
所得税、住民税、相続税、消費税、喫煙者はたばこ税、酒飲みは酒 
税、自動車税、固定資産税、など様々な名目で払われていますし、 
これに厚生年金とか、健康保険料とか、雇用保険の料金を加算しま 
すと、年収500万くらいの人で、年間120万くらい払うことになりま 
す。
同じ年収のまま40年間働いたとして、退職金2000万貰ったとして、 
生涯賃金は約2億2千万ほどになりますが、税金は累計で4500万円 
以上になるでしょう。

生涯に稼ぐお金の二割以上は、税金で持っていかれてしまうんです 
ね。やばいですね。
これは政府に搾取されていると言っても過言ではないという程の税 
負担を強いられているという事です。
ですから、国民はもっと税金を公平に、有益に使え!と政府に要求 
する権利があるはずです。

年金資金をバクチまがいの株式運用にまわして、損失を出したのだ 
から、年金返せと言うべきなんです。

防衛上はほとんど意味の無いミサイルを配備したり、演習にしか使 
わないポンコツ戦闘機を爆買いしたりして、アメリカにムダ金を貢 
いでることに、もっと怒っていいんです。

さらに、政府は消費増税をし、家計を圧迫し、なけなしの預貯金さ 
えも搾り取ろうとしています。
そんな泥棒政権をのさばらせていいんですか?

若者は定職を奪われ、将来の夢は早くから諦めねばならず、結婚や 
子育ての余裕もなく、年金も十分には貰えず、その年金を貰う前に
飢え死にする心配もしなければなりません。

三位一体化した政治家と官僚と大企業経営者は、仲間内で利益を融 
通している事にしか興味は無く、追い詰められた若者の境遇など一 
顧だにせず、日本の未来を食い潰しています。

彼らは税金を私的に乱費し、国民の財産を盗みましたが、本当の宝 
は奪いません。
その宝とは、私たちの良心です。
一方、彼らが私たちから気前良く買ってくれたものがあります。
それは、私たちの恨みです。
私たちの良心を奪えぬまま、恨みばかりを買ったので、彼らは悪事 
を全うできず、再来週には断罪されることになるのです。

政府は、国民から完全にかい離しています。
為政者は、ほんの一握りの国民だけを優遇し、その他大勢をネグレ 
クトしているのです。
政府が絶対多数の国民にまったく関心を払わないのだから、何を言 
っても無駄と、諦めが支配してしまっています。
国民は政治的無関心に誘導され、日本がどうなっても知ったことか 
と思わされています。
首相や官僚とその不愉快な仲間たちが、どんな不正を働いても、国 
民は知らんぷりをしてくれる。まさにそれこそが政府が望むことで 
白紙委任状を受け取ったつもりで、やりたい放題をやっているの 
です。

増税すれば、生活にさらに余裕がなくなるのに、仕方ないと諦めて 
いませんか?
原発を再稼働すると言えば、電力供給のためと目をつぶっていませ 
んか?
なんの役にも立たないポンコツ戦闘機とミサイルを爆買いしても、 
自分とは無縁だと黙認していませんか?
いよいよ戦争することになっても、自分が戦うわけじゃないから勝 
手にどうぞと判断停止していませんか?
すべてを拒みたいのに、服従するしかない状態に置かれていません 
か?
国民は、虐待されている子どもですか?
私たちは大人なのだから、この不愉快極まる現状を変えなければな 
りません。
私たちには、良心の自由もあれば、恐怖と絶望から免れ、平和のう 
ちに生存する権利もあるのだから。
今それを使わずに、いつ使うんですか?
早くしないと、その自由と権利を奪われてしまいます。
投票に行きましょう。
現政権の横暴を止めるために。
山本太郎に、れいわ新選組に、あるいは野党共闘の候補者に一票を 
投じましょう。

有権者が無知で無関心でいる限り、悪政は続くでしょう。
礼儀正しく、おとなしく、他人を攻撃せず、空気を読む。
そんな人々の沈黙の同意によって、不正や陰謀が見過ごされるので 
す。
政治には期待しないとか、何を言っても無駄だなどと言ってる場合 
では、もはやありません。

投票に行かずにいると、自動的に、ならず者が権力を独占してしま 
うのです。
ナチの専制を許したのも、そんな無関心の共謀だったじゃないです 
か。
政府が公益に奉仕することを止めたとたん、権力者を豊かにするシ 
ステムだけが機能するようになります。
政権与党は官僚と組んで巧妙に汚職を合法化し、国益を略奪するこ 
とに専心するのです。
経済は権力に従属し、公平な競争によって発展する市場は機能しな 
くなります。
行政機関は、政治に寄生する一部の権力者と官僚とその下請けを担 
う企業だけが潤うようにできているのです。
民間の経済がいくら疲弊し、損害が出ようとも関知しないのです。
公益と正義は口先だけで、多数派に存長し、国会ではなにも発言せ 
ず、裏でこっそり私腹を肥やす。そんな連中を、いくら国会に送っ 
ても、税金の無駄です。

良識ある議員は、今や少数派です。
太郎とその仲間たちは、最後の頼みの綱なのです。

太郎さんは、現在の悪政を正し、若者や子ども達に押し付けられる 
負債を減らそうと奔走しています。こんなにコスパのいい議員が他 
にいますか?
こんなお得な男がいますか?

この国が辿る没落への道を修正しなければなりません。
そのうち何とかなるという状態では、もはやありません。
今すぐ始めなければ、個人資産も差し押さえられ、くだらないやつ 
が威張りちらし、偽りを述べるものが愛国者と称えられ、真実を語 
るものが売国奴と罵られた時代に逆戻りです。
いや、もうそうなっています。

政府はあたかも、経済や外交も順調で、原発も無事であるかのよう 
に国民をだまし続け、ひたすら現実逃避を行っているのです。
政府が紡ぐファンタジーを鵜呑みにしていると、戦時中と同じよう 
に国民は財産を、家族を、友人を、そして自分の命まで失うことに 
なります。

報道機関は、今でも真実を伝えることに及び腰で、政府の顔色ばか 
り見ています。その結果、政権批判や日本が直面する暗い現実は穏 
便にカイヘイ(?)されてしまい、危険なファンタジーの宣伝に協力
してしまっているではないですか。

そんな中、山本太郎と勇気ある当事者たちが、覚悟を決めて立ち上 
がってくれました。
やっと期待をかけられる人々が、現れてくれた。
そんな思いです。

彼らにはお金はありませんが、しがらみもありません。
市民の代表には、彼らのような当事者意識を持った普通の人々こそ 
がふさわしいのです。

彼らの憂鬱、彼らの怒り、彼らの悲しみ、そして彼らの希望を共有 
してくれる人が、思ったよりはるかに多いと信じます。

ただすれ違うだけだった相手が、今まで言葉を交わしたことがなか 
った隣人が、住む世界が違うと思っていた他人が、互いに同じ未来 
や理想を見ていたことに気付いたとき、新しい世界、新しい国が産 
声を上げるのです。

心の中にはすでにあった理想の国が、突然出現するでしょう。
「そうなってほしい」が「そうなった」ということは、歴史上いく 
つも前例があるのです。

理想主義者、私たちを含む理想主義者に向かって、「現実を受け入 
れろ」したり顔で言う人は、見えないところで、こっそり舌を出し 
ているのです。
今ある現実に十分に満足している人は、必ず、ズルをしています。

まんまと人を出し抜いたつもりでいる現実主義者たちに言いたい。
人は現実だけでは生きられない。
だから、現実を変える自由と権利を行使するのだ。
政権与党の人びとも、「?」をもって本当の事を言わず曖昧な態度 
を取り続けています。

誰も正解を知りませんし、そもそも正解があるのかも確かではない 

もう誰も真実に関心を持たなくなり、それが何の事か理解できなく 
なったころ、私たちは遅まきながら悟るのです。
裏切ったのは誰で、誤魔化したのは誰か。
嘘がどれだけ重ねられ、その嘘を覆い隠すために、さらにどれだけ 
の嘘が加算されたか。
私たちの怠惰、従順さ、無関心と沈黙がどれだけ高くついたか。

私たちが最後に手にするものは何か。
それは、恥、憤懣、後悔、絶望です。
日本を私物化してきた連中は何ひとつ責任を取らないでしょう。
もう待ったなしです。
骨になる前に抵抗しなければなりません。
大化の改新ならぬ、れいわの改新を実行するのです。
それができるのは、山本太郎とその共闘者たちです。

私は、もう投票を済ませてきました。
もちろん山本太郎と書きました。
れいわ新選組には、希望的に1,500万票、獲得してほしい。
友人を誘って投票所へ行き、奇跡を起こすのを手伝ってください。
ありがとうございました。

緩消法メールから

From:緩消法サポート事務局 伊藤
 
 
 
「実際に緩消法をやっている人の
 "生の声"を聞いてみたい!」
 
 
というご要望にお応えして…
 
本日、明日、明後日と、3本連続で
実際に緩消法をやっている人たちの
突撃インタビュー映像をお送りします!
 
 
さて、本日公開する1人目は……、
 
 
大阪の小さな1人治療院で
ものスゴイ施術結果を叩きだしている
和らぎ治療室 院長の應治和也先生です。
 
 
*グニャリと曲がった側弯症を1発で改善したり、
 

 
 
*ほとんど後屈ができない激しい腰痛の患者さんを
 15分の治療を3回やっただけで全快させたり、
 

 
 
*食事制限やダイエットはほぼ一切やらずに
 緩消法の脂肪燃焼効果だけで10kg以上痩せたり、
 

 
 
とにかく緩消法で規格外の効果を
だしまくっているゴッドハンドの彼に、
 
緩消法と出会ってから今に至るまでの
細かいエピソードを伺ってきました。
 
 
今すぐこちらからご視聴ください!
 
 
 ↓↓↓
 
 
 
 
 
 
追伸
 
 
明日ご紹介する緩消法プレイヤーは……、
 
なんと…まったくの素人から
緩消法をはじめた"元患者"!(しかも女性)
 
 
 
3ヶ月間まったく歩けなくなり
地べたを這ってトイレに向かう毎日。
 
カイロ、鍼、マッサージ……、
何をやっても治らなかった患者時代から、
緩消法を使って自力で完治させた
驚愕の成功ドキュメンタリーとは?
 
 
明日朝6時】に公開予定です。
お楽しみにお待ちください!